ロゴ

お気軽にご相談ください!

0120-390-865 受付時間:平日10:00〜18:00

NEWSお知らせ

2025.11.01  2025.10.10コラム

【必見】オフィス移転で働き方が悪化する3つの落とし穴と回避策

オフィス移転は、働き方を根本から見直す絶好のタイミングです。しかし、準備や設計が不十分なまま進めてしまうと、業務効率の低下や社員の不満を招き、かえって働きにくい環境に陥る恐れがあります。特に、「レイアウト設計の思い込み」「移転目的の曖昧さ」「移転後の運用軽視」といった3つの落とし穴は、多くの企業が見落としがちな要因です。この記事では、オフィス移転で働き方を悪化させないために、避けるべきポイントとその対策を具体的に解説していきます。

なぜオフィス移転で働き方が悪化するのか

理想と現実のギャップが生まれる背景

オフィス移転は、組織にとって変化の契機として注目されることが多い取り組みです。新しい環境に移ることで、社内の雰囲気が刷新され、業務の効率化やコミュニケーションの活性化が期待されがちです。しかし、現実には移転後に働きづらさが増し、生産性が下がってしまうケースも少なくありません。

その大きな要因の一つが、「理想の働き方」と「実際の業務環境」の間にギャップが生じることです。たとえば、移転にあたってフリーアドレスやオープンなオフィスを導入したものの、社員が落ち着いて集中できる場所が減り、結果として作業効率が落ちてしまうという事例はよく見られます。これは、働き方の理想像を設計する段階で、業務実態を丁寧に把握できていないことが主な原因です。

さらに、経営層やプロジェクトリーダーが持つ「未来志向のオフィス像」が先行するあまり、日々の業務を支える地道な運用や個々の働きやすさへの配慮が後回しになってしまう傾向があります。空間設計や設備投資に意識が向きすぎると、結果として現場での混乱や負荷の増加を招きやすくなります。

移転が目的化してしまう組織の盲点

オフィス移転が働き方の悪化を招くもう一つの要因は、「移転自体が目的化してしまうこと」です。本来、移転は手段であり、より良い組織運営や働き方の実現を目指すための施策のひとつにすぎません。しかし現場では、移転プロジェクトが始動すると、「スケジュール通りに完了させること」や「コストを抑えること」自体が最大のミッションのように扱われてしまうことがあります。

こうした状況では、移転後に起こる働き方の変化やその影響まで目を向ける余裕がなくなり、社員にとって必要な情報共有や運用ルールの整備が後回しにされがちです。その結果、移転完了後に「席の使い方がわからない」「資料がどこにあるかわからない」といった混乱が起こり、業務に支障をきたすことにつながります。

また、プロジェクトに関わるメンバーが移転の目的を十分に理解しないまま進行してしまうと、各部門の要望や意見がバラバラになり、結果的に全体として中途半端な設計になってしまうことも少なくありません。「形だけ整えた新オフィス」では、社員の行動や意識を変えることは難しく、旧態依然とした働き方がそのまま残り続けてしまう可能性があります。

このように、オフィス移転が働き方の改善どころか悪化を引き起こしてしまう背景には、理想の押しつけと計画性の欠如という共通した問題が存在しています。だからこそ、移転を単なる“引越し作業”ではなく、組織全体の働き方を見直す「変革の手段」として位置づけ、全体戦略と現場の実態の両面から設計を行う視点が欠かせません。

「レイアウトの最適化」が生産性を下げるケース

フリーアドレスの落とし穴

オフィス移転を機に、フリーアドレスを導入する企業が増えています。固定席を廃止することで、部門間の壁をなくし、社員同士の偶発的な交流を生む。さらに、スペースを有効活用しやすく、柔軟な働き方を促進する手法として注目されてきました。

一方で、制度設計や運用ルールが不十分なまま導入してしまうと、かえって業務効率を下げてしまうリスクがあります。たとえば、毎朝どこに座るかを探すことがストレスになったり、必要な資料や備品を探す時間が増えたりするケースも珍しくありません。業務に集中できる場所を確保しにくくなることで、従来よりも生産性が落ちてしまう事態も発生します。

さらに、フリーアドレス導入の目的が曖昧な場合、社員側もその意義を理解しにくくなります。結果として、元の固定席運用と変わらない使い方になったり、場所取りの競争が起こったりするなど、本来意図した効果が得られないまま形骸化する恐れがあります。

このような状況を回避するためには、業務内容に即したゾーニングや、使用ルールの明確化、導入前後の運用シミュレーションなどの準備が不可欠です。レイアウトはただの空間設計ではなく、組織文化や行動変容に影響を与える重要な要素であると認識すべきです。

動線設計の軽視によるコミュニケーション不足

移転後のオフィスで発生しがちな課題の一つに、「コミュニケーションが取りづらくなった」という声があります。これは、レイアウト変更の過程で、動線設計への配慮が不足している場合に起こることが多く見られます。

たとえば、従来は近くにいたチームメンバーが移転によって離れた席に配置されたり、執務スペースと会議室・打ち合わせスペースの距離が極端に離れていたりすると、ちょっとした確認や相談の機会が減少します。また、部門ごとの物理的な距離が心理的な距離にも影響を与えることがあり、部門間の連携や情報共有がスムーズに行われにくくなるケースもあります。

このような問題は、現場の業務フローや人の動きが十分に分析されないままレイアウトが決められてしまうことに起因しています。外見やスペース効率を重視するあまり、実際の使い勝手や日常的なコミュニケーションの流れが軽視されてしまうと、オフィスはむしろ“働きにくい場所”へと変化してしまいます。

動線設計においては、「誰が・どこから・どこへ・何のために動くのか」という視点を持ち、実際の業務に沿った形での空間設計が求められます。特定の部署やプロジェクトチームが頻繁にやり取りをする場合、その距離や配置関係がコミュニケーションの質を大きく左右するからです。

業務効率を意識したレイアウトを組んだはずが、業務フローや組織構造を無視した配置になっていると、結果的に連携不足やミスコミュニケーションを引き起こす原因となります。

曖昧な移転目的がもたらす混乱

全社で共有されない“目的なき移転”のリスク

オフィス移転は企業にとって大きな意思決定であり、多くのコストと時間を伴うプロジェクトです。しかしながら、「なぜ移転するのか」という目的が十分に明文化されず、関係者全体で共有されないまま計画が進行してしまうケースは少なくありません。

移転の背景には、さまざまな事情があります。たとえば、人員の増減、老朽化への対応、立地条件の改善など、表面的な理由は明確になっていても、それが企業としての方向性や働き方の改革にどのようにつながるのかが曖昧なままだと、プロジェクトは軸を失いやすくなります。

このような場合、各部門がそれぞれの立場から希望や要望を出すことになり、全体の整合性が取れなくなる傾向があります。特に設計やレイアウトの段階で混乱が起こりやすく、結果として全員が納得しない「なんとなくの折衷案」が生まれてしまうことがあります。

また、目的がはっきりしないままでは、関係者の合意形成や現場での巻き込みも進みにくくなります。社員にとっては、自分たちの働き方にどう関わるのかが見えず、移転に対して受け身の姿勢を取ってしまう原因にもなります。これは、新しい環境への適応や行動変化にも影響を及ぼしやすく、移転後の運用フェーズでトラブルが生じやすくなります。

部署間での温度差がプロジェクトを崩壊させる

もう一つの大きな課題は、部署ごとの「温度差」が移転プロジェクト全体に悪影響を及ぼすことです。ある部署は移転に強い期待を抱き、変化を前向きに捉えている一方で、別の部署はこれまでの慣れた環境が変わることに強い抵抗を示すといった状況は決して珍しくありません。

このようなギャップがある中で、移転の目的が全社的に共有されていなければ、プロジェクトに対する協力度や意見の方向性にバラつきが生まれます。各部署が独自の判断で設計に口を出したり、プロジェクト進行を止めるような懸念を示したりすると、計画の遅延や混乱が避けられなくなります。

さらに、現場の声が十分に拾われないまま経営判断だけで移転が進められると、社員の納得感を欠いた状態で移転が完了してしまうことになります。このような移転は、環境が整っていても働き方が変わらず、むしろ不満が蓄積される原因となりやすいです。

本来であれば、部署ごとの業務特性や文化に合わせて調整を行いながら、全社としての統一感と柔軟性のバランスを取ることが求められます。そのためには、移転の目的を単なる形式的な言葉として扱うのではなく、組織全体の「働き方のあり方」として明確に打ち出す必要があります。

目的が明確であれば、それを軸に各部署が主体的に意見を出し合い、共通認識のもとで移転プロジェクトを推進することが可能になります。移転を“自分ごと”として捉えてもらうための情報発信と、丁寧な社内対話が欠かせません。

「移転したら終わり」という運用設計の欠如

定着支援・評価設計がないままスタートしてしまう

オフィス移転のプロジェクトでは、設計・施工・引越しといった目に見える工程が中心に捉えられがちです。そのため、「無事に移転が完了した時点でプロジェクトは終わり」という認識が生まれやすくなります。しかし、実際には新しいオフィスでの業務が本格的に始まってからこそ、真の課題が浮かび上がるものです。

このような段階で問題になるのが、新しい働き方やオフィス環境が社員にきちんと定着しているかを評価する仕組みが用意されていないことです。たとえば、フリーアドレスやテレワークとのハイブリッド運用を導入しても、運用ルールが共有されていなかったり、利用状況が把握されていなかったりすると、社員は試行錯誤のまま働くことになり、ストレスが蓄積されてしまいます。

また、移転後のオフィスがどれだけ機能しているかを定量的・定性的に振り返る仕組みがなければ、課題の早期発見や改善につなげることが困難になります。移転にかけた労力やコストが無駄になるリスクも高まります。

加えて、移転によって業務環境が変わったにもかかわらず、研修やオリエンテーションが十分に実施されないまま新体制がスタートしてしまうと、現場は混乱をきたします。とくに新しい設備や予約システム、セキュリティの扱い方などが曖昧なままだと、使いづらさだけでなく業務の遅延やミスにもつながる恐れがあります。

こうした状況を防ぐためには、移転後の定着支援を含めた「運用フェーズ」も移転計画の初期段階から視野に入れておくことが重要です。プロジェクトが完了したかどうかを判断する指標として、移転後の職場満足度や業務効率、コミュニケーションの変化などを捉えることが求められます。

働き方の変化に対応できない運用体制

オフィス移転を通じて働き方に変化をもたらしたいと考える企業は多い一方で、その変化に対応するための運用体制が整っていない場合、移転の成果は限定的なものになります。

たとえば、レイアウトや設備だけは柔軟な働き方に対応できる設計になっていたとしても、運用ルールが従来のままであれば、結果的に古い働き方が引き継がれてしまうことになります。社員がいつ・どこで・どのように働くかを柔軟に選べる状態を目指すのであれば、それを支える制度や評価基準、マネジメントのあり方も変えていく必要があります。

また、働き方の多様化には情報共有の手段やコミュニケーションの方法も影響を受けます。これまで対面で完結していたやり取りが、デジタルツールを介したものへと変わる中で、その使用方法や活用方針が共有されていなければ、社内の連携力は低下してしまいます。

このように、オフィスの「器」が変わるだけでは働き方の変化は実現できません。重要なのは、新しい働き方を支える“中身”としての運用体制を一貫して整備し、継続的に改善していく姿勢です。制度、ルール、ツール、マネジメント、それらがすべて連動して機能することで、移転は初めて組織にとって意味のある変化になります。

移転前にやるべき3つの準備

業務実態の棚卸しと課題の明確化

オフィス移転を成功に導くためには、まず現状の業務内容と働き方を正確に把握することが欠かせません。
どの部門がどのような業務を行っているのか、どのような物理的・心理的な課題を抱えているのかを整理することで、新たなオフィスに求める要件が見えてきます。

たとえば、頻繁に対面コミュニケーションが必要な部署と、集中作業が主な業務である部署とでは、求められる環境が異なります。一律のレイアウトや機能では、全体の最適化にはつながりにくいため、各部署の実態を可視化し、それぞれの視点から必要な条件を抽出する作業が重要です。

このプロセスを怠ると、移転後に「実際の業務に合わないオフィスになった」といった不満が噴出し、期待した成果が得られなくなります。棚卸しの視点には、業務プロセス、設備利用、コミュニケーションスタイル、資料管理など、日常業務に根ざした要素を含めることがポイントです。

働き方の理想像を具体的に描く

現状の課題を把握したら、次に必要なのは「どのような働き方を目指すのか」という理想像を言語化する作業です。
単に「柔軟に働けるようにしたい」や「社員満足度を上げたい」といった抽象的な目標ではなく、どのような行動が増え、何が減るのか、どのような環境でそれが実現されるのかを具体的に描くことが求められます。

この段階でのイメージの解像度が低いまま移転計画が進んでしまうと、設計段階での判断軸がぶれやすくなり、空間づくりが目的とずれてしまいます。目指す働き方のビジョンを社内で共有し、その実現に必要な要素を一覧化することが、設計や運用フェーズでの意思決定をスムーズにします。

また、理想像を描く際には、すでに社内で機能している良い点をさらに活かす視点も忘れてはなりません。新しい環境にすることが目的ではなく、より良い働き方を実現するために何を継続し、何を変化させるべきかを見極めることが重要です。

中長期的視点での人とオフィスの関係性を設計する

移転準備の最後のステップとして考えるべきなのは、「今だけでなく、これからの変化にも対応できるオフィスにする」という視点です。
企業は常に変化の中にあり、人員構成、働き方、事業戦略も時間とともに変化します。にもかかわらず、オフィス設計が現時点の人数や組織構造に最適化されすぎていると、少しの変化で使いづらくなるリスクが高まります。

そこで必要なのが、中長期的な視野でオフィスを「柔軟に活用できる資産」として設計する発想です。たとえば、将来的に席数を調整しやすいレイアウトや、用途変更が可能な会議室・共用スペースの配置などを検討しておくことで、組織の成長や変化に対してスムーズに対応できる設計になります。

また、オフィスの物理的なスペースだけでなく、制度やルールも変化に強い構造にしておくことが求められます。定期的な見直しを前提とした運用ルール、改善の仕組み、フィードバックの導線などを設けておくことで、移転後の“形骸化”を防ぐことができます。

このように、短期的な移転成功だけを目指すのではなく、「人」と「オフィス」の関係が持続的に進化していくための設計思想を持つことが、真に価値のあるオフィス移転の準備になります。

失敗しないためのパートナー選びの視点

移転だけでなく「働き方」を設計できるか

オフィス移転を成功させるためには、自社だけで全てを完結させようとするのではなく、適切な外部パートナーの力を借りることが不可欠です。しかし、単にオフィスのレイアウトを設計したり、引越し作業を代行したりするだけの業者に依頼してしまうと、移転の本質的な価値を引き出すことは難しくなります。

本来の目的は、より良い働き方を実現するための環境づくりであるはずです。その視点から考えると、オフィスの見た目だけでなく、社員の行動やコミュニケーションのあり方、組織文化にまで踏み込んだ設計提案ができるパートナーであるかどうかが重要になります。

たとえば、「この空間をどう使うか」ではなく、「どのような働き方を促したいのか」という視点から空間設計を発想できる相手であれば、移転の効果を最大限に引き出すことが可能になります。デザイン性や施工能力の高さに加え、業務プロセスや組織課題に対する理解があるかどうかを判断材料に加えるべきです。

また、移転そのものの実務だけに目を向けるのではなく、移転後の働き方や運用フェーズまで視野に入れて提案できる体制が整っているかも、見極めるポイントになります。

運用・改善までを支援する体制かどうか

移転の成功は、引越しが終わった時点で評価できるものではありません。むしろ、新オフィスでの業務がどれだけ円滑に機能し、組織としての価値を高められるかが評価の本質です。そのためには、運用後のサポート体制も含めてパートナー選びを行う必要があります。

たとえば、移転後に発生するトラブルや不具合への対応、実際の運用に即した改善提案、オフィス利用状況の分析など、「運用段階での支援が受けられるかどうか」は、長期的な視点で見たときに非常に重要な要素となります。

また、制度やルールを設計する段階でも、働き方の変化に合わせた運用支援を提案できるパートナーであれば、社内での定着や浸透もスムーズに進めやすくなります。一時的な外部支援にとどまらず、パートナーシップとして並走してくれる存在であるかどうかも意識すべき視点です。

さらに、ツールやシステムとの連携を含めた統合的な支援が可能な企業であれば、より一貫性のあるオフィス設計と働き方の最適化が実現しやすくなります。たとえば、日本国内でも広く知られているグループウェアや予約システムと空間設計を連動させるような提案が可能な企業であれば、運用のスムーズさが大きく変わってきます。

移転という大きな転換点を単なる作業として終わらせず、「これからの働き方の基盤づくり」として位置づけることができるパートナーこそが、真に価値ある支援者であると言えるでしょう。

オフィス移転を働き方改善の“起点”にする

移転は変化を起こす手段である

オフィス移転は企業にとって大きな変化であり、多くの準備と判断を伴います。その過程で見落とされがちなのが、移転を「手段」として捉える視点です。ただ拠点を移すことを目的とせず、組織のあり方や働き方を見直すきっかけとして活用することが、本質的な成功につながります。

移転を起点とすることで、これまで後回しにしてきた課題――業務の非効率、コミュニケーションの分断、社員満足度の低下といった問題――に正面から向き合うことが可能になります。変化のタイミングだからこそ、現場の声に耳を傾け、組織全体として前進する方向性を整える機会として活用するべきです。

変化の質を左右するのは準備と継続性

オフィスの設計や移転作業そのものよりも、その後に続く「変化の質」を左右するのは、事前の準備と移転後の継続的な改善にあります。どれだけ立派な空間が完成しても、そこに適切な制度やルールがなければ、働き方の改善にはつながりません。

また、移転プロジェクトは一時的な業務であっても、働き方の最適化は継続的な取り組みであるという前提を忘れてはいけません。運用状況を定期的に見直し、小さな改善を重ねていくことで、初めて移転の価値が定着し、組織の進化に結びついていきます。移転はゴールではなく、新たなスタートです。そのスタートラインに立つ準備が整っていれば、オフィスは単なる“場所”ではなく、企業の未来を形づくる重要な戦略資産となるはずです。