2026.01.12 2025.12.24コラム
ハイブリッドワーク時代に適したコラボレーションスペースの設計方法|Web会議と対面交流を両立させるポイント
目次
多様な働き方が浸透する今、オフィスは単なる作業の場ではなく、コミュニケーションと創造性を高める空間へと進化しています。特にWeb会議と対面交流の両立が求められる中、どのように設計すれば、実用性と快適性を両立できるのでしょうか。本記事では、ハイブリッドワーク時代に適したコラボレーションスペース設計の考え方と具体的な手順について、実践的に掘り下げていきます。
コラボレーションスペースとは?

コラボレーションスペースとは、社員同士の連携やアイデアの共有を促進することを目的とした、コミュニケーション重視のオフィス空間です。従来の会議室とは異なり、偶発的な対話や柔軟な共同作業が生まれるよう工夫された設計が特徴です。働き方が多様化する中で、組織の一体感や創造性を高める場として注目されています。
従来の会議室と何が違うのか?
会議室は、予約された時間に特定のメンバーが集まり、決められた議題について話し合う場として使われてきました。一方で、コラボレーションスペースは、立ち話や短時間の相談、チーム内の軽いブレインストーミングなど、日常的なやり取りが自然と生まれる空間です。壁や扉を最小限に抑えた開放的な設計が多く、視線や動線を意識した配置によって、人の流れと交流が生まれやすくなります。
また、家具の選定や配置にも違いがあります。固定された会議テーブルではなく、移動しやすいデスクやソファを組み合わせることで、目的に応じて柔軟に空間を使えるよう設計されます。これにより、利用シーンに応じた空間の最適化が可能になります。
ハイブリッドワーク時代における新たな定義
出社とリモートが混在する働き方が進む中、オフィスには「顔を合わせて話す場」と「遠隔でもつながる場」の両方の機能が求められています。コラボレーションスペースも、単に人が集まる場ではなく、Web会議との両立を前提に設計される必要があります。
たとえば、オンラインと対面の打ち合わせを同時に行う際には、カメラ・マイク・スピーカーの配置や、背景・音響への配慮も重要です。さらに、利用頻度や用途に応じて空間を調整できる可変性も、設計段階から考慮しておくべきポイントです。
設計の流れと構造|プロジェクトの進め方
コラボレーションスペースの設計は、見た目やレイアウトだけで決められるものではありません。効果的な空間をつくるには、業務フローや組織構造、働き方の現状を踏まえた上で、段階的に設計を進めることが重要です。以下では、空間設計の基本的な進行ステップを紹介します。
ステップ1:目的と課題の明確化
まず最初に行うべきは、「なぜコラボレーションスペースが必要なのか」を明らかにすることです。たとえば、社内の情報共有が滞っている、部署間の交流が少ない、会議以外のコミュニケーションの場が不足しているなど、組織が抱える課題を把握することが出発点になります。
目的が明確でないまま設計を進めると、使われないスペースになるリスクが高まります。現場ヒアリングや簡単なアンケートを活用して、実際にどのような「困りごと」や「期待」があるのかを洗い出すことが有効です。
ステップ2:ゾーニングとエリア設計
次の段階では、オフィス全体の中で、コラボレーションに適した場所をどう確保するかを検討します。業務に支障を与えない動線、話しやすさと集中しやすさの両立、オープン・クローズド空間のバランスなどを意識して配置計画を立てていきます。
必要に応じて、半個室型ブースやモバイルファニチャーなどを組み合わせることで、用途に応じた柔軟な使い方ができるようになります。誰が・いつ・どのように使うのかを想定しながら空間を分けることが、実用的な設計につながります。
ステップ3:ICT環境と設備の整備
ハイブリッドワークに対応したスペース設計では、ICT環境の整備が欠かせません。具体的には、会議用のモニターや音声機器、防音対策、安定した通信環境などが基本要素になります。
たとえば、Web会議を行うスペースでは、周囲の音が気にならないようなレイアウトや、適切な照明・背景の設計も重要です。これらの要素を設計段階から組み込むことで、後から無理な調整を加えることなく、自然な使い勝手を実現できます。
特徴・メリットと設計上の注意点

コラボレーションスペースは、オフィス内の一部として設置されながらも、機能的には通常の執務エリアとは異なる役割を担います。協働や対話が自然に促されることで、業務効率や社内のつながりに対して多方面の効果をもたらします。一方で、設計上の配慮を怠ると、かえって使いづらい空間になってしまう恐れがあります。ここでは、メリットと注意点の両方を整理します。
主なメリット
最も大きな特徴は、部門間や立場の異なるメンバー同士が、形式にとらわれず自然に対話できることです。業務に直接関係のない雑談やアイデアの断片も、空間によって共有しやすくなることで、新たな発想が生まれる機会が増えていきます。
また、物理的な仕切りが少なく開放感のある環境により、会話のハードルが下がり、社内の風通しが改善される点も見逃せません。とくに、新入社員や若手が声をかけやすい環境が整うことで、教育や育成の側面でもプラスに働きます。
さらに、チームやプロジェクト単位での短期的な打ち合わせや中間確認を、その場で行えることもメリットです。これにより、会議の頻度や時間を抑えつつも、情報のズレを防ぎやすくなります。結果として、判断のスピードや業務の連携が円滑に進みやすくなります。
加えて、出社時の滞在体験そのものにポジティブな印象が残るため、出社の動機づけや帰属意識の向上にもつながる可能性があります。ハイブリッドワーク環境において、オフィスへ足を運ぶ価値を高める一因となります。
設計上の注意点
一方で、計画段階で配慮が不足すると、活用されないスペースになることがあります。たとえば、利用目的が曖昧なまま設けられた空間は、社員から「どう使えばいいのかわからない」と感じられてしまい、稼働率が伸びません。
また、開放性を重視しすぎると、周囲の視線や雑音が気になって集中できない場になりがちです。とくにリモート会議を行う場として併用する場合、音響や視覚的な遮蔽を適切に確保する必要があります。
家具の選定や配置についても注意が求められます。利用頻度や時間帯を想定せずに一律のレイアウトを組むと、使い勝手が悪くなり、動線の混乱や席の偏りが起こりやすくなります。可動式の家具や柔軟な間仕切りなどを取り入れることで、利用者ごとの目的に応じて環境を調整しやすくする設計が求められます。
さらに、空間の管理運用にも注意が必要です。誰でも使える自由度の高いエリアであっても、基本的な利用ルールやマナーが明確でなければ、他部署とのトラブルや使いづらさにつながる恐れがあります。使いやすさと秩序を両立するためには、運用面まで含めた設計が不可欠です。
設計でつまずきやすいポイントと誤解の解消
コラボレーションスペースは、発想の自由度や人とのつながりを重視した空間である一方、設計や運用の過程で誤解や思い込みが障害となるケースも見受けられます。ここでは、ありがちなつまずきポイントを整理し、適切な考え方へと導きます。
よくある誤解①:「おしゃれな空間」が正解である
見た目の洗練された空間を目指すあまり、実際の使い勝手が損なわれるケースがあります。たとえば、デザイン性を重視して導入した家具が座り心地に欠けていたり、空間全体が視覚的に整っていても音環境や照明が使いづらかったりすることがあります。
コラボレーションスペースにおいて最優先すべきは「利用されること」です。デザインはあくまで目的を達成するための手段であり、利用者の行動を促進する機能性や心理的安全性を備えているかどうかが重要です。
よくある誤解②:「一度作れば完成」と考えてしまう
空間を一度設計したらそれで終わりと考えてしまうのは、大きな落とし穴になります。働き方や業務内容は時間の経過とともに変化します。したがって、スペースも固定的ではなく、状況に応じて調整・更新できるようにしておくことが望まれます。
たとえば、導入初期はチームごとの対話が主な目的でも、組織の変化によってオンラインとの併用が中心になる可能性もあります。そうした変化に対応できる設計や、定期的な見直しを前提とした運用体制が求められます。
運用面でつまずきやすいポイント
設計自体が適切でも、運用フェーズで混乱が生じることがあります。具体的には、誰がどのように使うのか、時間帯のルールはあるのか、といった利用規範が不明確な場合、混乱や不満が起こりやすくなります。
このような事態を防ぐには、空間の利用方法を明文化し、必要に応じて社内で共有・啓発することが必要です。さらに、導入後のフィードバックを収集し、設計と運用のギャップを埋める取り組みを継続することで、空間の価値を維持できます。
成功するための設計手法とチェックポイント
コラボレーションスペースの導入にあたり、理想的な空間づくりを実現するには、単に面積や設備を整えるだけでは不十分です。利用され続ける空間に仕上げるには、設計段階と運用段階それぞれにおいて押さえるべき要点があります。ここでは、設計成功のための手法と、見落としやすいチェックポイントを整理します。
設計段階でのチェックポイント
まず重視すべきは、「目的と利用シーンに即したゾーニングの計画」です。複数人での議論を想定した開放的なエリアと、1対1の対話や集中作業を行うための半個室的なスペースを、適切に組み合わせる必要があります。それぞれのエリアに明確な機能を持たせることで、使う側が迷わず空間を選択できるようになります。
動線の計画も重要な要素です。人の流れを妨げず、自然に人が集まるレイアウトであることは、利用率に直結します。特に通路幅、出入口の位置、他の業務エリアとの距離感などは、空間の印象に影響します。さらに、視線が交差しやすい位置にホワイトボードや情報共有スペースを設けることで、偶発的な対話を促進する設計につながります。
視覚や音の配慮も必要不可欠です。空間が開けていることで開放感が得られる一方で、周囲の声や視線が気になりやすくなります。パーティションや植栽を活用して視覚的な区切りを設けたり、床材や天井材を工夫して音環境を整えたりすることも、使い心地に大きく影響します。
また、Web会議を想定する場合には、配線の取り回しや映像・音響機器の設置スペースについても、初期段階から設計に織り込むことが必要です。後付けでは対応が難しいことも多く、最初からICT連携を前提とした構成が求められます。
設計後の運用段階で意識する点
設計が完了しても、実際の運用が形骸化してしまうことがあります。そのため、スペースが継続的に活用されるよう、導入後の運用計画にも注意を払う必要があります。
たとえば、利用ルールを社内に共有し、活用事例を可視化することで、利用者が空間の活用方法をイメージしやすくなります。また、利用者からのフィードバックを定期的に収集し、スペースの使用実態を把握する仕組みを整えることも効果的です。柔軟な改善を繰り返すことで、空間への定着率を高めることができます。
さらに、利用率の偏りや混雑を防ぐために、予約システムや利用状況の「見える化」も役立ちます。これにより、必要なときに使える空間としての信頼性が確保され、無用なストレスや混乱を避けることができます。
他社事例に学ぶ空間活用の工夫
コラボレーションスペースの設計や活用においては、自社単独で最適解を導き出すのが難しいと感じることがあります。その際、他社の活用事例や工夫を参考にすることで、設計の方向性や運用のヒントが得られやすくなります。ここでは、実際によく見られる導入パターンや工夫された空間設計の傾向について紹介します。
ハイブリッド会議を中心に設計された事務所の例
ある企業では、出社とリモートワークを併用する働き方が定着したことを受け、会議スタイルの多様化に対応する必要が生じました。そこで、コラボレーションスペースには遮音性のあるブースや、複数人での会話とオンライン参加が両立できるレイアウトが採用されました。
機材の接続が容易で、座席位置からスムーズにカメラ・マイクを使用できるような設計が行われています。さらに、背後の視界が整理された背景構成や、反響を抑える天井素材を選ぶことで、Web会議中のストレスを軽減する工夫が施されていました。
こうした設計は、会議のためだけでなく、日常的な情報共有にも適しており、利用頻度の高いエリアとして定着しています。
チーム協働型のフロア設計を採用した企業の例
別の企業では、プロジェクト単位で業務を進めるスタイルが定着しており、それに合わせてチームごとに使いやすいコラボレーションエリアが設けられました。各エリアにはホワイトボードやモニターが常設されており、進行中の作業をそのまま可視化し、議論を継続できるよう配慮されています。
また、固定席を持たない働き方と連動させ、朝はチームで打ち合わせ、午後は別エリアで集中作業といった柔軟な切り替えが可能になるよう、スペース全体が設計されています。音や視線の干渉を防ぐためのパーティションや、簡単に動かせる家具も積極的に取り入れられていました。
こうした運用により、自然な情報共有とスピード感のある意思決定が促進され、プロジェクト全体の生産性向上にもつながっています。
まとめ|空間設計は企業戦略の一部
コラボレーションスペースの設計は、単なるレイアウト調整や内装変更にとどまるものではありません。企業が今後の成長を見据え、柔軟性と一体感を備えた組織づくりを進めるうえで、戦略的な空間設計は重要な経営資源の一つといえます。ここでは、これまでの内容を踏まえながら、空間づくりと企業戦略とのつながりを整理し、実践的な次のアクションを提示します。
コラボレーションスペースの本質は「つながりの設計」
物理的な空間は、そこで働く人の行動や心理に強く影響します。自由に会話できるエリアがあることで情報が広がりやすくなり、共に作業することで信頼関係が築かれやすくなります。つまり、コラボレーションスペースは、ただ集まるための場所ではなく、「人と人のつながりを促すための装置」として機能します。
このような考え方は、特定の部署や業務だけでなく、組織全体の活性化や連携強化に直結します。そのため、設計段階では部分最適ではなく、全体の業務フローや働き方の実態を俯瞰して設計方針を検討する必要があります。
設計は「今」だけでなく「変化」にも備える
働き方や組織構造は常に変化します。たとえば、現在は対面中心であっても、今後リモート比率が高まる可能性もあります。あるいは、プロジェクト型業務が加速することで、より頻繁な情報共有や短時間の打ち合わせが必要になることも想定されます。
そのため、設計には「変化に対応する仕組み」が求められます。レイアウトの柔軟性やICT設備の拡張性、運用ルールの見直しやすさなど、可変性を前提とした設計が空間の寿命を大きく左右します。
設計を一過性のイベントとしてではなく、継続的な組織戦略の一部として捉えることで、導入後の活用度や改善効果も高まっていきます。
空間から変革を起こすなら、パートナー選びが鍵
こうした戦略的な空間設計を実現するには、自社内だけで完結させるのではなく、専門的な知見を持つ外部パートナーとの連携が欠かせません。働き方の変化、組織課題、現場の声など、多くの要素を統合しながら最適な空間設計を行うには、豊富な経験と多角的な視点が必要です。
TRUSTオフィスでは、戦略的なオフィスデザインの実現に向けて、物件選定からレイアウト設計、内装工事、ICT整備までを一括でサポートしています。ハイブリッドワークに対応した柔軟な空間づくりにおいても、多様な業種・業態に対応した実績があり、各企業の課題に応じた最適な提案を行っています。
空間は企業文化を体現するメッセージでもあります。見た目の印象だけでなく、日々の業務を支え、人と人の関係を育てる場として、意図のある設計を行うことが求められます。
次のステップへ
もし自社に合ったコラボレーションスペースの在り方に悩んでいる場合は、一度、専門スタッフとの対話を通じて、目的や課題を整理する機会を設けてみてください。明確な設計方針を得ることが、組織の未来を動かす最初の一歩になります。
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