2023.08.18 2023.08.12オフィスデザイン
OAフロアをレイアウトする流れとポイント!パネルの構造・配線と工事費用
本記事で、OAフロアをレイアウトする流れとポイントを解説します。OAパネルの構造と配線、工事費用もご紹介します。オフィスの開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
OAフロアとは?
そもそもOAフロアとは、どういった床なのでしょうか?そこでOAフロアの定義や用途、メリット・デメリットをご紹介します。オフィスにOAフロアをデザインする前に、基本情報を確認しましょう。
定義
まずOAフロアとは、元々施工されている床材の上にフロアパネルが敷かれた二重構造の床です。二重構造の間に、OA機器の配線や電源などが収納されます。フリーアクセスフロアや二重床などとも呼ばれます。
なおOAとは、Office Automation(オフィス オートメーション)の略称です。一般的なオフィスではOA機器(電話やファックス、パソコンなど)が使用されるため、OAフロアの需要があります。
用途
次にOAフロアの用途は、OA機器の配線や電源などの収納です。床下に収納されることで、床上に配線や電源が見えなくなります。特に配線や電源を見せたくない会議室や応接室などに、OAフロアが適しています。
また人やデスクなどの移動が多い執務室や休憩室などにも、OAフロアが適しています。なぜなら人やデスクなどが移動する際に、OA機器の配線や電源が邪魔になるからです。各部屋の用途に応じて、OAフロアの導入を検討しましょう。
メリット
そしてOAフロアのメリットをご覧ください。
- オフィスのデザイン性を高められる
- OA機器の配線や電源を整理できる
- 人とOA機器の接触を防止できる
- 設備・機器・什器などを自由にレイアウトできる
床上からOA機器の配線や電源などが見えなくなるため、スッキリとしたオフィスデザインの印象を与えやすいです。そして複雑に絡みやすいOA機器の配線や電源を整理できます。
また人とOA機器の接触を防止できるため、人の転倒もOA機器の破損も発生しづらくなります。そして配線や電源を気にせず、設備・機器・什器などをレイアウトできます。
デメリット
ただしOAフロアのデメリットを対策しなくてはなりません。
- レイアウトやメンテナンスに費用がかかる
- 後付けすると床の高さが上がる
- デッドスペースが生まれる
OAフロアのレイアウトやメンテナンスに費用がかかるため、通常の床よりも工事費用が高くなります。そのためオフィスの新設や移転の前に予算を確保しておきましょう。
またOAフロアを後付けすると床の高さが上がり、オフィス空間に圧迫感を感じやすいです。天井をスケルトンに仕上げる(天井材を施工しない)ことで、開放感を演出する方法を検討しましょう。
そしてOAフロアを後付けしたことで、入口付近にスロープを設置すると、デッドスペースが生まれます。そこでOAフロアに対応しているオフィス物件なら、あまりデッドスペースが生まれません。
評価・認証制度
なおOAフロアには、評価・認証制度が定められています。例えばフリーアクセスフロア工業会(JAFA)の性能評価認証制度は、ユーザーの製品選択の利便性と製品の信頼性向上を目的として運営されています。
参照元:フリーアクセスフロア工業会(JAFA)「JAFA性能評価認証制度とは」
また公共建築協会の「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」は、公共工事に使用される建築材料・設備機材などの品質性能評価を目的として運営されています。機能性の高いOAフロアを選ぶ際の参考情報です。
参照元:公共建築協会「建築材料・設備機材等品質性能評価事業」
OAフロアの構造と配線
OAフロアの基本情報を押さえたところで、OAフロアの構造と配線もご紹介しましょう。オフィスに適したOAフロアの構造(置敷型と支柱型)と配線(パネル下配線式と溝配線式)を選びましょう。
置敷型構造
まずOAフロアの構造として、置敷型構造が挙げられます。ブロック状のフロアパネルが敷き詰められた構造です。フロアパネルを並べるだけでレイアウトできるため、支柱型よりも施工の速度が早いです。
一方でプラスチック製の置敷型フロアパネルは、金属製よりも耐久性が低いです。重い設備・機器・什器がレイアウトされるオフィスフロアには向かない点にご注意ください。
支柱型構造
次に支柱型もOAフロアの構造です。スチール製の支柱にフロアパネルが配置された構造です。床の凹凸や配線の量などに併せて支柱の高さを調整できるため、置敷型よりも施工の柔軟性が高いです。またプラスチック製のフロアパネルよりも、耐久性があります。
ただし人や物が通行すると特有の空洞音が出たり、歪みを生じたりする恐れがあります。また支柱を施工する分だけ、置敷型よりも時間と費用が必要です。
パネル下配線
またOAフロアの配線には、パネル下配線があります。OAフロアパネルの上下に、自由に配線を通せます。特に支柱型構造なら、配線の量や太さに応じて、パネル下の高さを調整できます。
ただしパネル下で配線が絡まる恐れがあり、配線の変更が容易ではありません。OAフロアパネル下配線の施工や変更には、オフィスデザインの専門業者による施工が必要です。
溝配線
そして溝配線も、OAフロアの配線です。フロアパネルの溝に配線を入れるため、配線が絡まりづらいです。また溝のカバーを取り外せば、配線のメンテナンスや変更も難しくありません。
一方でパネル下配線よりも配線の収納量が少ない点が、溝配線のOAフロアのデメリットです。OA機器の配線量によっては、パネル下配線を選択しなければなりません。
OAフロアをレイアウトする流れとポイント
OAフロアの構造と配線を把握したうえで、OAフロアをレイアウトする流れを押さえましょう。通信環境と施工条件、工事業者、配線数と荷重、フロアパネル、工事の期間と費用に関するポイントもご紹介します。
オフィスの通信環境を設計する
まずOAフロアをレイアウトする流れは、オフィスの通信環境を設計する作業から始まります。通信機器の種類や数によって配線や電源の数が異なるため、適したOAフロアパネルは違います。
オフィス通信環境を構築する設備機器には、インターネット回線や電話回線、LAN回線、ルーター、通信機器などが挙げられます。オフィスの通信環境を構築する手順についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
施工条件を確認する
次にオフィスの通信環境を設計できたら、OAフロアの施工条件を確認しましょう。OAフロア施工後の天井高や工事の希望条件(費用や期間)などを確認しておかなければなりません。オフィスの開設予定日や通常業務に悪影響を与えないように、OAフロア工事の計画を進めましょう。
またOAフロアパネルの施工方法によっては、オフィスビルの管理業者やオフィス物件の所有者から許可を得なくてはなりません。入居前から施工されていた床材を傷つけてしまうと、退去時に原状回復を求められるためご注意ください。
信頼できる工事業者に相談する
そしてOAフロアの施工条件を確認したうえで、信頼できる工事業者に相談してください。信頼できる工事業者の選び方をご紹介します。
- 物件探しやデザインから対応できる業者を探す
- オフィス内装工事の実績をもつ業者に相談する
- 接客やアフターフォローが親切であるかを見極める
- 相見積もりを取って比較検討する
そしてOAフロア工事を依頼する際には、ゆとりをもって工期を組みましょう。他にもオフィスの内装工事を依頼するときの注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
配線数と荷重を計算する
それから工事業者と相談しながら、配線数と荷重を計算しましょう。OA機器の配線数と設備・機器・什器の荷重に応じて、適したフロアパネルを選ばなくてはなりません。想定している設備・機器・什器の種類と数を計算してください。
具体的には配線数と荷重が少ないオフィスフロアなら、置敷型で溝配線のOAフロアパネルが適しています。支柱型でパネル下配線のOAフロアパネルは、配線数と荷重が多いオフィスフロアに合います。
用途に適した床材を選ぶ
さらに用途に適した床材を選びましょう。OAフロアパネルの上には、床材を施工しなければなりません。各部屋の用途に応じて、床材の素材や配色を検討してください。例えば従業員が集中して作業する執務室には、ベージュや青の床材が合います。
また床材の素材と施工面積によって、工事費用が変動します。予算内に収まるように床材を選ぶことやメンテナンスしやすい素材を選ぶことも重要です。オフィスの床をデザイン・貼替えするときのポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
工事の期間と費用を見積もる
なおOAフロアパネルと床材を選んだうえで、工事業者に工事の期間と費用を見積もってもらいましょう。希望条件に合わない場合には、工事の方法や期間、費用などの調整が必要です。
また工事中のトラブル対応や工事後の保証内容についても、契約前に確認してください。納得のいく条件に調整できたら、OAフロア工事の請負契約にサインをします。工事が開始されてからも、工事業者と進捗状況を把握してください。
OAフロアの工事費用
オフィスに理想的なOAフロアをレイアウトするためには、工事費用が必要です。そこでOAフロア工事の相場と内訳をご紹介します。無駄な経費を省けるように、節約法もご覧ください。
相場
まずOAフロア工事費用の相場は、坪単価2万~5万円程度です。オフィスフロア10坪分(約33㎡)にOAフロアを工事するなら、20万~50万円程度かかります。ただし物件の種類(居抜きかスケルトン)やOAフロアパネル・床材の種類、スロープの有無などによって、工事費用は変動します。
内訳
次にOAフロア工事費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、スケルトン物件内の10坪(約33㎥)にかかる費用を試算してあります。
費用の内訳 | 費用の目安 | スケルトン物件内 10坪分(約33㎡) |
OAフロアパネル | 全体の40%程度 3,000〜5,000円程度/㎥ | 10万~15万円程度 |
床材 | 全体の50%程度 3,000~1万円程度/㎥ | 10万~30万円程度 |
スロープ・框 | 全体の10%未満 5,000〜2万円程度/m | 1万~4万円程度/2m |
合計 | 100% 坪単価2万~5万円程度 | 20万~50万円程度 |
上表のとおり床材とOAフロアパネルの施工費用が高いです。デザイン性と機能性を担保しながら床材の費用を抑えられると、工事費用を節約できます。
なお今回の試算においては、スケルトン物件(建物の躯体だけの状態)を想定しています。居抜き物件(内装や設備などが施工された状態)の床にOAフロアを施工する際には、内装材や設備などを解体する費用がかかる場合があります。
節約法
そしてOAフロア工事費用の節約法をご紹介します。
- 工事費用の相見積もりを取る
- ワンストップで対応できる業者を選ぶ
- 居抜き物件を活用する
工事費用の相見積もりを取ることで、各業者の提案した工事の内容と費用を比較できます。余分な工事を省いて安く工事を引き受けてくれる業者を選ぶことで、工事費用を節約しましょう。
オフィスのデザインから施工までにワンストップで対応できる業者を選ぶことで、相談する時間(従業員の人件費)や工事の手数料、業者選定の労力などを節約できます。
居抜き物件を活用することで、新規工事の費用を節約できます。内装やOAフロアを含む設備・機器・什器などが施工されている物件を調査しましょう。
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