2020.12.18 2021.01.06オフィスデザイン
”フリーアドレス”がなぜ注目されるのか
フリーアドレスがなぜこれほど多くの企業で導入されているのかが気になっている人も多いでしょう。フリーアドレスにして成功したという事例もたくさんあるので、積極的に導入を検討すべきかもしれないと思っているかもしれません。ここではフリーアドレスが注目されている背景を幅広く紹介するので、導入する価値を判断できるようになりましょう。
目次
フリーアドレスが注目される背景
フリーアドレスのオフィスは今になって生まれたわけではなく、もともと存在はしていました。近年になってフリーアドレスが注目されるようになったのはなぜなのでしょうか。まずはその背景に何があるのかを見ておきましょう。
ワークスタイルの自由を求める傾向と転職の広まり
世界的な傾向としてワークスタイルの自由を尊重する流れが生まれているのがフリーアドレス導入の背景としてまず挙げられます。転職して自分にとって働きやすく、やりがいのある仕事にも従事できる職場を求める傾向が強まりました。
この兼ね合いで個人が働きやすい環境を整えることが目指されています。ずっとこの企業で働き続けたいと思えるように、また早期に離職してしまわないようにと企業側も働きかける必要が生じているのです。
社員のコミュニケーションを重視する必要性
企業としては社員のコミュニケーションを重視する必要性が高くなった影響を受けてフリーアドレスの検討を進めています。
団結心や帰属意識を高めて退職を防ぐという目的もありますが、新しいアイディアを創出する上でも社員同士の交流が重要と考えられています。
部署の異なる社員とのコミュニケーションがアイディアを生み出し、新しい事業が進むケースも少なくありません。その機会を増やして企業成長を目指す方針がよく選ばれるようになっています。
デバイスの小型化・軽量化
フリーアドレスの導入が進んでいる背景としてデバイスの小型化や軽量化も挙げられます。ノートパソコンやスマートフォンのように手軽に持ち歩けるデバイスを使って仕事ができるようになり、フリーアドレスでのオフィス運営をしやすくなりました。
文書の電子化も進んだお陰で手元に大量の書類を持っていなくても業務を行える場合がほとんどです。そのため、本格的にフリーアドレスを導入しても業務効率を低下させる心配がなくなっています。
オフィスデザインのサービスの充実
オフィスデザインのサービスが整ってきて利用しやすくなったのもフリーアドレスの導入が進んでいる理由です。フリーアドレスでは内装の整え方によって業務効率も従業員の満足度も大きく変化します。
現場に合ったデザインをするのが大きな課題でしたが、ノウハウと実績を持っているオフィスデザイン会社によるサービスが充実して導入のハードルが下がっているのが現状です。
働き方改革の影響で需要が高まる
このような世界的な状況がある中で日本では政府が働き方改革の推進を開始しました。国内でフリーアドレスの導入が活発になった背景として大きいのは働き方改革です。
ワークライフバランスを考えて働くことが個人にも求められていますが、企業についても従業員の働きやすさを重視する改革を推進することが求められています。
一般的な9時頃から18時頃までのオフィス勤務に固定するのではなく、フレックスタイム制やリモートワークなどの様々な働き方を取り入れていく必要性も高まってきました。
しかし、企業が働き方改革を進めるには多様な働き方に対応できる職場環境の構築をしなければなりません。フリーアドレスはその合理的な手段の一つとして注目を浴びています。
外勤や自宅勤務の人の分の空席ができず、出社している従業員が効率よく働ける環境ができるからです。さらにチーム単位でのディスカッションを自由に行いやすいため、プロジェクト推進もスムーズに進むことが着目されています。
フリーアドレス化した際にネットワーク環境も整備することでリモートワークの従業員も会議に出られるようにすることも可能です。このため、フリーアドレスは働き方改革を実現しつつ、業務効率化も図れる点で優れていると考えられています。
フリーアドレスが与える効果
ここでフリーアドレスが従業員や職場に与える効果を確認しておきましょう。重要視されている三つのポイントを簡単に解説します。
自由なコミュニケーションを促進できる
フリーアドレスのオフィスは席が固定されていないので、従業員が社内を自由に歩き回りやすい環境になります。同じ会社の同僚たちと自由にコミュニケーションを取ることができるのがメリットです。
それが新しいアイディアの創出につながることも、個人のモチベーションアップにもなることもあります。会社の一員としての意識も芽生えやすいので勤続年数も延びていくと期待できます。
業務内容に応じて能率が上がる環境を確保できる
フリーアドレスの導入によって業務の能率を上げられる可能性があります。一人で集中して作業をしたい人はブースで働くと能率が上がるでしょう。
チームディスカッションで新しいアイディアを出したいときには開放感があって明るい環境のテーブルを囲むと発想が生まれやすくなります。
このように様々な作業環境を用意し、社員が自分に適した場所を選んで仕事をすると全体的にパフォーマンスが向上するのです。
リモートワークも取り入れることでスペースの有効活用ができる
フリーアドレスとリモートワークを組み合わせることでスペースの有効活用にもなります。全員分のデスクやテーブルが用意されていなくても問題ないのでコンパクトなオフィスで大勢の従業員を雇うことが可能です。
長い目で見ると大きなスペースコストの低減にもつながります。都心部では賃貸オフィスの賃料も高騰しているので切実な問題の解決になる可能性があります。
フリーアドレスはデメリットもある
フリーアドレスのもたらすメリットが多いのは確かですが、導入に際してはデメリットも考慮する必要があります。どの企業でもすぐに導入判断をしていないのは意外に大きなデメリットがあるからなので詳しく確認しておきましょう。
従業員によっては適応が難しい
フリーアドレスは従業員によっては適応できずに苦しむことになるのがデメリットです。働く場所の自由を与えられると選ばなければならない義務が生じます。周囲の目線が気になってしまって決められない場合もあります。
業務内容に適していない場所を選んで周囲に迷惑をかけるといったトラブルも起こり得るので注意が必要です。フリーアドレスの導入時に研修を実施して意識改革を求め、どのような席の選び方をすれば良いのかを示して負担をなくすようにしましょう。
業務内容によっては仕事をしづらい
フリーアドレスは業務によって合うかどうかが異なります。チームワークを必要とする業務には適している場合が多いですが、一人で作業するのが基本になっている業務の場合には気が散ってしまいがちです。
また、印刷された資料がたくさん必要になる業務についても自分専用のデスクがあった方が効率的です。必ずしもあらゆる業務に適しているわけではないため、導入範囲も検討する必要があります。
導入コストが大きい
フリーアドレスの大きなデメリットとして知られているのが導入コストが高いことです。一般的にオフィスレイアウトの大きな変更が求められ、移転するケースも少なくありません。
規模による違いはあるものの、数百万円から数千万円単位の費用がかかるのが通例です。移転作業などによる業務の停滞が起こるリスクもあるので気を付けなければならない点です。
社員が働き方を改善する一つの手段でもある
フリーアドレスには様々なメリットやデメリットがありますが、もう一つ忘れてはならないのが社員が自発的に働き方を改善することにもつながることです。フリーアドレスの導入によって自分が働く環境を意識させられます。
本当にこの働き方が良いのかを個人にじっくりと考えさせ、最も良い方法を選びだす機会を常に与えられるのです。リモートワークやフレックスタイム制なども導入すると、働く場所や時間についてさらに深く考えさせることができます。
そして、自分で選んだ働き方をしていくことでモチベーションが上がり、仕事のパフォーマンスも向上していくでしょう。
働き方をどうしたら良いかと頭を抱えてしまう従業員のフォローは必要になりますが、導入期を終えて安定期になると誰もが自分なりに満足な働き方を実現できるのがメリットです。
フリーアドレスの意義を考えて導入を検討しよう
フリーアドレスは働き方改革の推進の影響を受けて国内でも導入が活発に進められています。社員のコミュニケーションを促進し、スペースの問題を解決できる魅力的なオフィスのあり方の一つです。
ただ、仕組みに慣れられない従業員も出てくるなどのデメリットもあります。そのフォローの仕方も含めて考えて、導入する意義が大きいかどうかを検討しましょう。
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