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2020.12.17  2021.01.06オフィスデザイン

フリーアドレスを導入で成功した例と失敗した例

フリーアドレスを導入で成功した例と失敗した例

オフィスにフリーアドレス制を導入すると様々なメリットが得られます。多くの企業が導入に成功している一方で、失敗に終わるケースも少なくありません。その原因のひとつは、フリーアドレスに関する正しい理解が浸透していないことです。記事では、フリーアドレスとはなにか、なぜ導入するのか、またどのような効果を期待できるのかなどを解説するので参考にしてください。

フリーアドレスで見込まれる効果

フリーアドレスで見込まれる効果

フリーアドレスは日本で生まれたシステムです。1980年代後期に一部の企業で導入され、1990年代頃から広く普及しました。現代においてフリーアドレスは、新しい働き方のひとつとして注目を集めています。

そもそもフリーアドレスとは、従業員一人ひとりのデスクを固定しないで、自由な場所で業務に取り組む働き方のことです。オフィスには長机などだけ設置されており、従業員は好きな場所に着席して働きます。

ソファーやカウンターが設置されていることもあり、さながらカフェやバーのような雰囲気です。

フリーアドレス制を導入する際、個人の引き出しやデスクトップ型のパソコン、有線LAMケーブルなどは基本的に必要ありません。

その一方で無線LAN環境を充実させたり、ノートパソコンなどのモバイル端末を従業員へ貸与したりする必要があります。

一方、フリーアドレスを導入することで様々な良い効果が生まれると見込まれているのです。

メリット1_社内コミュニケーションの活性化

固定席の場合、従業員はデスク周辺の同僚や上司と接触する頻度が高くなります。一方、別フロアで働く従業員などとは、特別な用事がない限りコミュニケーションは希薄になるでしょう。

フリーアドレス制を導入すると隣に座る従業員は毎日変わります。つまり多くの人とコミュニケーションをとる機会が得られるのです。部署の垣根を超えたコミュニケーションの促進は、業務の効率化に繋がると見込まれています。

メリット2_チームとして効率良く働ける

企業では常に新しいプロジェクトが発生します。それに合わせて従業員の入れ替えも都度行われるでしょう。チームのメンバーが、それぞれ離れた場所に配置されていると効率が良くありません。

例えば、打ち合わせをする際にスケジュールを調整したり、会議室をおさえたりする必要があるからです。その点、フリーアドレス制を導入すれば、プロジェクト関係者はチームとして常に集まって行動できます。

ちょっとした相談であればいつでも気軽に行えるはずです。このように物理的に近くにいれば効率良くタスクを遂行できます。

メリット3_スペースコストの削減

固定席スタイルで働くには、在籍する従業員すべてのデスクスペースを確保しなければなりません。

一日の大半を外出して過ごす営業職や顧客先企業に出向する機会が多いコンサルティング職であっても同様に対応しなければならず、スペースコストの面で無駄がありました。

フリーアドレス制を導入すると、一つの場所を複数人で使い回すことが可能です。オフィスに滞在する時間が短い従業員のために固定スペースを確保する必要がなくなり、その分のコスト削減につながります。

メリット4_ペーパーレス化の促進

ペーパーレス化は、コスト削減に直結するため企業にとって重要な課題です。フリーアドレスを導入すると、そのペーパーレス化を促進できます。

デスクに書類を置きっぱなしにすることができないため、紙媒体資料は電子化する必要があるからです。また、ペーパーレス化が促進されればテレワークも導入しやすいでしょう。

フリーアドレス導入の成功例

フリーアドレス導入の成功例

情報セキュリティ会社の例

大人数で使用できる広いデスクだけではなく、従業員が個々に集中するためのパーソナルブースや、ざっくばらんにコミュニケーションが取りやすい広場のようなスペースも設けました。

従業員は、その日の業務内容に応じて働く場所を選択できます。その結果、使い勝手の良いオフィスとなり、従業員同士のコミュニケーションを活性化させることにもつながったのです。

ゲームアプリ制作会社の例

従業員は業務に集中することが多いため、フリーアドレス導入に際して背の高い仕切り板を設置したデスクを配置しました。

その代わり、後ろのデスクとはコミュニケーションを取りやすいよう、席同士を近づけたのです。振り返るだけで同じプロジェクトのメンバーと意見を交わすことができるので、効率的に業務へ取り組めます。

また上司や部下といった立場を度外視してフリーアドレスを適用したことで、風通しの良い職場環境を実現できました。さらにオフィスがビルの上層階だったこともあり、景色の良い窓際に休憩用の席を設けたことも従業員から好評を得ています。

不動産会社の例

一般的にフリーアドレスは、経営陣から導入を提案することが多いですが、この会社では従業員側から提案がありました。

能動的に働きたいという意欲はもちろん、落ち着いて業務に取り組みたいという望みもあり、内装やインテリアまでこだわったといいます。

休憩するためのラウンジにまで気を配った結果、オンとオフを切り替えやすいオフィスとなり、全体の作業効率がアップしたのです。

フリーアドレス導入の成功例

ECサイト運営会社の例

この会社の場合、階を隔てた二つのフロアをオフィスとして活用していました。

そのため、同じプロジェクトに取り組むメンバーと打ち合わせをする際には、わざわざ階段を上り下りして相手のところまで赴いていたのです。

フリーアドレスを導入したことで、いつでも近くにチームメンバーがいる状況を創り出すことに成功しました。コミュニケーションも促進され業務効率も改善されたのです。

食品メーカー会社の例

全国に複数の工場を持つ食品メーカーでもフリーアドレスは用いられています。従業員にノートパソコンとモバイルルーターを配布して、どこのデスクでも仕事をできるようにしたのです。

環境が常に新鮮であるため、柔軟な視点を元にしたアイデアを出せるようになりました。

航空運輸事業会社の例

一人で集中できるデスクや、4人程度で使用できるデスク、透明なガラスで仕切られた会議室などの設備を充実させることでフリーアドレス導入に成功した企業です。

従業員同士のコミュニケーションが活性化されて生産性が向上しました。

人材派遣会社の例

この会社では、プロジェクトチームごとに活発に活動できるよう、フリーアドレスを導入しています。

特に経営陣の部屋近くにフリーアドレス用のデスクを用意することで、上司と部下のコミュニケーションが促進しました。

フリーアドレス化する前にデメリットを理解しよう

フリーアドレス化する前にデメリットを理解しよう

フリーアドレスを導入するとデメリットが発生することもあります。導入に失敗しないためにも、デメリットを良く理解してください。

導入コストがかかる

フリーアドレス制を導入するには、環境を整えなければなりません。インターネットに接続されたパソコンを利用するには、無線LANのネットワーク環境を充実させる必要があります。

デバイス端末を従業員の数だけ揃える必要もあるかもしれません。オフィスのレイアウトや内装を変更する場合は、その工事費用もかかるでしょう。

共通机に引き出しは不要ですが、収納場所がまったくないと困ると言われればキャビネットなどを揃える必要があります。

さらに、出勤や退勤に際して新たな管理システムが必要になる可能性も無視できません。このようにフリーアドレスを導入するにはコストがかかります。

このデメリットがネックになって導入に二の足を踏むケースは少なくありません。

従業員の場所を把握できない

フリーアドレスを導入すると、従業員を探すことも一苦労です。固定席があれば座席表を頼りに見つけられますし、不在であってもメモを置くことができます。

しかしフリーアドレスの場合は、本人を見つけるまで探し歩かなければなりません。メールなどで要件を伝えるだけで済めば良いのですが、対面して話さなければ伝わらないこともあります。

そのような場合、フリーアドレス制がデメリットに映ってしまうのです。

組織やマネジメントに影響しないルールを考えよう

組織やマネジメントに影響しないルールを考えよう

フリーアドレスを浸透させるには、明確なルールを決める必要があります。例えば従業員の間で利用する資料はクラウドの共有フォルダーなどを利用してオープンにするのです。

組織に属する人間であれば、どこにいてもファイルにアクセスして作業に取り組めます。また特定の従業員がいつも決まった席を占有しないように配慮することも大切です。

このようなルールは、組織を正常に維持するために役立ちます。フリーアドレスを導入して働き方改革を促進するのであれば、従業員がスムーズに業務へ取り組めるように、しっかりとマネジメントしなければなりません。

フリーアドレス導入に失敗した例

ルールが存在しないことでフリーアドレス導入に失敗した例があります。コミュニケーションの活性化が見込める点がフリーアドレスのメリットですが、コミュニケーションが苦手な従業員もいます。

ある会社では、自由に席を選べる環境を作った結果、そのような従業員がオフィスで孤立してしまいました。

このような事態を回避するためには、ランダムに席を決定するシステムを採用するなどのルールが必要です。

フリーアドレス導入には綿密な計画が必要

企業がフリーアドレスを導入するとあらゆるコストの削減や、コミュニケーションの促進による作業効率化などが見込めます。

その一方で、きちんと仕事環境を整備するためにはそれなりの費用がかかるでしょう。

そのため、実際にフリーアドレス制を導入する際には、途中で頓挫してしまわないように、導入目的を明確にしつつ、綿密な計画を練らなければなりません。