ロゴ

お気軽にご相談ください!

0120-390-865 受付時間:平日10:00〜18:00

NEWSお知らせ

2026.01.05  2025.12.24コラム

BCP対応のオフィス設計で後悔しないために|災害時も業務を止めない5つの条件

地震・台風・感染症など、予期せぬリスクに備える「BCP(事業継続計画)」の重要性が高まる中、空間設計の観点から備えを強化する動きが進んでいます。特にオフィスは、業務の拠点であると同時に、従業員の安全と企業の信頼性を支える要素でもあります。本記事では、BCP対応を前提としたオフィス設計について、災害時でも業務を止めないために必要な条件を、具体的かつ実践的な視点で解説します。

BCP対応のオフィス設計とは?(定義と背景)

BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。自然災害、感染症、システム障害など、突発的なリスクに直面しても、企業活動を可能な限り中断させずに継続し、早期に復旧させることを目的とした取り組みです。これまでBCPは、システムの冗長化や重要業務の手順マニュアル整備といったIT・業務プロセス中心の対策として捉えられることが多くありました。しかし近年では、物理的な拠点である「オフィスそのもの」に対してもBCPの視点が求められるようになっています。

企業活動の多くは、オフィスという空間を起点に行われます。そこには従業員、機材、資料、通信設備といった業務を支える要素が集中しています。したがって、オフィスが使えない状態になることは、単に建物の損壊にとどまらず、業務全体の停止や納期遅延、顧客対応不能といった深刻な影響を招きかねません。そうした背景から、「建物の耐震性」や「ライフラインの確保」といったインフラ面に加えて、「レイアウト設計」や「従業員の安全確保」まで含めた包括的な対策が求められています。

また、BCP対応のオフィス設計が注目されるようになった理由のひとつに、「企業の信頼性」という観点があります。災害時に事業を継続できるかどうかは、単なる内部課題にとどまらず、取引先や顧客からの信用に直結します。万一の際にも、最低限の連絡体制やサポート機能を維持できる体制を整えておくことは、企業としての責任ある行動と見なされます。特に近年では、サステナビリティやリスクマネジメントの観点から、BCPを積極的に開示する企業も増えており、その内容が対外的な評価にも影響を与えるようになっています。

こうした流れの中で、BCP対応を前提としたオフィス設計の需要が高まりつつあります。単に「快適な職場環境」をつくるだけではなく、事業継続の観点から安全性・柔軟性・回復力を備えた空間を構築することが、今後のオフィスづくりにおける基本条件のひとつとなってきています。オフィスは単なる作業場所ではなく、企業の“機能を支えるインフラ”として再定義されているのです。

BCP対応オフィスの構造と設計プロセス

BCP対応を考慮したオフィス設計は、空間デザインの技術だけで成立するものではありません。事業継続のために「何を守るべきか」「何を優先すべきか」を明確にし、それを空間に落とし込むという工程が必要です。単なる見た目の刷新ではなく、業務機能を維持する“戦略的な構造設計”が求められます。

BCPの基本構造とオフィスに求められる役割

BCPの構成要素は、大きく分けて5つに整理できます。それは「目的の明確化」「業務の優先順位付け」「代替手段の検討」「復旧手順の整備」「訓練と見直し」です。これらはすべて、オフィスの使い方や構造と密接に関係しています。

たとえば、業務の優先順位を定める際には、緊急時でも継続すべき業務に関わる人員・設備・情報資源がどこにあるかが重要になります。紙資料の保管場所、重要機器の配置、サーバールームの位置などが適切でなければ、BCPは絵に描いた餅になってしまいます。こうした優先業務と資源の配置関係を意識した設計が、物理的なリスクを減らし、業務復旧のスピードにも大きく影響します。

また、代替手段を考える際には、拠点分散やテレワーク環境の整備が挙げられます。こうした手段をスムーズに活用するには、オフィス内におけるIT機器の設置場所、通信環境の整備、会議室の多目的化など、運用を支える設計要素が必要です。設計とBCPが分離していると、どれだけ計画が綿密でも、実行段階で支障をきたすケースが少なくありません。

オフィス設計におけるBCP対応の進め方

実際にBCPを反映したオフィス設計を行う場合、まず必要なのは現状のリスク評価です。立地・建物・内装・機器配置・運用フローなど、あらゆる側面を棚卸しし、「どこに脆弱性があるのか」を明確にします。これにより、優先的に対策すべき項目が見えてきます。

次に、抽出された課題に対して「空間としてどう対応するか」を設計段階で検討します。たとえば、耐震性のある什器を使う、安全な避難経路を確保する、分散配置によって集中リスクを軽減する、などが代表的な対応です。設計士や施工管理者と共に進める際も、BCPの視点を共有しておくことで、目的からぶれない設計が可能になります。

さらに、関係者間での意思統一も重要です。BCPは経営判断に関わる分野であるため、総務や施設管理部門だけでなく、経営層・情報システム部門・現場部門との連携が欠かせません。全体のビジョンを共有しながら、必要なスペックや機能性を明文化し、それをもとに設計を進めていく流れが理想的です。

BCP対応のオフィス設計は、一見すると特殊な設計のように思えるかもしれませんが、実際には「業務に支障を出さない空間を作る」という本質的な目的に則った設計です。通常のオフィスづくりと大きく異なるのではなく、より明確な意図と優先度に基づいて設計判断を行うプロセスが特徴といえます。

BCP対応オフィスに必要な5つの設計条件

災害や突発的なトラブルが発生した際にも、業務を止めずに継続できる環境を構築するには、空間設計の観点から「備えるべき条件」を明確にすることが重要です。BCP対応として機能するオフィスをつくるには、以下の5つの観点から設計を見直すことが求められます。

耐震性・立地・建物インフラの確保

BCPの土台となるのは、安全な建物環境です。耐震基準を満たす構造であるか、立地が地盤的・災害的に安定しているか、周辺インフラが遮断されにくい場所にあるかといった条件は、オフィス選定や移転時の判断基準として欠かせません。加えて、非常用電源や受水槽、備蓄スペースなどのインフラ設備が整っているかも、事業継続性を左右します。

オフィス内の物理的安全性(レイアウトと什器配置)

オフィス内のレイアウトにも、リスクを最小限に抑える工夫が必要です。避難動線が確保されているか、什器やパーティションの転倒・落下を防止できているか、出入口や階段へのアクセスが妨げられていないかなど、安全性を前提とした空間設計が求められます。また、物の配置だけでなく、視認性や誘導表示のわかりやすさも重要な要素となります。

通信・ITインフラのバックアップ体制

オフィスでの業務は、多くの場面で通信とITに依存しています。BCP対応の観点では、停電や障害発生時にも最低限の業務を継続できるよう、複数回線の確保や通信機器の配置の工夫が求められます。たとえば、自席以外でも作業できるネットワーク環境や、緊急連絡網を含む情報共有手段が整っているかどうかは、計画段階から設計に織り込んでおくべき内容です。

備蓄・衛生・ライフラインの管理体制

災害が発生した際に建物内に留まらざるを得ない状況も想定し、備蓄や衛生面の配慮も欠かせません。飲料水・保存食・簡易トイレ・衛生用品などが適切に管理され、必要なときにすぐ取り出せる状態になっているか、社内での運用ルールも含めた設計が重要です。また、空調や換気といったライフラインの継続性も評価軸のひとつになります。

社員の安全と心理的安心を守る空間設計

BCPは物理的な被害を防ぐだけでなく、社員の安心と信頼を守る役割も担っています。災害時や感染症拡大時に出社する必要がある場合、十分なパーソナルスペース、衛生環境、心理的に落ち着ける空間設計が必要とされます。執務エリアだけでなく、休憩スペースや仮眠エリアなど、緊急時の心身のケアにも配慮した空間づくりが求められます。

これら5つの条件は、いずれも単体で機能するものではなく、総合的な設計思想の中でバランスを取って取り入れる必要があります。設計初期の段階からBCPの視点を持ち、必要な要素を見落とさずに計画に組み込むことが、実効性の高いオフィスづくりの鍵になります。

経営者が誤解しやすいBCP設計の落とし穴

BCP対応のオフィス設計を進めるにあたり、意図せず判断を誤ってしまうケースは少なくありません。特に経営層が「BCP=計画書の作成」と捉えてしまうことで、実効性を欠いた対応になることがあります。ここでは、見落とされがちな3つのポイントに触れていきます。

紙のBCPだけでは機能しない

事業継続計画を策定しただけで満足してしまい、実際の空間や運用に反映されていないケースがあります。紙の上では手順が整っていても、オフィス内の設備や導線がそれに対応していなければ、いざというときに機能しません。BCPは「文書としての整備」と「空間・設備・行動の設計」がセットであることを認識しておく必要があります。

「安全=コストが高い」という誤解

安全性を確保することは、必ずしも大きなコストを意味するわけではありません。設計の初期段階からリスクに備えたプランを組み込むことで、後から対応するよりもトータルコストを抑えられる場合もあります。緊急時の損失を防ぐ投資と捉える視点を持つことが重要です。

内装業者任せにすると失敗する理由

オフィスの内装工事を担当する業者に全てを一任してしまうと、BCP視点が欠けたまま設計が進行する恐れがあります。一般的な内装設計は、見た目やレイアウトの利便性が優先されがちですが、非常時の行動動線や設備冗長性といった要素は専門的な視点がなければ考慮されにくい領域です。設計段階からBCPの要素を共有し、共通の目的意識を持って進めることが欠かせません。

BCP対応オフィス設計の実例から学ぶ

BCP対応のオフィス設計は、企業の業種や規模、拠点の立地によって最適なアプローチが異なります。ここでは、実際の設計現場で見られる2つの代表的なケースに焦点を当て、どのような考え方が有効だったのかを確認していきます。

中小企業の縮小移転事例:災害リスク回避とコスト削減の両立

限られた予算の中でBCPに対応しようとする際、多くの企業が「できる範囲での優先順位付け」に直面します。とくに中小企業の場合、すべての対策を一度に導入することは現実的ではありません。そのため、オフィス移転を機に拠点の見直しを行い、「災害リスクの少ない地域」や「設備が整ったビル」へ移るという選択を取るケースが増えています。

こうした事例では、床面積を縮小しながらも、在宅勤務やサテライトオフィスを併用することで、従来の働き方を維持しつつリスク分散を実現する手法が採用されることがあります。BCPを前提としたオフィス設計では、単なる物理的な空間だけでなく、働き方そのものを再構築する視点が求められます。

加えて、執務スペースの機能性を維持しながら、災害時にも稼働できる最小限の設備を残すなど、メリハリのある設計が特徴です。このように、移転をきっかけにBCP対応の考え方を組み込むことで、コストと安全性のバランスを取りやすくなる傾向があります。

士業事務所の改装事例:感染症対策と来客対応を両立

士業事務所では、業務の性質上、クライアントとの面談が不可欠です。そのため、感染症リスクや災害発生時にも一定の来客対応を維持できる設計が求められます。このようなケースでは、改装のタイミングで「受付・応接・執務エリアを明確に分離する構成」へと変更するパターンが見られます。

来客スペースには、外部との接触を最小限に抑えるための動線設計や、換気効率を高めるレイアウトが採用されることがあります。また、執務エリアでは、デスク間の間隔やパーティションの設置によって、感染症対策と集中できる作業環境の両立が図られます。

さらに、紙資料を多く扱う業務であることから、重要書類の保管エリアには耐火性やセキュリティ性のある什器を使用し、緊急時でも損失を最小限に抑えるための備えが加えられることがあります。こうした工夫は、来客者への安心感と業務継続性を両立させるために有効です。

このように、業種ごとの業務特性や優先事項を踏まえたBCP対応の空間設計は、形式的な対策にとどまらず、実際に機能する構造と運用へとつながっています。

BCP対応オフィス設計を成功させるチェックリスト

BCPを前提としたオフィス設計は、事前の検討段階でいかに重要な要素を見落とさずに整理できるかが成果を左右します。そこで、設計・運用において確認すべきポイントをチェックリスト形式で整理しておくことが有効です。空間づくりに携わる担当者だけでなく、経営層にとっても判断材料として活用できる観点を以下に紹介します。

物件選定・設計・運用におけるチェックポイント

まず、物件選定段階では、立地の災害リスクや建物の構造に関する情報を把握しておく必要があります。耐震性能、非常用設備、備蓄スペースの有無といった要素は、入居前に確認しておくべき基本項目です。

設計段階では、避難経路の確保や什器の転倒防止対策など、物理的な安全性に加え、非常時の行動を想定した動線設計が求められます。通信機器や電源の配置、重要資料の保管場所といった細かなポイントも、BCPと整合性が取れているかを確認しておく必要があります。

運用段階では、備蓄品の管理方法や非常時の連絡体制が機能するかどうかを、定期的に検証する仕組みを持つことが重要です。あわせて、従業員に対する教育・訓練を通じて、設計された環境を適切に使いこなせる体制を整えておくことが求められます。

実施フェーズで使える社内用チェックリスト(簡易版)

BCP対応オフィスを設計・導入する際に使える、社内向けの簡易チェックリストとして、以下のような観点を項目化しておくと便利です。

これらのチェックリストは、プロジェクト進行の中で一度限り使用するものではなく、運用開始後も定期的に見直していくことが重要です。必要に応じて項目を更新し、自社の事業内容や運用実態に合わせてカスタマイズしていく視点が求められます。

BCP対応のオフィス設計で後悔しないために

BCP対応のオフィス設計は、「いざという時に備える」ためだけではなく、日常的な働き方の質を高める視点からも重要な取り組みです。計画段階で何を優先すべきかを見極め、業務継続の支障となる要素を設計の段階で排除することが、後のトラブルを未然に防ぐ鍵となります。

BCPを考慮したオフィス設計には、建物そのものの選定や空間レイアウト、安全設備の確保、情報インフラの整備など、多くの判断が関わってきます。これらの検討事項をバランスよく整理し、事業規模や業種に応じた対策を講じるには、全体を俯瞰した視点と専門的な知見が不可欠です。

BCP対応に特化した設計提案を行うパートナーと連携することで、表面的な見た目や単純な機能性だけでは判断できない「リスク対応力」を備えた空間設計が可能になります。特に、オフィス移転やレイアウト変更を検討している段階であれば、計画初期からBCPの視点を組み込むことが、後悔のない意思決定につながります。

TRUSTオフィスでは、BCP対応を前提としたオフィスづくりを多数支援してきた実績があります。建物選定の段階から設計・施工、移転後の運用アドバイスまで、一貫して伴走する体制を整えています。事業継続の確保と空間価値の向上を両立させるご提案が可能です。

まずは、現状の課題整理から始めてみてはいかがでしょうか。BCP対応のオフィスづくりについて、より具体的な相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

記事全体の要点と、次に踏み出す行動

BCP対応のオフィス設計は、単なる防災対策の延長ではなく、企業が持続可能な運営体制を整えるための戦略のひとつといえます。災害や緊急事態が発生した際に、従業員の安全を確保しつつ、業務を最小限の影響で継続させることができるかどうかは、日頃の設計や準備にかかっています。

そのためには、建物の選定やレイアウト設計、インフラ整備、備蓄・通信・避難動線の整備など、複数の要素を統合的に設計する必要があります。こうした判断は、一部門だけで完結させるのではなく、経営層と実務担当者が連携しながら進めることが重要です。

BCPを考慮したオフィスづくりに関して、「何から始めればよいかわからない」「現在の環境で十分なのか不安がある」という声も少なくありません。そうした不安や疑問に対して、専門的な視点で現状を診断し、目的に応じた設計方針を導き出すサポートが有効です。

TRUSTオフィスでは、BCP対応を視野に入れた空間設計のご相談を随時受け付けています。建物や設備の評価から、具体的な設計・施工、移転に関する検討まで、一貫した視点で提案を行うことが可能です。

まずは、現状のオフィスについて「BCPの視点からどこにリスクがあるのか」を整理するところから始めてみてください。その第一歩として、TRUSTオフィスの専門スタッフによる無料相談をご活用いただけます。