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2025.07.27  2025.07.24コラム

オフィスレイアウト変更の進め方|成功のポイントを解説

働き方の多様化により、オフィス空間を見直す動きが加速しています。しかし、ただレイアウトを変更するだけでは、業務効率や社員満足度の向上にはつながりません。

本記事では、実行前の準備から設計・実施までの具体的な進め方と、成功に導く重要な視点をわかりやすく解説します。

なぜ今、オフィスレイアウトの見直しが求められているのか

働き方の多様化とオフィスの役割変化

近年、テレワークやフレックスタイム制度の普及により、働き方そのものが大きく変わりつつあります。従来は「すべての業務をオフィスで行う」ことが前提でしたが、今では「業務内容や目的に応じて働く場所を選ぶ」という考え方が一般的になっています。この変化に対応するためには、オフィスそのものの在り方を再定義する必要があります。

オフィスは単なる作業空間ではなく、社員同士が集い、情報を共有し、組織文化を体現する場としての意味を持ちます。

そのため、従来の席固定型のレイアウトでは、変化するニーズに十分対応できません。柔軟性の高い空間設計や、目的に応じたゾーニングが求められるのはこうした背景によるものです。

環境整備による業務効率への影響

レイアウトの工夫によって業務効率が大きく左右されることは、これまでの多くの企業事例からも明らかです。特に動線設計の見直しや、部署間の配置バランスは、日々のコミュニケーションや資料のやりとりに直接影響を及ぼします。

また、集中作業と打ち合わせを同一空間で行うような設計では、業務が断続的になりやすく、ストレスの蓄積にもつながりかねません。目的別に空間を分けることで、社員が自らの業務に適した場所を選べるようになれば、パフォーマンス向上が期待できます。

さらに、収納や備品の配置といった細部も、レイアウトによって業務の流れに影響を与えます。限られたスペースを有効に使い、物理的なストレスを軽減することが、長期的な業務改善につながります。

社員満足度と定着率の関係性

オフィス環境は、業務効率だけでなく、社員のモチベーションや組織への帰属意識にも影響を与えます。居心地の良さや視覚的なデザインが心理面に働きかけ、働き続けたいという意識を育てる効果があるためです。

特に、フリーアドレスやリフレッシュスペースの導入によって、固定観念にとらわれない自由な働き方を可能にすることで、社員一人ひとりの多様な価値観に対応しやすくなります。これにより、職場に対する満足度が向上し、離職率の抑制につながる可能性があります。

また、企業のブランディングにおいても、オフィスは社外へのメッセージとなるため、採用活動や取引先との関係構築にも影響します。単なる業務空間から、組織の姿勢や価値観を表現する場へと進化させることが、これからのオフィスには求められています。

レイアウト変更に着手する前に確認すべきこと

目的の明確化と社内共有

レイアウト変更は、ただの模様替えではありません。業務改善、コミュニケーションの活性化、社員満足度の向上など、何を達成したいのかをはっきりさせる必要があります。目的があいまいなまま進めると、投資に対する効果が不明確になり、結果的に形だけの変更に終わる恐れがあります。

この目的を明確にし、関係者全体で共有することが重要です。経営層の意向や現場のニーズがずれていると、レイアウト変更が混乱を招く原因になりかねません。関係部署と目的をすり合わせ、全員が同じ方向を向いて進行できるようにすることが必要です。

現状の課題把握と優先順位づけ

レイアウト変更に取り組む前に、現状のオフィスで抱えている課題を整理することが欠かせません。業務上の動線が非効率である、会議スペースが不足している、集中できる場所がない、収納が不足しているなど、問題は多岐にわたります。

これらの課題をただ並べるのではなく、「どの課題が最も業務に影響しているか」を見極めて優先順位をつけていくことが肝要です。全てを一度に解決しようとするのではなく、影響度の高いものから順に対応することで、現実的かつ効果的なレイアウト改善が実現できます。

また、課題の洗い出しには第三者的な視点が有効です。社内だけでの視点にとどまらず、必要に応じて外部の専門家の意見を取り入れることで、客観的な評価と適切な方向性を見つけやすくなります。

事前ヒアリングとアンケートの活用

オフィスを利用しているのは現場の社員です。彼らの声を反映しないレイアウト変更は、実態に即していない施策となる可能性があります。業務上の困りごとや希望する環境は、部署や職種によって異なります。こうした細かなニーズを把握するためには、ヒアリングやアンケートが有効です。

ヒアリングでは、対話を通じて背景や文脈を理解できる一方、アンケートでは数値化された傾向を把握しやすくなります。両者を組み合わせることで、主観と客観の両面から状況を把握することが可能です。

こうした事前の情報収集は、社員の声を取り入れた改善案を設計する上での土台になります。また、事前に参加感を持ってもらうことで、実際の変更後の受け入れ度も高まりやすくなります。

業務効率を上げるレイアウト設計の3原則

代表的なデスク配置パターンの特徴

オフィスレイアウトを考える上で、まず押さえておくべきなのがデスク配置の種類です。レイアウトは業務スタイルや組織文化に大きく影響を与えるため、機能性だけでなく心理的な側面にも配慮する必要があります。

例えば、対向式の配置はコミュニケーションを取りやすい反面、視線が合いやすく集中を妨げることもあります。

一方、同向式は集中には向いているものの、対話が生まれにくくなる傾向があります。フリーアドレスは柔軟な働き方に対応できますが、使いこなすには社員間の運用ルールや文化の定着が求められます。

このように、各パターンには利点と課題が存在します。組織の働き方や部署の特性に応じて、単一の形式ではなく複数の配置を組み合わせるという選択肢も考慮に入れるとよいでしょう。

ゾーニングと動線の設計視点

レイアウト設計において重要な考え方の一つが「ゾーニング」です。業務の種類や目的に応じてエリアを分けることで、空間の使い方に明確な意図を持たせることができます。

例えば、集中作業ゾーン、チームミーティングゾーン、来客対応ゾーンなど、用途に応じた区分を設けることで、社員が自分に合った場所で効率よく働けるようになります。

また、ゾーニングと併せて検討したいのが「動線」です。人の流れがスムーズであるかどうかは、日常の業務効率に大きく影響します。

コピー機や会議室などの共用設備までの移動が煩雑になると、無意識のストレスが蓄積される原因になります。各ゾーンの配置と通路の設計は、業務の連携やストレスの軽減を意識して計画する必要があります。

さらに、来客や外部業者の動線と社員の動線を分けることで、プライバシーや業務の集中力を保つ工夫も求められます。全体の流れを俯瞰しながら、業務の実態に沿った設計が求められます。

コミュニケーションと集中のバランス

オフィス設計では、コミュニケーションの活性化と集中力の維持という、相反するニーズのバランスを取ることが重要です。オープンスペースの導入によって会話のしやすさが向上する一方で、雑音や視覚的な刺激が増え、集中を妨げる要因にもなり得ます。

この課題に対応するためには、目的別に空間を分けるだけでなく、吸音素材の導入やパーティションによる視界の調整など、環境的な要素にも配慮が必要です。

また、対話を重視したスペースと、静かに作業できるスペースを明確に切り分けることで、双方のニーズを同時に満たすことが可能になります。

重要なのは、どちらかに偏らせるのではなく、業務の特性に応じて「集中と対話」が両立できる空間をデザインする視点です。そのためには、部署ごとの業務内容や働き方の違いを理解した上で、適切な空間構成を設計することが不可欠です。

レイアウト変更のプロセスとスケジュール管理

プロジェクトチームの編成と役割分担

レイアウト変更は、単なる設備の再配置ではなく、組織全体に影響を与えるプロジェクトです。そのため、担当者一人に任せるのではなく、部門を横断したプロジェクトチームの編成が必要になります。

このチームには、経営層の方針を理解しているメンバー、現場のニーズを把握している社員、実務的な手配を担える人材など、さまざまな視点を持つ人をバランスよく配置することが求められます。それぞれの立場からの意見が集約されることで、組織全体にとって現実的で効果的なレイアウトが実現しやすくなります。

また、役割分担を明確にしておくことで、判断や作業の滞りを防ぎ、効率的に進行できます。スムーズなプロジェクト運営のためには、定期的なミーティングの場を設けて、情報共有と意思決定のスピードを保つことが重要です。

全体スケジュールの立て方と見落としがちな準備

プロジェクトを成功させるためには、明確なスケジュール設定が欠かせません。開始から完了までの各ステップを時系列で整理し、実施時期や作業期間を見積もった上で逆算することで、余裕を持った進行が可能になります。

特に注意すべきなのは、準備期間に時間をしっかり確保することです。ヒアリングやアンケート、業者選定、見積取得などは予想以上に時間を要する場合があります。これらを後回しにすると、施工や引っ越しの段階で調整が発生し、結果的にコストや手間が増える可能性もあります。

また、実施時期によっては繁忙期と重なり、業務に支障をきたすこともあるため、業務負担の少ないタイミングを選定する配慮も必要です。関係各所との連携を意識しながら、現実的なスケジュールを構築する視点が求められます。

見落としがちな周辺業務を事前に把握する

レイアウト変更は、家具や設備の移動にとどまらず、業務フローやルールの見直し、各種手配にも影響を及ぼします。そのため、直接関係する部署だけでなく、周辺業務への影響を事前に洗い出しておくことが重要です。

たとえば、通信環境の再設定や備品の移動、廃棄物処理など、関連作業は多岐にわたります。こうした対応を軽視すると、変更後に業務が滞り、かえって非効率を招くおそれがあります。

また、レイアウト変更の周知も重要な工程です。事前に全社員へ変更内容やスケジュールを伝えておくことで、混乱を最小限に抑えることができます。社内向けの資料や説明会などを活用して、スムーズな移行をサポートしましょう。

コストを最適化するために知っておきたい視点

項目ごとの費用傾向と見落としやすい出費

オフィスレイアウトの変更には、さまざまな費用が発生します。代表的な項目としては、内装工事、家具の再配置や新調、通信機器の設置、照明や電源の調整、そして引越し作業などが挙げられます。

これらに加え、不要となった備品の処分費や、一時的な倉庫利用費用なども見落とされがちな出費です。

また、設計段階でのコンサルティングや、施工内容に応じた法令上の確認など、目に見えにくい支出も含まれます。初期に想定した予算と実際の見積金額に差が生まれやすいのは、このような付随費用が積み重なるためです。費用を正確に把握するためには、すべての工程を洗い出し、項目ごとに予算枠を設定しておく必要があります。

複数業者からの見積取得と比較方法

適正なコストでレイアウト変更を進めるためには、複数の業者から見積を取得することが基本です。ただし、単に金額だけを比較するのではなく、見積に含まれる内容や、提案の質もあわせて確認する必要があります。

たとえば、ある業者では搬出入費や養生費が別途請求となる一方、別の業者ではすでに含まれている場合もあります。費用内訳に含まれていない項目が後から加算されるケースを防ぐためにも、詳細な内訳を確認し、不明な点は事前に質問しておくことが重要です。

また、デザイン提案や設計図のクオリティも費用に見合うかどうかの判断基準となります。単純に安価な業者を選んだ結果、修正が発生してトータルコストが膨らむといった事態を避けるためにも、価格とサービス内容のバランスを見極める視点が求められます。

外注と社内対応の線引き

すべての業務を外注するのではなく、社内で対応できる範囲を明確にしておくことも、コスト削減につながります。たとえば、備品の移動や簡易的な清掃など、工事を伴わない作業については社内で分担することも可能です。

ただし、対応できる範囲を誤ると、業務への負担が増し、進行の妨げになる可能性もあるため注意が必要です。作業の安全性や専門性が求められる工程については、無理をせず外注を検討すべきです。

このように、業者に任せる部分と、社内で進める部分の線引きを最初に整理することで、無駄な支出を抑えながらスムーズに進行する体制を整えることができます。最終的には、社内のリソースと業者の強みを掛け合わせて、コストと品質のバランスを最適化していく視点が求められます。

実施後のフォローでレイアウト変更を定着させる

使用感のフィードバック収集方法

レイアウト変更を実施したあと、真の効果が発揮されるかどうかは、その後の運用にかかっています。変更直後の印象だけでなく、時間が経過した後の使用感を把握することが定着に向けた第一歩です。

社員の声を継続的に集めるためには、簡易的なアンケートやヒアリングを定期的に実施することが効果的です。業務の中で感じる不便さや、改善してほしい点などは、実際に使ってみないと見えてこないためです。

特に部署や職種によって使用するスペースが異なる場合には、それぞれの立場からの視点を意識的に拾い上げる工夫が求められます。一部の声だけに偏らず、多様な意見をもとに調整を重ねていくことが、現場に根付いたレイアウトづくりにつながります。

運用ルールとマナーの周知

どれだけ設計が優れていても、運用のルールが定着していなければ、レイアウトの効果を十分に発揮することはできません。特にフリーアドレスや共用スペースを導入した場合には、使用上のマナーやルールを明確にし、全員が同じ認識を持てるようにする必要があります。

口頭での伝達だけでは曖昧さが残るため、ガイドラインや社内掲示物を用いた視覚的な周知が有効です。また、定期的に運用ルールを見直し、実情に合わせてアップデートしていく柔軟性も求められます。

ルールの押し付けにならないようにするためには、現場の意見を取り入れながら調整を進め、社員自身が「使いやすさを維持する主体」であるという意識を持てるような仕組みが重要です。

継続的な改善と再設計の視点

レイアウトは一度完成すれば終わりというものではなく、働き方や組織体制の変化に合わせて調整していくべきものです。特に、制度や業務内容が変更される際には、現状のレイアウトが適しているかを見直すタイミングとして捉えることができます。

改善のヒントは、日々のちょっとした違和感や社員の声に隠れていることが多いため、フィードバックを集める文化を社内に定着させることが大切です。また、レイアウトに関する小さな改善を積み重ねることで、職場環境への信頼感や満足度の向上にもつながります。

場合によっては、社外の専門家に再度アドバイスを求めることも一つの手段です。内部では気づきにくい非効率な点や、最新のオフィスデザイン動向などを取り入れるきっかけにもなります。

このように、変更後のフォローは「導入して終わり」ではなく、常に使い手に寄り添いながら改善を続ける姿勢が問われるプロセスといえます。

レイアウト変更を企業の成長戦略に活かす

単なる模様替えに終わらせないために

オフィスレイアウトの変更は、表面的なレイアウト調整や美観の向上にとどまるものではありません。業務効率の改善やコミュニケーションの質の向上、社員の満足度を高めるための手段であり、企業にとっての投資です。表面的な整備に終始してしまえば、時間も費用も成果につながらず、再び見直しが必要になる可能性も出てきます。

だからこそ、目的の明確化や現場の声を取り入れる工程を重視し、全体のプロセスを通じて実効性のある設計と運用を意識することが求められます。

空間の変化は、社員の意識や行動にも影響を与えます。組織全体の成長につなげるには、このような連動を意識することが重要です。

組織と人が変わる契機にする視点

オフィスという空間は、企業文化や働き方の価値観を映す鏡のような存在です。レイアウトの変更は、単に椅子や机の位置を動かすだけでなく、組織の意識や習慣を見直す機会でもあります。

この機会を活かして、働く環境の改善とともに、社員が自発的に動ける文化を育てるための仕掛けを組み込むことができれば、企業はより強い組織へと進化していきます。オフィスは、静的な場所ではなく、成長する企業に合わせて常に変化していくダイナミックな存在であるべきです。

こうした考え方を持つことで、レイアウト変更は一時的な対応策ではなく、長期的な経営戦略の一環として機能するようになります。