2020.10.22オフィスデザイン
固定概念にとらわれないオフィスデザイン
「この業種の会社であれば、こういったデザインが良いだろう」というように、その仕事が持つイメージをもとにオフィスデザインを考えていくことは、とても簡単です。 しかし、固定概念にとらわれることなく、自由な発想でデザインを行っていくことで、会社の中が単に快適な空間になるだけでなく、様々な変化をつくり出すこともできるようになります。 ここでは、それに成功した事例をお伝えしていきます。
目次
”牛乳屋さん”というイメージを一新させる内装
クライアントである明治クッカー株式会社の西原社長は、牛乳屋さんの価値を再定義できるような会社を目指し、
社員に自身の想いを伝え続け、働き方の方向転換を行うなど、様々なチャレンジを行っていました。
その中の一環として、オフィス環境を整えることを考え始めたのです。
牛乳屋さんに抱くイメージとは
牛乳やヨーグルトの配達を行う牛乳屋さんですが、重たいものを運ぶその仕事が抱かれているイメージは、どちらかというとキツイというネガティブなものがありました。
牛乳配達の仕事は、日本では古くからある商売でもあったので、アナログでレトロなイメージが加わっていたのも、その要因のひとつだったのかもしれません。
しかし、それをむしろ逆手にとり、ギャップを感じさせることで、牛乳屋としての新たな価値を生み出せるのではないかというところから、
オフィスのデザインはスタートしました。牛乳の配達事業を行う業界のイメージ自体も変えてしまうことを目標に掲げたのです。
内装デザインのポイントとは
働く人がリラックスできる空間づくり
配達から疲れて帰ってきた時に、オフィスでホッと一息つき、リラックスできるよう、全体的に木のあたたかさが伝わる空間に仕上がりました。
まず、オフィスに足を踏み入れて目にするのは、明治クッカーの会社名が掲げられている壁です。
木をフレンチヘリンボーン張りにすることで、木本来の様々な色味や表情が楽しめ、サインをより一層引き立たせる役目を担っています。
フレンチヘリンボーン張りにすることで、伝統も感じさせつつ、同時に空間にアクセントも加えているのです。
さらに、オフィス内でも、壁や建具、床など、様々な場所で木を感じさせるようなデザインになっています。
堅苦しいオフィスのイメージを取り払うために、木目の方向にも遊び心が加えられました。
オフィスのアクセントにもなっている壁の木目方向は斜めにし、その中に配置されている建具の木目方向は縦にすることで、自由さやデザインの面白さが感じられるようになっているのです。
また、ホワイト系からダーク系まで、このオフィスの中で使われている木の色目のバリエーションにはとても幅がありますが、
微妙なニュアンスや木目柄などのコーディネートを絶妙なバランスで行うことで、決してごちゃごちゃすることなく、オシャレでスッキリとした印象となっています。
様々な使い方ができる開放的な空間
オフィスの中に事務机をドンと配置するのではなく、カフェでも使われていそうなテーブルや椅子を配置することで、とてもオシャレな空間になりました。
普段はテーブルを離して配置し、それぞれがリラックスするスペースとして使うことができます。
また、ミーティングや懇親会などを行いたい場合は、テーブルを寄せることで、大人数が集まれる空間にすることもできるようになっているのです。
オフィスという限られた空間を最大限活用し、その時のニーズに合わせて様々な使い方ができるため、使い方に広がりを生むことができるようになっています。
間仕切り収納でゆるく仕切る
オフィスの中央部分には、可動式の間仕切り収納を設置することで、緩やかに空間を仕切っています。
大きな窓際に設置されているカウンター席と、テーブル席との間に壁になる部分ができることで、
テーブルに座って作業をしている人の視線は途切れるため、まわりに気が散りにくく、仕事に集中しやすい空間になっています。
また、間仕切り収納の高さは立っている人の目線よりも低いため、圧迫感を感じることもありません。
さらに、間仕切り収納の下にはキャスターも付いているため、必要な場合には場所を移動させることもできます。
ショップのような照明
オフィスの照明といえば、天井に一定間隔に設置された蛍光灯というのが定番でした。リニューアル後の天井に配置されているのは、ダウンライトと、スポットライトのみになっています。
そのため、従来のオフィスのイメージとは異なり、ショップやカフェのような空間になりました。
ダウンライトで空間全体を照らし、スポットライトで作業空間を照らすように分けられているため、必要な場所に必要な明かりが届くようになっており、快適に仕事を進めることができます。
このスポットライトは、天井に設置されているダクトレールの上を移動させることも可能なため、仕事をしていく中で、状況に応じて照明の位置を簡単に変更することもできます。
オシャレさだけでなく、オフィスを使う人の立場に立ったプランになっているのです。
清潔感たっぷりのトイレ
仕事で長時間過ごすオフィスだからこそ、トイレの環境はとても大切なポイントになってきます。
床には落ち着いてあたたかみが感じられる木を使い、便器や手洗い器はホワイトのものでスッキリまとめることで、明るくてキレイな空間になりました。
大きめサイズのミラーも設置し、女性社員も利用しやすい配慮がされています。
既存のものも効果的に活用
要素を新しく加えていくだけでなく、既存のものもうまく利用することで、さらに魅力的なオフィスデザインができあがりました。
リニューアル以前、もともとあった大きな窓の下半分にはシートが貼られ、手前には機器や棚などが置かれている状況でした。
今回のリニューアルで、下半分のところには半透明のシートに貼りかえられ、窓際には長いカウンターが設置されることで、外に向かって座って作業できるようになったのです。
シートの種類が変わったことで、たくさんの光が中に入るようになり、窓際に設置されたカウンターでは、カフェにいるかのような雰囲気が味わえるようになりました。
リニューアルで得られた効果とは
リニューアルを通して、オフィスの物理的な環境だけでなく、雰囲気自体もガラリと変わりました。
大きな既存の窓を活かし、開放的でオシャレな空間になったことで、居心地の良さを手に入れることができるようになったのです。
効率アップ
西原社長によると、以前は、その環境の悪さから、オフィスではなく外のカフェなどで仕事をすることもあったそうですが、
リニューアル後はそういったこともなくなり、積極的に社内で仕事を進められるようになったようです。
場所の移動に使う労力や時間も省くことができ、効率アップという面でも効果が出ていると言えるでしょう。
コミュニケーション力がアップ
時には一人でリラックスしたり、テーブルを寄せて簡単なミーティングを行ったりなど、
可変性があり、テーブルや椅子の配置変更も簡単にできるスペースを作ったことで、社員同士のコミュニケーションにも効果が期待できるようになりました。
簡単にすぐその場で家具配置の変更ができるため、ミーティングを行うまでのハードルを下げることができたのです。
コミュニケーション力をアップさせることができれば、仕事も円滑に進められ、生産性のアップにも期待ができるようになるでしょう。
- CATEGORY
- オフィスデザイン
- TAG