2026.02.18 2026.02.17コラム
ハイブリッドワークでのオフィスレイアウトとは?失敗しない設計の基本

目次
テレワークと出社を柔軟に組み合わせる働き方が広がる中、従来のオフィスでは対応しきれない場面が増えています。生産性を損なわず、組織全体の連携を保つには、目的に合ったオフィスレイアウトの再設計が欠かせません。この記事では、ハイブリッドワークに最適なレイアウト設計の基本と、失敗しないための考え方を具体的に解説します。
ハイブリッドワークとオフィスレイアウトの関係とは(定義・基本)

ハイブリッドワークとは何か?
ハイブリッドワークとは、オフィス勤務とリモートワークを組み合わせた柔軟な働き方です。業務内容や個人の状況に応じて働く場所を選べる点が特徴で、多様な働き方への対応として注目を集めています。
従来は、業務の多くをオフィスで行うことが前提でしたが、今では「場所に縛られずに成果を出す」ことが重要視されるようになりました。その結果、業務効率の確保やチームの一体感を保つために、空間の使い方そのものを見直す動きが広がっています。
制度を整えるだけでは、働き方の変化に対応しきれません。ハイブリッドワークを本質的に支えるには、実際に働く場であるオフィスの再設計が不可欠です。
オフィスレイアウトがなぜ重要なのか
ハイブリッドワークを導入する企業にとって、オフィスレイアウトの見直しは避けて通れない課題です。理由の一つは、「出社する目的の変化」です。情報共有やコミュニケーションのために集まる場としての役割が強まり、従来の固定席中心の配置では対応が難しくなっています。
もう一つは、「出社率の不均一化」への対応です。日や部署によって在席人数が異なる場合、スペースの無駄が発生します。そのため、柔軟に使える空間設計が求められています。
また、オフィスは企業文化を象徴する場でもあります。働く空間に理念や価値観を反映させることで、帰属意識やモチベーションの向上にもつながります。
こうした背景から、ハイブリッドワークを機能させるには、制度と連動したオフィスレイアウトの戦略的な見直しが必要です。
ハイブリッドワークに適したオフィスの仕組みと構造
働き方に応じたゾーニングの考え方
ハイブリッドワークを前提としたオフィスづくりでは、空間を用途ごとに明確に区分する「ゾーニング」の設計が重要です。業務には集中を要するタスクもあれば、メンバーとの対話やブレインストーミングが求められる場面もあります。それぞれに適した環境を用意することで、社員が目的に応じて最適な場所を選択できるようになります。
たとえば、個別業務に集中できる静かなスペースと、打ち合わせや雑談がしやすいオープンエリアを明確に分けることで、業務の質を保ちつつ、コミュニケーションも促進されます。必要に応じて、オンライン会議専用のスペースを用意することも検討すべきです。
このように、ゾーニングはただの空間の区切りではなく、働き方に合わせた機能の設計という視点で捉える必要があります。
レイアウトに求められる3つの柔軟性
ハイブリッドワーク環境では、変化への対応力が問われます。オフィスレイアウトにも、次の3つの柔軟性が求められます。
1つ目は「時間の柔軟性」です。出社時間や勤務時間が個人によって異なる場合でも、快適に業務ができる環境が求められます。例えば、朝早くから利用できるスペースや、夜間でも作業がしやすい環境の整備がその一例です。
2つ目は「空間の柔軟性」です。用途変更に対応できるレイアウト、可動式の家具や間仕切りの活用などがこれに該当します。業務やプロジェクトに応じて、空間の意味づけを変えられる設計が理想的です。
3つ目は「人数の柔軟性」です。出社人数が日によって変動する前提で、座席数や共有スペースの広さを調整できる設計が求められます。固定的な配置ではなく、変化を想定した構成が重要です。
このように、柔軟性を組み込んだ構造設計こそが、ハイブリッドワーク時代に対応するオフィスの前提となります。
ハイブリッドオフィスのメリット・デメリットを整理する

導入による主なメリット
ハイブリッドワークに対応したオフィスレイアウトには、さまざまなメリットがあります。最も注目されているのは、オフィスコストの最適化です。出社人数に応じた空間設計を行うことで、無駄なスペースの削減が可能となり、固定費の見直しにもつながります。
さらに、社員にとっては自由度の高い働き方が実現できることも大きな利点です。自分の業務に合った場所を選び、集中しやすい環境で働けることは、仕事の質にも好影響を与えます。出社を強制されないことで、ライフスタイルに合った働き方を維持でき、結果として定着率やエンゲージメントの向上にもつながりやすくなります。
また、働く場所が選べることにより、採用活動における優位性を確保できる点も見逃せません。勤務地を理由に選択肢から外れていた優秀な人材にアプローチできる環境は、企業にとって大きな価値を持ちます。
こうした視点から、ハイブリッドオフィスは単なるレイアウト変更ではなく、経営戦略の一環として捉えられています。
見落としがちなデメリットとリスク
一方で、メリットだけに目を向けて設計を進めると、思わぬリスクに直面する可能性もあります。まず課題となるのが、コミュニケーションの分断です。物理的に同じ空間にいないことで、ちょっとした相談や意思決定のスピードが低下する恐れがあります。
また、オフィスにいる人とリモートの人で情報格差が生まれると、チームとしての一体感が薄れる要因にもなります。そうした状況が続けば、組織内の連携や信頼関係に悪影響を及ぼすことも考えられます。
さらに、出社が自由になったことで帰属意識が低下する懸念もあります。物理的な接点が減ることにより、企業文化の浸透が難しくなり、組織への愛着が弱まる可能性があります。
勤怠や評価といった人事制度面でも、ルール設計が不十分なままでは不公平感が生じやすく、社員の納得感が損なわれるリスクがある点にも注意が必要です。
このように、ハイブリッドオフィスには多くの利点がある一方で、見えにくい課題が潜んでいることを理解した上で、バランスの取れた設計と運用が求められます。
設計でよくある失敗と、つまずきやすいポイント
見た目重視の設計が機能しない理由
ハイブリッドワークに対応したオフィスレイアウトでは、見た目の美しさや最新の設備を優先して設計してしまうケースがあります。しかし、実際の運用を見据えた設計がなされていなければ、使いにくい空間となり、かえって業務の効率を下げてしまうことがあります。
たとえば、フリーアドレスを導入したにもかかわらず、社員の利用率が低くなるのは、その運用ルールやサポート体制が整っていないことが一因です。利用する側の行動を想定せずにレイアウトを整えても、意図した通りには機能しません。
また、見栄えのよさを優先したガラス張りの会議室が、音漏れや視線の問題で使いづらくなってしまうケースもあります。空間のデザイン性と実用性を両立させるには、業務内容や利用頻度、働く人の特性を前提とした設計が不可欠です。
管理部門や士業ならではの落とし穴
士業や管理部門に多く見られるのが、セキュリティと集中環境の確保を軽視したレイアウトです。特に、個人情報や機密資料を扱う業務においては、オープンな空間構成が業務と相性が悪い場合があります。
共有スペースが増えることで打ち合わせや雑談がしやすくなる一方で、業務中の視線や会話音がストレスとなり、集中力を妨げてしまう恐れがあります。また、電子機器や書類の管理場所が曖昧になることで、情報漏えいのリスクが高まる懸念もあります。
このような職種特有の業務環境を十分に理解せずにレイアウトを設計すると、運用面での不満やトラブルが発生しやすくなります。業務に即したゾーニングとセキュリティ設計を前提にしたレイアウトが求められます。
ハイブリッドワークに最適なオフィスレイアウトの作り方
ステップ① 目的と働き方の整理
オフィスレイアウトの設計に入る前に、まず行うべきは「働き方の明確化」です。出社の目的や業務の特徴、職種ごとの働き方の違いを整理することで、空間に必要な機能が見えてきます。たとえば、社内外との打ち合わせが多い部署であれば会議室の配置を重視し、個人作業が中心の部署であれば集中スペースを優先するなど、業務に即したゾーニングの指針となります。
あいまいな目的のままレイアウトを進めてしまうと、実際の運用とのずれが生まれ、再設計の必要が出てきます。設計の前段階で、現状の働き方と理想の業務環境を言語化しておくことが、プロジェクト全体の精度を高める第一歩です。
ステップ② 空間のゾーニングと機能設計
目的が定まったら、それに基づいた空間構成を検討します。働く場を用途ごとに分けるゾーニングは、ハイブリッドワークにおいて欠かせない視点です。集中作業に適した静かなエリア、対面・オンライン両対応の会議スペース、雑談や情報交換が生まれる共創エリアなど、用途に応じて設けるエリアのバランスが重要です。
全員が常に出社するわけではないため、全体の座席数を見直すことも有効です。固定席とフリーアドレス席を適切に組み合わせ、空間効率と柔軟性の両立を図ることで、無駄を抑えつつ快適な環境を構築できます。
また、来客対応の頻度や導線も含めて設計することで、業務の流れに沿った使いやすいレイアウトになります。
ステップ③ 内装・ICT環境との連携設計
空間構成が決まったら、それを支える内装やICT環境との連動も検討が必要です。音や視線への配慮、適切な照明設計などは、集中力の維持やプライバシー確保に直結します。特に、オンライン会議が日常化している現状では、音漏れ対策や背景の整備も重視される要素です。
さらに、ネットワークの安定性やICT機器の配置もレイアウトと一体で設計することが求められます。座席位置によって通信品質に差が出るような設計では、業務効率に影響を及ぼす可能性があります。日本国内で広く使われているネットワーク構成や機器との相性も考慮しながら、空間とシステムが連携する設計を意識することが大切です。
事例で学ぶ、ハイブリッドオフィスのレイアウト実践例
士業事務所の「コンパクト集中型レイアウト」
士業におけるオフィス設計では、業務の性質上、高い集中力と情報管理の徹底が求められます。そのため、出社人数が限定的であっても、一定の個別ブースや遮音性の高い執務空間が必要とされます。
このような職場では、利用頻度が低くても固定席を一部に設け、業務に集中しやすい環境を優先する傾向があります。一方で、限られたスペースを有効活用するため、来客スペースや打ち合わせ用の小規模会議室を用途別に分けて配置する工夫も見られます。
また、オンライン業務の比率が高まる中で、個別のWEB会議用ブースや防音対策を施した小空間の設置が進んでいます。これにより、クライアントとの打ち合わせや社内会議を円滑に行いながら、集中環境を損なわない構成が可能となります。
情報の取り扱いに慎重を要する士業の特性を踏まえ、共有スペースと個人スペースを明確に分けた設計が有効に機能しています。
中小企業の「分散×共有型」ハイブリッド化
中小企業では、多様な業務が混在し、部署ごとの働き方にもばらつきがあるため、柔軟性の高いレイアウトが求められます。特にハイブリッドワークを導入する場合、固定席とフリーアドレスを組み合わせた分散型レイアウトに加え、誰もが使える共用スペースの整備が鍵となります。
たとえば、部署をまたいだコミュニケーションを促すためのオープンエリアや、業務の合間に活用できるリフレッシュスペースが用意されるケースが増えています。こうした空間は、単なる休憩場所にとどまらず、情報交換やアイデア創出の場としても機能します。
出社する人数が日によって異なることを想定し、席数をあえて抑えつつ、可変性のあるテーブルや設備を採用することも、空間の無駄を減らす工夫のひとつです。
また、社内外とのオンライン打ち合わせが日常化している中では、防音機能付きのブースや小規模な会議スペースを点在させることにより、用途に応じた使い分けがしやすい構成が好まれます。
中小企業にとってのハイブリッド対応は、限られた資源の中で柔軟性と快適性を両立させるバランス感覚が求められます。業務効率と社員の心理的安全性を両立する空間設計が、働き方の多様化に対応するカギとなります。
ハイブリッドワーク時代のオフィス設計、今後のトレンド
空間の「多機能化」×「選択肢の拡張」
これからのオフィスには、一つの空間で複数の用途を満たす柔軟な設計が求められます。限られた面積の中で、集中作業、打ち合わせ、リラックス、情報交換といった多様なニーズに応えるには、空間そのものの「多機能化」が不可欠です。
たとえば、普段は執務エリアとして使われる場所を、レイアウトを変えることでプレゼンやイベントにも対応できる構成にするなど、用途を限定しない設計が注目されています。こうした柔軟性を持たせることで、出社人数や業務内容の変化にスムーズに対応できるようになります。
また、働き方の選択肢が増えている今、空間もその選択をサポートする存在であるべきです。集中するための静かなスペース、リフレッシュのためのオープンエリア、短時間の立ち話がしやすいスタンディングデスクなど、働き方に応じて「選べる空間」があることが、満足度の向上につながります。
オフィスは「働く場」から「つながる場」へ
ハイブリッドワークが一般化したことで、オフィスの役割は単なる作業場から、組織内外の人とつながるための場へと変化しています。日常業務の多くがリモートで対応可能となった現在、出社する理由として重視されるのは、対面によるコミュニケーションや偶発的な交流です。
こうした背景から、偶然の出会いを促すレイアウトや、人の動線が交差する共用スペースの設計が重視されるようになっています。意図的に人が集まりやすい場所を設けることで、情報共有や信頼関係の醸成が生まれやすくなります。
さらに、企業文化や価値観を視覚的に伝える要素も空間設計に取り入れられつつあります。理念やミッションを象徴するインテリアや、ブランドカラーを使ったゾーニングなどがその一例です。社員が物理的に同じ場にいることで、「自分はこの組織の一員である」という意識が強まり、帰属意識の向上につながります。
ハイブリッドワーク時代のオフィスは、個々の生産性を高めるだけでなく、人と人、人と組織をつなぐ「関係性のハブ」としての役割が期待されています。
ハイブリッドワークに最適なオフィス設計を考えるなら
ハイブリッドワークの広がりにより、オフィスレイアウトは単なる配置計画ではなく、働き方の質そのものを左右する重要な要素となっています。目的に応じたゾーニング、柔軟な構造、組織文化を体現する設計が求められる中で、課題を放置したままでは生産性や組織力に影響が及ぶおそれがあります。TRUSTオフィスでは、物件選定から設計・施工・移転支援までを一貫して対応し、企業ごとの課題に応じた最適なオフィスづくりを支援しています。
ハイブリッドワークに対応した空間を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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