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2025.05.24  2025.05.26コラム

サステナブルオフィスを実現する方法とは?環境にやさしい職場づくりのポイント

カーボンニュートラルへの関心が高まる中、オフィス環境も持続可能性を求められる時代となりました。働きやすさを保ちながら環境負荷を抑えるには、明確な視点と段階的な取り組みが欠かせません。本記事では、設備の見直しや素材選び、運用改善など、実践しやすく効果の高い施策を厳選して紹介します。

サステナブルオフィスとは何かを明確にする

定義と社会的背景

近年、企業活動において「サステナビリティ」が重要な価値として位置づけられるようになっています。この流れの中で注目されているのが「サステナブルオフィス」です。これは単に環境に配慮したオフィスを意味するのではなく、エネルギーの最適利用、資源の有効活用、快適な職場環境の両立など、多面的な取り組みが含まれます。環境保全と同時に、従業員の健康や働きやすさを重視する点が特徴です。

サステナブルオフィスの背景には、地球温暖化の進行や資源の枯渇といった社会的課題の深刻化があります。国内でも、カーボンニュートラルを目指す動きや、企業に対する情報開示の義務化などが進んでおり、従来のように環境対策を「選択肢の一つ」として捉える姿勢は通用しにくくなっています。組織が持続的に成長するためには、社会との調和を重視したオフィスづくりが避けて通れない状況です。

また、サステナブルオフィスという概念は、空間設計や設備選定といった物理的な対策だけでなく、社内での意識づくりやルール整備といった運用面にも広がっています。つまり、設備投資をしただけでは十分ではなく、日常の行動や文化として根付かせていくことが、真の意味でのサステナブル化には不可欠です。

なぜ今、注目されているのか

サステナブルオフィスが特に注目を集めている理由の一つに、ESGへの関心の高まりがあります。企業の経営姿勢やリスクマネジメントに対する評価軸が、売上や利益といった財務情報だけでは不十分とされるようになっており、環境・社会・ガバナンスに配慮した経営が求められる時代へと移行しています。これは単なる流行ではなく、企業価値を維持・向上させる上での重要な要件といえます。

さらに、行政や地方自治体による制度的な後押しも、企業の行動を後押しする大きな要因です。例えば、建築基準やエネルギー効率の指針に変化が見られ、特に新設・改修時にはサステナブル性の高い設計が標準となりつつあります。また、環境配慮型の取り組みに対して助成や補助が用意されている地域も増えており、これらを活用することで、企業にとっての実行ハードルは低くなってきています。

企業内部でも変化が生じています。多様な働き方が広がる中で、オフィスの存在意義や機能そのものが見直されており、単に業務をこなす場所ではなく、社員が安心して過ごし、創造性を発揮できる空間づくりが求められています。こうしたニーズに応える手段として、サステナブルな視点を取り入れる動きが広がっているのです。

このように、外部環境と内部の両側からの要請により、サステナブルオフィスへの移行は「一部企業の先進的な取り組み」から「これからの標準」へとシフトしています。企業として継続的な競争力を確保するためにも、今このタイミングでの導入検討は極めて重要だといえるでしょう。

導入効果を可視化する

従業員満足度と生産性の向上

サステナブルオフィスの導入により、最も顕著に現れる効果のひとつが、働く人の満足度向上です。空間の快適さや空気環境の改善、自然光の活用、素材選びなど、身体的・心理的な影響を与える要素を見直すことが、日常のパフォーマンスに直接影響を及ぼします。

とくに注目されているのが「バイオフィリックデザイン」の要素です。これは植物や自然素材を取り入れることで、人が本来持つ自然とのつながりを取り戻す設計思想といえます。木材やグリーンウォールを活用することで、目に見えないストレスを軽減し、集中力や創造力を高める効果が期待できます。こうした工夫は、無意識のうちに職場への印象を変え、日々の業務への前向きな姿勢を育てるきっかけになります。

また、適切な温湿度管理や騒音の抑制といった環境要因の調整も、従業員の体調維持に寄与します。業務の成果だけを求める環境から、人の働きやすさを考慮した場へと進化することで、結果的に欠勤の減少や業務効率の向上につながります。サステナブルオフィスの導入は、単なる環境対応にとどまらず、人材の活躍を後押しする環境づくりでもあるのです。

企業ブランディングと信頼性の強化

環境に配慮した取り組みを行っていることは、企業の姿勢を表す明確なメッセージとなります。オフィス空間の設計や運用にサステナブルの視点を取り入れることで、企業としての価値観や方向性を内外に示すことができます。

たとえば、リサイクル素材の使用、エネルギー効率を意識した照明の導入、ペーパーレス推進の工夫など、目に見える形で実施される取り組みは、来訪者や社外関係者にも伝わりやすくなります。企業訪問の際にその姿勢が明確に感じられる環境であれば、取引先や求職者に対する信頼感も高まりやすくなるでしょう。

また、オフィス改革に関する取り組みは、社内広報や採用活動におけるコンテンツとしても活用しやすくなります。持続可能性を重視する姿勢を社内外へ発信することで、理念に共感する人材を惹きつける土台にもなります。環境配慮を実践する組織というブランドイメージは、ステークホルダーとの長期的な関係構築においても有利に働くはずです。

これらの取り組みを効果的に進めるためには、単なる施策導入だけでなく、結果としてどのような変化が生まれているのかを定期的に観察し、可視化する仕組みが求められます。測定項目を明確にし、関係者と共有することで、取り組みの継続性や改善の方向性が見えてきます。こうした地道な積み重ねが、社内外の信頼を構築し、企業の持続的成長を支える重要な要素となるでしょう。

初期ステップとしての「省エネ・節資源」施策

照明・空調設備の見直し

サステナブルオフィスへの第一歩として、最も導入しやすいのが照明や空調といった基本的な設備の見直しです。特にエネルギー消費が多いこれらの分野は、見直しの効果が比較的わかりやすく、かつ継続的な改善につながりやすい領域といえます。

照明に関しては、機器の種類や配置を工夫することで、無駄な点灯を避けながらも十分な明るさを確保できます。自動で点灯・消灯を制御できる仕組みや、必要なエリアだけを効率的に照らすゾーニング設計は、エネルギーの使いすぎを防ぎながら快適性も損ないません。また、デスクライトなどの補助照明を活用することで、個人のニーズに応じた柔軟な調整が可能になります。

空調に関しても、設定温度の見直しや風向の調整といったシンプルな工夫が有効です。全体の使用時間や稼働状況を把握しながら、必要なときに必要な範囲だけを効率的に冷暖房できる仕組みを構築することで、省エネ効果を高めることができます。これらの取り組みは、快適な室内環境を維持しながらエネルギー使用を抑えるための実践的な方法といえるでしょう。

また、管理部門やファシリティ担当者だけでなく、社員一人ひとりがこの方針に納得して協力することも重要です。照明の消し忘れや空調の無駄な使用を防ぐためには、ルールの徹底と意識づけが欠かせません。小さな行動が積み重なった結果として、全体のエネルギー効率が大きく変わっていきます。

ペーパーレスと分別体制の改善

紙資源の使用削減も、省資源化における基本的な施策の一つです。業務で紙を多用している組織ほど、見直しによる効果が大きく現れます。まず着手すべきなのは、社内で日常的に使われている紙の種類と量を把握することです。必要なものと不要なものを切り分けるだけでも、紙使用の適正化に向けた出発点となります。

次に有効なのは、ペーパーレス化を促す業務フローの見直しです。たとえば、会議資料や報告書の電子化、印刷前の事前確認、共有サーバーの活用などが挙げられます。完全なペーパーレス化は難しいとしても、印刷物の削減や使用頻度の最適化は十分に実現可能です。また、部門ごとに必要に応じた工夫をすることで、全社的な取り組みへと発展させることができます。

もう一つの重要な観点が、ゴミの分別体制です。紙だけでなく、プラスチック、缶、瓶といった廃棄物を適切に処理することも、サステナブルなオフィス運営には欠かせません。分別のルールを明確にし、誰もが迷わず実践できるよう表示や案内を工夫することで、正しい運用が根づきます。実際のところ、分別が徹底されていないとリサイクル処理の精度が下がり、環境負荷の軽減にもつながりません。

このように、省エネや節資源の施策は、コスト削減だけでなく、オフィス全体の意識変革や組織文化の構築にも寄与します。まずはすぐに取り組める範囲から始め、小さな成功を積み重ねていくことが、サステナブルな環境づくりの基盤を築くことにつながっていきます。

中長期で取り組むべき空間設計

再生材を活用した家具・什器の導入

サステナブルオフィスの構築において、中長期的な視点が求められるのが空間設計の最適化です。中でも重要となるのが、使用する家具や什器の素材や構造を見直すことです。近年では、環境負荷の少ない素材を採用した製品が国内メーカーからも数多く展開されており、選択肢が広がっています。

とくに再生材やリサイクル素材を用いた製品は、資源の有効活用という観点で注目されています。使用済みの木材や樹脂などを再加工し、新たな製品として再構築することで、廃棄物の発生を抑えながらも、高いデザイン性と機能性を両立させることが可能になります。日本国内のオフィス家具メーカーにおいても、環境配慮型のシリーズを独自に展開しており、仕様や耐久性の観点からも導入しやすい水準が整っています。

こうした製品を選ぶ際には、単に素材の環境性能だけでなく、耐久性や修理対応の可否、部品交換のしやすさといった要素にも目を向ける必要があります。長期間にわたって使用することを前提に設計された家具は、結果として廃棄頻度の低減につながり、環境負荷だけでなくコスト面でも持続性が期待できます。

導入に際しては、既存家具の処分や移行計画にも配慮が求められます。廃棄ではなく、再利用や下取りといった循環型の流通を意識することで、よりサステナブルな空間づくりへと近づけることができます。

柔軟なレイアウトで長く使える設計へ

空間そのものの設計においても、持続可能性を見据えた柔軟なレイアウト構築が有効です。働き方の変化が速い現代において、オフィスの用途は固定的ではなく、プロジェクトの特性やチーム編成によって変化するのが一般的になりつつあります。そのため、可変性の高い空間構成が求められるようになっています。

たとえば、可動式の間仕切りや収納、キャスター付きのデスクやチェアを活用することで、レイアウトの変更が容易になります。こうした設計により、組織の成長や再編にも柔軟に対応できるほか、レイアウト変更の際の廃棄物も抑制できます。また、限られたスペースでも多目的に使えるレイアウトは、オフィス全体の使用効率を高めるうえでも効果的です。

柔軟性を意識した空間設計には、初期段階での明確な方針が欠かせません。短期的な利便性を優先するのではなく、将来的な運用変更や拡張性を見越した設計が、結果的に長寿命化とコスト効率の両立につながります。

このように、中長期的な空間設計には「変更しやすさ」「長く使える仕組み」「再資源化しやすい構造」といった観点が必要です。機能性と環境負荷のバランスを取った空間づくりは、サステナブルオフィスの中核を担う要素であり、企業の価値観を体現する場所にもなり得ます。

社内の意識改革と運用ルールの整備

啓発活動と情報の可視化

サステナブルオフィスの実現には、空間や設備の変更だけでなく、社員一人ひとりの意識改革が欠かせません。どれほど整った設備があっても、それを使う人の行動が変わらなければ、持続可能な運用にはつながらないからです。したがって、社内での啓発活動は、導入初期から継続的に行う必要があります。

まずは、企業としての方針や目的を社内全体に明確に伝えることが重要です。たとえば、イントラネットや社内報などの情報共有ツールを活用し、環境配慮に関するメッセージを定期的に発信することで、共通の意識を育むことができます。また、ポスターやデジタルサイネージを使って、日常的に目に触れる場所で取り組み内容を「見える化」することも有効です。

加えて、社員が主体的に関われるような工夫も求められます。エコ活動の提案を募集する仕組みや、取り組み状況を共有するイベントなど、双方向のコミュニケーションを取り入れることで、単なる「お知らせ」ではなく、参加型の啓発活動に変わっていきます。このような仕掛けは、社員自身が当事者意識を持って取り組む動機づけにもなります。

ルールづくりと定着のコツ

サステナブルなオフィス運用を実現するためには、具体的な行動を支えるルールの整備が必要です。ただし、過剰に細かい規定や一方的な指示は、かえって反発や混乱を招く恐れがあります。重要なのは、現場での実態を踏まえた、柔軟で納得感のあるガイドラインを設けることです。

ルールを設計する際には、まず既存の行動や課題を把握することから始めます。たとえば、紙の印刷が多い部署には「両面印刷を推奨する」「PDFでの回覧を基本とする」といったシンプルなルールを設けるなど、業務内容に応じた調整が必要です。過度に理想を追い求めるのではなく、実行可能なルールを小さく積み重ねることが、長期的な定着につながります。

また、ルールの運用状況を定期的に振り返る仕組みも重要です。例えば、改善提案を受け付ける窓口や、部署ごとの運用状況を共有する仕組みを整えることで、継続的な改善が可能になります。このようなフィードバックループの存在が、ルールを「守らせるもの」から「育てるもの」へと進化させていくカギになります。

社員に強制的に行動を変えさせるのではなく、理解と納得を得ながら協力を促す姿勢が、社内文化としての定着を助けます。全員が同じ方向を向いて行動できる環境こそが、サステナブルオフィスの本質といえるでしょう。

日本国内で活用されている支援策や参考ツール

公共団体による助成制度

サステナブルオフィスへの移行を進める際、自治体や行政が提供する支援制度を活用することで、導入のハードルを下げることが可能になります。たとえば、設備更新やリノベーションに対する補助金、エネルギー効率向上を目的とした支援金制度などは、各自治体で独自に展開されています。これらの制度は、環境負荷を軽減しながら経済的な負担を抑える選択肢として有効です。

制度の対象範囲や申請条件は自治体ごとに異なるため、事前に確認することが欠かせません。地元の商工会議所や自治体の環境部門に相談することで、最新の情報や手続きの詳細を把握できます。こうした支援制度は、単発的な導入にとどまらず、継続的な改善活動のきっかけとしても活用できます。

チェックリストや評価ツールの活用

オフィスのサステナブル度合いを把握するためのセルフチェックツールも、日本国内でいくつか提供されています。自社の状況を客観的に分析することで、優先的に見直すべき領域や、取り組みが不足している部分を明確にできます。これにより、闇雲な施策導入を避け、戦略的な改善が可能になります。

また、各種評価ツールを使えば、施策の進捗状況を可視化し、社内外に成果を伝える資料としても活用できます。ツール選定にあたっては、信頼性が高く、国内で認知されているものを選ぶことが重要です。形式に縛られすぎず、実用性を重視した選定が成果につながります。

まとめと次のアクションへ

導入は一歩ずつ、継続がカギ

サステナブルオフィスを目指すうえで、すべてを一度に変える必要はありません。むしろ、効果的なのは小さな改善を積み重ねていくアプローチです。照明の使い方を見直す、紙の使用量を抑える、オフィスのレイアウトに柔軟性を持たせるといった身近な取り組みから始めることで、持続可能な職場環境への移行が現実的なものとなります。

変化を定着させるには、施策そのものだけでなく、社員の理解と協力も欠かせません。ルールや制度が形だけに終わらないよう、日々の業務の中に自然と溶け込む仕組みづくりが求められます。また、導入した取り組みの進捗や成果を社内で共有することも、モチベーション維持や改善活動の継続につながります。

次のステップとしては、現在のオフィスの状況を客観的に把握し、どの領域から着手するのが最も効果的かを見極めることが重要です。自社の業種や規模、社内文化を踏まえた上で、無理のない実行計画を立てていくことが、持続可能性を確保する鍵になります。

取り組みは、目に見える変化だけでなく、企業としての姿勢や価値観を表す機会でもあります。サステナブルな環境づくりは、単なる設備投資にとどまらず、組織全体の信頼を高め、長期的な成長を支える土台となります。今ある課題に向き合いながら、少しずつ行動を積み上げていく姿勢が、結果として新たなスタンダードを生み出す原動力になるはずです。