2025.07.29 2025.07.24コラム
パーテーションで変わるオフィス環境|種類別の特徴と設置

目次
オフィスの働きやすさや印象は、レイアウトひとつで大きく変化します。中でもパーテーションは、空間の仕切りだけでなく、集中力の向上や感染症対策にも直結する重要なアイテムです。
本記事では、種類ごとの特徴と設置時の注意点をわかりやすく整理し、選定と導入の判断に役立つ情報をお届けします。
パーテーションの基本と役割

オフィスにおけるパーテーションの定義
パーテーションとは、空間を視覚的あるいは物理的に区切るために用いられる間仕切りのことを指します。建築物としての壁とは異なり、可動性や柔軟性に優れ、レイアウト変更が容易である点が特徴です。
オフィス内においては、個々の作業スペースを確保したり、部門ごとの空間を分けたりする目的で活用されることが一般的です。簡易的なものから、天井まで届く固定型まで、設置環境や目的に応じて多様な形式が存在します。
仕切りの目的と効果とは
オフィスにパーテーションを導入する主な目的は、集中力の向上と作業効率の改善にあります。視線を遮ることで、周囲の雑音や動きに対する意識を軽減し、業務に集中しやすい環境を整えることが可能です。
また、個々のプライバシーを尊重した空間をつくることで、働く人の心理的ストレスを抑える効果も期待されます。加えて、来客対応エリアや会議スペースの明確な区分けなどにも適しており、空間の用途を明示する手段としても有効です。
空間効率と従業員の心理的影響
オフィスの限られたスペースを有効活用するうえで、パーテーションは欠かせない存在です。壁を新設することなく空間を区切ることで、設備コストを抑えつつ柔軟なゾーニングが可能となります。
たとえば、部署間のコミュニケーションが必要な場面では低めのパネルを用いることで、視界を確保しながら適度な距離感を演出できます。一方で、完全に仕切られた個室に近い形にすれば、情報漏えいや外部からの視線を遮断したいシーンにも対応できます。このようにパーテーションの選び方一つで、従業員の作業環境や心理状態に大きな影響を与えるのです。
素材によって変わるパーテーションの性能と印象
クロス・アクリル・ガラスなどの特徴
パーテーションに使用される素材は多岐にわたりますが、それぞれに特徴があり、空間の印象や使い勝手に大きな影響を及ぼします。布製のクロスパネルは、柔らかい印象を与えるうえに吸音効果も備えているため、静かな空間づくりに適しています。アクリル素材は透明性が高く、開放感を保ちながらも仕切りとしての役割を果たすことができます。
一方で、ガラス素材はさらに高い透明度と洗練された印象を演出できるため、会議室やエントランスなどの視認性を重視した空間に向いています。その他にも、フェルトや木材調、ポリカーボネートなど、見た目と機能の両面から選択肢が広がっています。
防音・視認性・耐久性を素材別に比較
素材によって、パーテーションの性能にも明確な違いが現れます。たとえば、クロスやフェルト素材は音を吸収しやすいため、防音性に優れる反面、視認性は低くなります。透明なアクリルやガラス素材は視線を通すため、開放感が得られるものの、防音性や遮音性には限界があります。
また、スチールやアルミなどの金属系パネルは耐久性に優れ、長期間の使用に耐える仕様として評価されています。ただし、冷たい印象を与えることもあるため、空間全体の雰囲気とのバランスを見極める必要があります。利用目的に合わせて、どの性能を重視するかが素材選びの重要なポイントとなります。
空間全体と調和するパーテーション選びのコツ
オフィス全体のデザインやブランドイメージとの調和も、パーテーション選びにおいて見逃せない視点です。
たとえば、ナチュラルな内装を意識した空間には、木目調や布張りの素材が馴染みやすく、柔らかい印象を演出できます。逆に、現代的で機能的な印象を重視する場合は、メタリックな素材やガラス製のパネルがマッチしやすい傾向があります。
また、パーテーションの色味や質感が什器や壁面とちぐはぐになってしまうと、視覚的に落ち着かない空間になる可能性があります。そのため、デザイン性と機能性のバランスを取りながら、全体の統一感を意識した選定が求められます。空間の第一印象に影響を与える要素として、素材の選択は非常に重要な位置付けを持っています。
高さ・形状で異なる使用シーン

ローパーテーションとハイパーテーションの使い分け
パーテーションの高さは、使用目的や空間構成に応じて適切に選ぶことが重要です。ローパーテーションは、デスク周辺の視線を軽減しつつ、オープンな雰囲気を保つことができます。
たとえば、部門間での連携が求められるエリアでは、ローパーテーションを使用することで程よい仕切りを保ちながらも、コミュニケーションを妨げないレイアウトが可能になります。
一方、ハイパーテーションは、完全に空間を分けたい場合に有効です。会議室や応接スペースなど、外部とのやり取りが想定される場では、視線と音を遮る役割が求められます。高さによって環境への影響が大きく異なるため、用途に応じて適切な設置が求められます。
デスクトップ型や自立型の活用場面
限られたスペースに柔軟に対応できるのが、デスクトップ型や自立型パーテーションです。デスクトップ型は、机の上に設置する小型の仕切りで、周囲の視線や飛沫の対策として活用されます。個々の作業スペースを確保しやすく、他者との距離が近い場面でもプライバシーを保つ工夫がしやすくなります。
自立型は、床に設置して使うタイプで、移動が簡単なため、状況に応じたレイアウト変更が可能です。急な打ち合わせや臨時のブースが必要になった際にも、手軽に空間を仕切る手段として重宝されます。固定設備に依存しない点が特徴で、柔軟な働き方を支える設計にもつながります。
可動式の利便性と制限
オフィスの利用形態が多様化する中で、可動式パーテーションの需要も高まっています。キャスター付きのタイプであれば、使用目的や人数に応じて自由に配置を変えることができます。
たとえば、社内イベントやワークショップなど、一時的にスペースを広げたい場合にも対応しやすく、限られた空間を有効活用することが可能です。ただし、可動式は構造上安定性に劣る場合があるため、設置場所や使用頻度によっては注意が必要です。
特に、ハイパーテーションに比べて遮音性や強度が低い傾向があるため、使用目的との整合性を見極めることが欠かせません。利便性を重視しつつも、安全性や機能性のバランスを取る判断が求められます。
設置時に考慮すべきポイント
消防法や避難経路などの規制
パーテーションを設置する際には、単にレイアウトの利便性だけでなく、法令との整合性を確保することが欠かせません。特にハイパーテーションのように天井近くまで届く構造の場合、消防法や建築基準法の規制に触れる可能性があるため、設置前の確認が求められます。
たとえば、スプリンクラーや火災報知器の作動を妨げない設計になっているか、空気の流れを遮断しないかといった視点が必要です。また、避難経路の確保も重要な要素です。非常時の移動に支障をきたすような配置は避けるべきであり、安全性を最優先にした設置計画が求められます。
空調や照明の遮断を避ける工夫
パーテーションの配置は、空調設備や照明器具の効率に影響を与えることがあります。特に天井に近い高さのパネルを設けると、エアコンの風が行き届かなくなったり、照明が遮られて室内が暗く感じられたりする可能性があります。こうした問題を避けるためには、パネルの高さや素材選びに加えて、設置位置の工夫も必要です。
たとえば、開口部を設けて通気性を確保したり、光を通す素材を使ったりする工夫が挙げられます。こうした配慮によって、視覚的・体感的な快適さを損なわずに済みます。空間全体の環境バランスを崩さないためには、設備との干渉を事前に把握することが有効です。
動線と視界のバランス
働く人の移動や視線の通り方にも十分な配慮が必要です。パーテーションを設置することで、新たに発生する動線の変化に対応できているかを検討することが大切です。通路幅が狭くなりすぎてしまうと、通行時のストレスが増すだけでなく、安全面でもリスクが高まります。
また、完全に視線を遮ることで閉塞感が生まれることもあるため、空間の広がりを損なわない配置が求められます。視界を部分的に確保することで圧迫感を軽減できるため、透過性のある素材や適度な高さのパネルを選択することも一案です。業務に支障が出ないことはもちろん、利用者が自然に動ける導線設計を意識することが重要です。
導入目的に合わせた選び方
集中力を高めるレイアウト例
業務に集中できる環境を整えるためには、視覚的な刺激を適度に制限する工夫が求められます。パーテーションを使うことで、周囲の動きや視線を遮り、個人の作業空間を確保しやすくなります。特に集中力が求められる作業では、ローパーテーションによる仕切りが効果的です。
閉塞感を与えない高さに調整することで、視界を制限しながらも空間の圧迫を避けることができます。また、遮音性に配慮した素材を使用することで、音の干渉を軽減し、作業効率の向上につながる環境づくりが可能です。照明や通気性とのバランスを考慮しながら、視覚的なノイズを排除する配置を目指すことが有効です。
プライバシーや防音重視の導入法
個室感を求めるシーンや防音性が重要視される場面では、ハイパーテーションの導入が適しています。電話対応が頻繁に行われるエリアや、顧客情報を扱うスペースなどでは、視線と音を遮断する必要があります。
このような場合は、布やフェルトなどの吸音素材を使用したパネルや、遮音効果のある構造のパーテーションを選ぶことで、音漏れを防ぐ設計が求められます。
加えて、天井までの完全な密閉構造を避けつつも、隣接スペースとの明確な区切りを持たせる設計にすることで、快適なプライバシー環境を実現できます。内装や家具との調和も考慮し、安心して作業ができる空間を整えることが鍵となります。
柔軟な働き方を支える工夫
多様な働き方に対応するためには、可変性のあるレイアウト設計が重要です。フリーアドレスや在宅勤務といった働き方が広がる中で、固定的な間仕切りよりも、移動が容易なパーテーションの需要が高まっています。
キャスター付きの可動式パネルや、自立型の簡易ブースなどは、必要に応じてレイアウトを変更できる点で利便性があります。
また、仮設的なミーティングスペースを設けたり、チームの構成に合わせて空間を再編成したりする際にも、柔軟性の高いパーテーションが有効です。働き方に変化が生じた際にも対応可能な設計とすることで、継続的に使いやすいオフィス空間を維持することができます。
運用とメンテナンスの実践ポイント
レイアウト変更のしやすさ
オフィスの機能性を維持するためには、パーテーションのレイアウト変更が容易であることが重要です。業務内容の変化や組織改編に対応するには、柔軟な空間設計が求められます。自立型やキャスター付きタイプのパーテーションであれば、固定式に比べて配置の自由度が高く、変更時の負担を抑えることができます。
また、レイアウト変更にあたっては、動線や空調、照明への影響を確認することで、使いやすさを損なわない工夫が求められます。再配置後のバランスを踏まえた設計にすることで、運用効率を高めることができます。
清掃と衛生管理のコツ
パーテーションは日常的に触れる機会が多いため、清掃や衛生管理にも注意が必要です。特に手が触れる部分や共有スペースでは、汚れやすさと衛生面への配慮が求められます。表面素材によっては水拭きが難しいものもあるため、素材に適した清掃方法を選ぶことが大切です。
たとえば、アクリルやガラスは専用のクリーナーを使用することで、傷を防ぎながら清潔な状態を保つことが可能です。また、布張りのパネルの場合は、定期的な掃除機がけや表面の除菌対策が推奨されます。適切なメンテナンスを継続することで、長期間にわたって快適な使用が可能になります。
耐用年数と見直しのタイミング
パーテーションは半永久的に使える設備ではないため、定期的な見直しも運用における大切なポイントです。素材の劣化や構造の緩み、部品の破損などが見られた場合には、部分的な修理や交換が必要になることがあります。
また、働き方やレイアウト方針が変化した際には、それに応じた再設計を検討することが推奨されます。パーテーションの機能が発揮されなくなったり、見た目の劣化が目立ったりする前に、状況を確認し適切に対応することが望まれます。維持管理の体制を整えることで、空間全体の品質を安定的に保つことが可能です。
パーテーション導入で職場が変わる
環境改善への第一歩
オフィスにおけるパーテーションの導入は、働く環境そのものを見直す契機になります。単なる仕切りではなく、集中力を高めたり、プライバシーを確保したりするなど、空間の使い方を根本から変える力を持っています。
業務内容や組織体制の変化に応じて柔軟に対応できる設計にすることで、社員一人ひとりのパフォーマンス向上にもつながる可能性があります。空間の質が業務効率に影響を及ぼすという観点から、パーテーションは重要な役割を担っています。
選定と設置の一貫性が鍵
理想的な空間づくりには、目的に応じたパーテーションの選定と、それにふさわしい配置設計の両立が求められます。素材や高さ、可動性などの要素を丁寧に比較検討しながら、全体のバランスを考えた導入が不可欠です。
また、安全性や法令順守といった基本的な観点を外さず、機能性と美観の両立を意識した設計が重要です。設置後も快適に使用し続けるには、事前の計画と運用の工夫が効果を左右します。
将来的な拡張や変更も見越して
働き方の多様化が進む中で、オフィスの構成や使われ方は今後も変化していきます。そのため、将来的なレイアウト変更や拡張を見据えた柔軟性のあるパーテーション選びが有効です。
短期的な視点だけでなく、中長期的な視点で設計を考えることで、継続的に快適な職場環境を保つことが可能になります。空間の成長に対応できる設計を取り入れることが、働きやすさと効率性の両立に繋がります。
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