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2026.01.06  2025.12.24コラム

防災時のためのオフィス設計のチェックリスト|見落としがちな法規と設備の注意点

地震や火災など、予期せぬ災害はオフィスの機能を一瞬で奪います。建物の耐震性だけでなく、レイアウトや什器の配置、備蓄スペースの設計まで、日常業務と災害対策を両立する空間づくりが求められています。本記事では、防災を軸にしたオフィス設計の具体的なチェックポイントを明確にし、見落とされがちな法規や設備面にも踏み込みながら、安全性と機能性を両立する設計戦略を解説します。

オフィス防災設計とは?|基本と重要性の整理

なぜ今、防災設計が問われているのか

災害発生時に最も重要となるのは、人命の保護と事業活動の継続です。オフィスという空間は、多数の人が集まり、かつ多様な業務が行われる場であるため、災害の影響を受けた際の被害は広範囲に及びます。特に地震や火災といった突発的な災害が起きた場合、建物の耐震性だけではなく、内部のレイアウトや什器の配置、避難導線といった細部まで整備されていないと、安全確保が難しくなります。

また、防災設計のあり方は、単に「非常時に耐えられる構造を用意すること」だけではありません。通常時の業務運営と、非常時の対応を両立できる環境を整えるという視点が求められます。働きやすさを損なわずに、安全性を高める設計が必要とされている背景には、従業員の安心感と企業の社会的責任という二重の要請があります。

災害後の対応に備えるBCP(事業継続計画)とも深く関係しており、設計段階から防災を織り込むことで、災害リスクを最小限に抑え、復旧までの時間を短縮することができます。防災設計は、経営上の危機管理戦略と密接に結びついている分野です。

通常の設計との違いとは

一般的なオフィス設計では、効率的な動線や快適な作業環境、デザイン性が重視されます。しかし、防災設計においては、それらの要素に加えて、構造安全性や避難性、備蓄機能といった安全性・機能性の観点が加わります。

たとえば、家具のレイアウトひとつをとっても、転倒や落下を防ぐ配置、避難時に妨げにならない動線の確保などが求められます。視認性の高いサイン計画や、災害時に必要となる備品をストレスなく取り出せる収納設計も、実用的な防災要素の一つです。

また、防災設計では、建築基準法や消防法など、法的な要件を満たすことは前提条件ですが、それだけでは不十分です。たとえば、法律上の基準は満たしていても、什器や書庫の固定が不完全だったり、避難経路に支障をきたす構造になっていたりするケースは少なくありません。

設計者や施工業者と初期段階から協議を重ねることで、防災の視点を計画全体に反映させることが可能になります。つまり、防災設計とは「法的に正しいだけではなく、現場で機能する空間をつくる」ための視座であり、単なるチェックリストでは対応できない思考と連携が求められます。

オフィス防災設計の構造・流れ|どこで何を決めるか

設計フェーズでの防災要素の組み込み方

防災設計をオフィスづくりに反映させるには、単に完成後に対策を講じるのではなく、計画段階から災害リスクを見据えて構成を検討する必要があります。物件選定の時点で建物の構造や立地条件を確認するところから、すでに防災設計は始まっています。耐震性能や非常用電源の設置可否、避難動線の確保可能性など、選定の基準には安全性が含まれるべきです。

その後のレイアウト設計フェーズでは、什器の配置や通路幅、照明・サインの視認性を確保しつつ、災害時の避難を阻害しないような構成を検討します。さらに、備蓄スペースの確保や安否確認の動線づくりなど、平時には意識されにくいポイントも計画に盛り込む必要があります。

施工段階では、家具や設備の固定、天井材・壁材の仕様など、設計意図が実際に反映されているかを細かく確認しながら進めます。初期段階で防災に配慮したレイアウトや設備を設計に落とし込んでいないと、工事の最中や完了後に再対応が必要となり、手戻りや追加コストの原因となります。

このように、防災設計は「設計」「施工」「運用」の各フェーズにまたがって考慮する必要があり、プロジェクト全体を通じて一貫性を持たせることが重要です。

建築士・施工管理者との連携の重要性

防災設計を成功させるためには、設計者・施工管理者との密な連携が不可欠です。建築士は構造安全性や法令対応において専門的な知見を持っており、企画段階からの相談によって設計全体の方針が確立しやすくなります。また、レイアウト設計を担当するインテリア設計者や内装デザイナーとも連携することで、デザイン性と安全性の両立が実現します。

施工管理者は、現場で設計通りに施工がなされているかを確認する立場にあります。家具や什器の固定方法、天井材の仕様、配線経路の安全性など、施工の品質と防災性能の担保には密な監督が欠かせません。設計図面上では問題がないように見えても、施工時の微調整によって意図しない変更が生じるケースもあるため、計画通りに仕上がっているかどうかを都度確認する体制が必要です。

加えて、プロジェクトマネジメントに関わる担当者が防災視点を持って全体を見通すことで、計画のズレやリスクを早期に発見できます。複数の専門領域にまたがる要素を調整するには、各プレイヤーが共通認識を持ち、早い段階から意見交換を行うことが重要です。

防災に強いオフィスの特徴と課題

設備・レイアウト・内装の観点で見るポイント

防災に配慮されたオフィスにはいくつかの共通点があります。まず、設備面では、非常用照明や災害時の通信手段、停電時のバックアップ電源などが事前に整備されています。加えて、天井や壁材に不燃性・耐震性に優れた建材を用いることで、被害拡大のリスクを最小限に抑える工夫がなされています。

レイアウト設計も重要な要素です。避難経路を妨げない動線設計、什器や棚の転倒を防ぐ固定処理、出入口周辺の空間確保など、万が一の際に安全な行動が取れるよう計画されていることが求められます。特に人の移動が集中する通路や会議室周辺では、混乱を招かないよう配置に配慮が必要です。

内装面では、視認性の高い案内表示や避難サインの設置、非常口の明示などが基本となります。また、収納スペースに防災備蓄を常備するなど、災害対応力を高める工夫も効果的です。これらの要素がバランスよく配置されているオフィスは、災害時にも冷静な対応がしやすく、従業員の安全確保につながります。

企業が陥りやすい誤解と注意点

一方で、防災に強いオフィスを目指す際に注意が必要な点もあります。もっとも多い誤解は「法令に適合していれば十分」という認識です。確かに建築基準法や消防法の要件を満たすことは必要ですが、それは最低限の基準に過ぎません。災害の規模や特性によっては、法的要件だけでは対応できないリスクも存在します。

また、意匠性を重視するあまり、安全性が後回しになるケースも見受けられます。見た目を重視したガラスパーティションや大型の什器を導入した結果、非常時の避難を妨げる要因となってしまうことも少なくありません。設計段階で安全性とデザイン性のバランスを取るには、複数の視点から検証を行うことが不可欠です。

さらに、オフィスの使用年数が長くなるにつれて、当初設計した防災対策が陳腐化しているケースもあります。移転やレイアウト変更が行われたにもかかわらず、防災計画が更新されていない状況では、実際のリスクに対応できなくなっている可能性があります。こうした問題を防ぐには、定期的な見直しと社内体制の整備が必要になります。

初心者が見落としやすい防災設計の落とし穴

実務で多い失敗パターン

オフィスの防災設計において、初めて取り組む場合に陥りがちな落とし穴があります。その一つが、社内の合意形成が不十分なまま計画を進めてしまうケースです。防災設計は空間やレイアウトに直接影響を及ぼすため、総務部門だけでなく、人事や経営層、時には法務部門などとも連携する必要があります。調整が遅れることで全体のスケジュールに影響が出ることもあるため、関係者間で早期に目的と範囲を明確にしておくことが重要です。

また、家具や什器の固定に対する意識の低さもリスクの一因となります。転倒防止のための措置が設計段階で検討されず、完成後に「後付け」で対応しようとすると、見た目や機能面で支障が出ることがあります。安全性を確保するためには、什器の仕様や固定方法をあらかじめ設計に盛り込む必要があります。

さらに、備蓄に関する見積もりが甘い点も問題となりやすいポイントです。保存食や水、衛生用品などの数量や保管スペースを想定せずに計画を進めてしまい、結果として十分な備蓄が確保できないという状況に陥る場合があります。備蓄は企業の規模や働き方によって必要量が異なるため、早い段階で想定人数と必要物資を整理することが欠かせません。

見直しのタイミングを逃しがち

防災設計は一度実施すれば終わりではありません。オフィス移転やレイアウト変更のタイミングは、既存の対策を見直す絶好の機会です。にもかかわらず、引越しや改装が業務効率や働きやすさを優先して進められ、防災の視点が抜け落ちてしまうケースがあります。防災計画が古いままでは、レイアウトや人数の変化に対応できず、非常時の対応力が低下する恐れがあります。

また、「以前に設計段階で対策したから大丈夫」という過信も見直しの妨げになります。オフィスの運用は日々変化し、設備の追加や人員の増減などによって環境が変わっていきます。初期の計画が今の実態と合っているとは限らないため、定期的なチェックと必要に応じた再設計が必要です。

こうした視点を持たずに防災設計を形式的に捉えてしまうと、実際の災害時に本来の機能を果たせないリスクが高まります。形式ではなく、実務で機能する計画となっているかを見直す姿勢が求められます。

実務で役立つ防災設計チェックリスト

物件・構造に関するチェック項目

防災を前提としたオフィス設計を進めるうえで、まず確認すべきは建物そのものの安全性です。物件選定の段階で耐震性能や構造形式を確認し、災害時の倒壊リスクを評価することが基本となります。立地についても、液状化の可能性や近隣の火災危険性、浸水区域に該当していないかをチェックする必要があります。

次に注視すべきなのが、非常用電源や自家発電設備の有無です。災害時には通常の電力供給が途絶える可能性があるため、重要な業務を維持するにはバックアップ体制が不可欠です。また、共用部にある避難階段や非常口の位置、消防設備の配置状況も確認し、社内の動線設計と矛盾しないかを見ておくことが重要です。

さらに、通信インフラについても確認しておくと安心です。災害時でも利用可能な通信手段が確保されているか、緊急時の連絡網に支障が出ない構成になっているかなど、業務継続の観点から評価することが求められます。

内装・レイアウトに関するチェック項目

内装設計とレイアウト計画は、防災の実効性を左右する重要な要素です。まずは什器や棚の固定状況を確認し、地震発生時の転倒・移動を防ぐ構造になっているかを見直す必要があります。背の高い収納棚やキャスター付きの機器は特に注意が必要です。

避難動線の確保も欠かせないポイントです。執務エリアから非常口までの経路が障害物なく確保されているか、ドアやパーティションが開閉の妨げにならないかなど、日常の業務動線とは別に、災害時の移動を前提としたレイアウトを検討することが重要です。

また、サイン計画も見直しておくべきです。停電時でも視認可能な蓄光サインや非常灯の設置、階段や扉の識別表示などは、安全な避難行動を促すうえで効果的です。視認性の高い案内表示によって、混乱を最小限に抑えることが期待されます。

備蓄・マニュアル・人的対応のチェック項目

防災対策はハード面の整備だけでは不十分であり、ソフト面の運用体制も併せて整える必要があります。備蓄に関しては、水・食料・簡易トイレ・毛布・衛生用品など、必要な物資が過不足なく揃っているか、保管場所が安全かつ取り出しやすい場所にあるかを確認します。

また、安否確認の仕組みも事前に整えておくべき項目です。緊急時に全従業員の所在を把握できる体制が構築されているか、定期的な訓練によって運用の実効性が高められているかなどが問われます。

さらに、避難マニュアルの整備状況も重要です。誰がどのタイミングでどの行動を取るのか、役割分担は明確か、避難後の集合場所や情報共有の手順が従業員に浸透しているかなど、文書化と社内教育の両面から検討する必要があります。

こうしたチェックリストを用いて現状を評価し、具体的な改善点を明確にすることで、防災設計はより実効性の高いものとなります。定期的な見直しと記録の蓄積によって、緊急時にも対応力のあるオフィスを維持することが可能になります。

よくある質問(FAQ)と誤解の解消

Q. 防災設計とBCP対策は同じことですか?

防災設計とBCP(事業継続計画)は目的が一部重なりますが、内容は異なります。防災設計は、主に建物や空間の「安全性」と「避難性」を高めるための設計的配慮を指します。什器の固定や避難経路の確保、耐震性の高い建材の選定などがその対象です。

一方、BCP対策は災害発生後にどのように業務を継続・再開するかを計画するもので、情報のバックアップ体制や代替拠点の確保、社員の安否確認や対応フローの整備などが含まれます。つまり、防災設計はBCPの一部を構成する要素であり、どちらか一方では不十分であると考えるべきです。

Q. 法律に準拠していれば、それだけで十分ですか?

建築基準法や消防法を遵守していることは、防災設計の出発点としては重要です。しかし、それだけではすべてのリスクに対応できるとは限りません。法律は最低限の安全基準を定めたものであり、企業の立地条件や業種、組織体制に応じた対策が求められます。

たとえば、従業員数が多いオフィスや、高度な情報インフラを持つ事業所では、一般的な法的基準を超えた対応が必要になります。法令遵守を前提としながら、自社の状況に合った実務的な安全設計を検討することが望ましい対応といえます。

Q. レイアウト設計に防災の考え方をどう反映すればよいですか?

レイアウト設計においては、普段の業務効率と災害時の避難行動の両立を意識することが重要です。通路幅や出入口の確保、什器配置による転倒リスクの軽減などは、設計初期から検討する必要があります。

また、避難導線を妨げないようパーティションや家具の配置を見直したり、非常口や案内表示の視認性を高める工夫も効果的です。業務のしやすさと非常時の対応力のバランスを取りながら、安全性を確保できるレイアウトを目指すことが、防災設計における基本的な考え方となります。

まとめ|安全性と戦略性を両立する防災設計とは

オフィスの防災設計は、単なるリスク回避にとどまらず、企業としての信頼性や継続性を支える重要な戦略の一部です。災害への備えが整っている空間は、従業員に安心感を与えるだけでなく、組織の運営力や社会的責任への姿勢も可視化されます。レイアウトや什器の選定、備蓄計画の有無といった個別の要素だけでなく、それらをどう組み合わせて運用に落とし込むかが問われます。

また、設計段階での判断が空間の安全性に直結するため、防災視点を早期から盛り込む体制づくりが求められます。移転や改装といったタイミングは、防災設計を見直す絶好の機会です。経営資源の一部として空間を捉えることで、単なる設計以上の価値が生まれます。

もし現在のオフィスに不安がある場合や、今後の移転・再設計を検討している場合は、専門家とともに課題を整理することで、安全性と業務効率の両立を実現しやすくなります。

TRUSTオフィスでは、災害に備えた空間設計の支援を通じて、企業の課題に寄り添う提案を行っています。物件選定からレイアウト設計、内装工事まで一括でサポートし、事業継続を視野に入れた安全なオフィスづくりをサポートいたします。将来を見据えた戦略的な防災設計を進めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。この記事は、オフィス設計・内装・移転支援に専門特化したTRUSTオフィスの専門スタッフが監修しています。多数のプロジェクトで培った実務経験をもとに、災害対策と空間戦略の融合を実現するための知見をもとに執筆しています。