2020.10.27オフィスデザイン
公園でリフレッシュできるような空間を実現
開放的なオフィスというのは、口で言うのは簡単ですが、実際にそれを実現するとなるとそれほど簡単ではありません。というのも、何をもって開放的と感じるかは人それぞれに異なるからです。 今回紹介する事例は、そのような難しいミッションに果敢にチャレンジし、見事にオフィスの開放感を演出することができているものです。
目次
エントランスにフェイクグリーンを配置
まず、オフィスのエントランスに入ると、真っ先に壁一面に配されたグリーンが目に飛び込んできます。
この緑一面の壁を最初に目にすることによって、来訪者はあたかも自然のなかにやってきたかのようなリフレッシュした気持ちになれるでしょう。
使われている素材
このエントランスのグリーンは、一見すると本物の植物のように感じるかもしれませんが、実際には本物そっくりに作られているフェイクグリーンと呼ばれる素材が用いられています。
植物を使ってしまうと、毎日水やりをしたり、枝葉が伸びてきたら定期的にメンテナンスをしたりする必要がありますが、フェイクグリーンであればそういった管理の手間を省けるのです。
その意味で、クライアントの負担軽減を考えたよいチョイスであると言えるでしょう。
色彩
フェイクグリーンというと、一面緑色というイメージを持たれるかもしれませんが、このオフィスの場合には、緑を基調にしつつ、ところどころに赤や紫といった鮮やかな色彩をとり入れています。
具体的には、赤い造花を使ったり、紫の疑似植物を配置することによって、見た目の華やかさを演出しているのです。また、同じ緑でも様々な濃さのものが織り交ぜられていますので、決して単調なイメージは与えないでしょう。
ライトアップ
このフェイクグリーンが施された壁の前にはオフィス内に連絡可能な電話機とそれを設置するための台が置かれているのですが、その部分を中心にライトアップすることによって、より壁の緑が引き立つようになっています。
それによって、エントランス全体がより広く感じられる効果も期待できますので、オフィスの開放感を演出するのにもこのライトアップは一役買っているといえるでしょう。
ナチュラルな床材
エントランスの床材には、木の雰囲気が感じられるナチュラルな素材が用いられています。
オフィスの床といえば、味気ないフローリングやカーペットが敷かれているケースが多いのですが、そういったものを使ってしまうと全体的に無味乾燥な雰囲気になってしまいがちです。
ナチュラルな素材を使うことで、自然が身近に感じられるようになり、それによるリフレッシュ効果も期待できますし、壁の緑と調和させる意味でもこの床材の採用は正解といえるのではないでしょうか。
自然を感じさせるチェア
より自然が感じられるエントランスを演出するための工夫として、壁際に木のテイストが感じられる4人掛けのチェアが設置されています。
これにより、エントランスがより一層リラックスできる空間に仕上がっているのです。
緑の上に配置された会社ロゴ
緑の壁をよく見てみると、鮮やかなライトブルーの色をした会社のロゴが配されていることが分かります。
存在感が際立つような大きなロゴを使用すると、オフィス特有の殺伐とした雰囲気が出てしまいますので、あえてそうしないように小さめのサイズのものが用いられています。
開放感たっぷりな廊下
エントランスの先には、オフィスの奥まで一直線に廊下が伸びており、その左右に執務スペースや会議室などが設けられています。
半透明の壁を使って開放感を演出
廊下と執務エリアや会議室を隔てる壁には、半透明の素材が使われています。この素材は、室内への視線は遮るものの、光は透過するようになっているため、オフィス全体を明るくする効果があります。
オフィスの廊下というと何となく薄暗い印象を持つ方が多いかもしれませんが、このように壁を工夫することによって開放的な雰囲気を演出できているのです。
床材にはエントランスと同じものを使用
この廊下には、エントランスと同じナチュラルテイストの床材が使用されています。自然を感じられるという効果はもちろんですが、エントランスと廊下の床材を統一することによって、全体が広々と感じられるようになっているのです。
ドアを使った演出
廊下の壁と床が自然な雰囲気を醸し出している一方で、会議室や執務エリアにつながるドアはかなり濃いめの色味のものが用いられています。
ナチュラルテイスト一辺倒だと、全体的に締まりのない印象になってしまうため、色合いにアクセントをつけて引き締め効果を狙っているのでしょう。
照明にも一工夫
オフィスの照明といえば、白色系の蛍光灯が定番ですが、こちらのオフィスの場合はエントランスと廊下の照明に暖色系のスポットライトが用いられています。
温かみのある光は気持ちを穏やかにする効果がありますので、あえてこのライトを使用することで、オフィスで働く従業員や外部からやってくる来訪者がリラックスできる環境を作り出しているというわけです。
リラックスできる休憩スペース
エントランスや廊下だけでなく、休憩スペースにも開放感が味わえる仕組みが盛りだくさんです。
芝生を思わせるような床材
エントランスなどと違って、休憩スペースの床材には、クッション性のある素材が用いられています。芝生を思わせるかのような黄緑色の床材が使われており、まるで公園にいるかのような気分を味わいながら休息できるようになっています。
あたたかみを感じるおしゃれ家具
リラックスしながら休憩ができる環境を整えるために、休憩スペースの机にはあえてよくあるようなオフィス家具ではなく、木の香りが感じられる長机が採用されています。
また、その横にはリビングに置かれるようなソファや本棚が置かれており、まるで家にいるかのようなリラックスした状態で新しいアイデアを考えたりすることが可能です。
また、窓際に設けられたお洒落なカフェを彷彿させる一角は、仕事で煮詰まったときにそこに席を移動して気分転換するのにぴったりです。
実用性も意識した会議室
いくつかある会議室は、実用性も意識した作りになっています。それぞれに広さやデザインが少しずつ異なっているため、参加者の人数や会議の用途に応じて使い分けることができるでしょう。
ぬくもりが感じられるデスク
執務エリアにあるデスクと同じく、会議室にも木のテイストが感じられるナチュラルな雰囲気のデスクが採用されています。
一方、チェアについては、黒や赤紫といったインパクトのある色味のものが設置されており、部屋全体の雰囲気を引き締めています。
場合によっては、経営戦略などについて激論が行われるかもしれない場所ですので、ナチュラルテイスト一辺倒にするのはあえて避けているのかもしれません。
大画面のモニター
会議室の壁面には大画面のモニターが備え付けられています。
パソコンをつなげば会議の参加者全員で同じ資料を共有できますし、ビデオ会議システムを設置すれば、遠方にいる相手との間で顔を見ながらオンラインミーティングを行ったりもできます。
単に公園のようなデザインを心掛けているだけでなく、このように仕事をするうえで必要となる設備を随所に配置することによって、オフィスとしての実用性にも十分に配慮されているのです。
ナチュラルテイストでありながら実用性も兼ね備えたオフィス
以上で見てきたように、このオフィスのコンセプトは、まるで公園にいるかのような開放感を感じながら仕事ができる空間づくりですが、実際にはそれに加えて実用性にも配慮された工夫が随所に散りばめられています。
昔ながらのオフィスに慣れた方が見ると面食らってしまうかもしれませんが、従業員のモチベーションを高めるために、こういったオフィスを検討してみるのもよいのではないでしょうか。
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