2022.08.14 2022.08.13オフィス移転
オフィス移転のチェックリスト!退去・入居・届出・申請のスケジュールとマニュアル
本記事で、オフィス移転のチェックリストをご紹介していきます。オフィスの退去・入居・届出・申請のスケジュールとマニュアルについても解説していきます。
「いつからオフィス移転準備を始めたらいい?」「必要な届出のスケジュールを知りたい!」とお悩みではありませんか?オフィス移転を検討中の方はぜひご覧ください。
目次
オフィス移転チェックリスト・スケジュール一覧表
まずはオフィス移転の流れを把握できるように、移転作業チェックリストをスケジュールに沿って一覧表にまとめましたので、ご覧ください。
旧オフィスからの退去 | 新オフィスへの入居 | 官公庁への届出・申請 | |
移転12か月前から | ・移転計画の立案 | ー | |
移転6か月前から | ・賃貸借契約の解約通知 | ・物件探し | ー |
移転3カ月前から | ・移転業者への依頼・オフィスの原状回復工事 | ・賃貸借契約・オフィスデザイン・什器・設備などの購入・契約・内装工事 | ・届出・申請書類の準備 |
移転1か月前から | ・退去作業と廃棄物処理 | ・入居作業 | ・登記・納税・社会保険・労働保険・他の届出・申請 |
上の表が示す通り、移転を計画してから作業を完了させるまでに6‐12か月ほどかかります。また具体的な移転の作業や手続きは、3点(「旧オフィスからの退去」「新オフィスへの入居」「官公庁への届出・申請」)に整理できます。
移転に必要な作業や手続きは多岐にわたりますので、漏れなくスムーズに進められるようにしましょう。退去と入居、届出・申請のマニュアルをまとめましたので、より詳しくご紹介します。
旧オフィスからの退去マニュアル
旧オフィスから退去するためには、書類を提出するだけではなく物件の工事を伴う場合があります。スケジュールや費用のポイントをご紹介しますので、旧オフィスからの退去マニュアルを確認していきましょう。
移転計画の作成
移転12か月前から、移転計画を立案します。余裕をもって移転作業を進められるように、計画書をまとめましょう。移転計画書には、まず「何のために移転するのか」という目的を記載します。移転目的を明確にしたうえで、新オフィス物件の希望条件を設定していきます。
次に旧オフィス賃貸借契約の解約通知時期を踏まえて、新オフィスへの入居日を決定しましょう。さらに退去と入居に必要な作業を整理しながら、各作業の準備物や注意点などを書き出していきます。
なおオフィスの退去と入居には、基本的に業者による工事が必要になります。移転まで期間が限られている場合には、なるべく早くオフィス移転業者に相談しましょう。また下の記事にコロナ禍におけるオフィス移転についてまとめてありますので、併せてご覧ください。
賃貸借契約の解約通知
移転6か月前後になったら、物件の所有者または管理会社に賃貸借契約の解約通知を出します。解約日を決めるためには、新オフィスへの入居時期を決定する必要があります。
オフィス賃貸借契約の解約通知期限は、物件によって異なりますが、一般的には解約希望日の3‐6か月前に通知が必要とされます。契約書に記載された条件を参照して、解約通知の時期や敷金返済方法などを確認しましょう。
なお新オフィス入居日と旧オフィス退去日が離れ過ぎてしまうと、余分に賃料を払わなくてはなりません。工事や移転にかかる期間を計算したうえで、入居日と退去日を決定する必要があります。
原状回復工事
移転3か月前になると、旧オフィスから退去するために原状回復工事を行う必要があります。原状回復工事とは、物件を入居前の状態に戻すための工事です。原状回復工事は賃借人の義務として民法にも明文化されており、明け渡しの期日までに行うと定められています。
参考: 公益財団法人不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)「建物賃貸借契約における原状回復の時期 |」
原状回復工事の期間は、工事の範囲や物件の規模に応じて、数週間から1ヶ月程度かかります。工事内容には配線を含む照明器具の撤去や管球の交換・清掃、床板の張り替え・再塗装などが含まれ、想像以上に時間や手間がかかるケースもあります。
なお解約日までに工事を終了できなかった場合には、基本的に賃料が発生することになるので注意が必要です。
移転業者への依頼
同じく移転3か月前には、移転業者の選定と依頼を行います。移転費用の相場を把握したり、内容を比較検討したりできるように、複数の業者から相見積もりを取るようにしましょう。
移転業者の対応可能範囲によって、従業員の作業負担が変わってきます。移転に必要な作業や手続きをワンストップで対応してくれる業者もあります。予算に応じて、依頼する業者を選びましょう。
なお各社からの見積もりを比較検討するときには、特に廃棄物処理に対応できるかを確認しましょう。廃棄物の引き取りを別会社に依頼するとさらに費用がかさむ可能性もあるためです。下の記事に移転業者の選び方についてまとめてありますので、併せてご覧ください。
退去作業と廃棄物処理
移転1か月前から移転当日まで、退去作業と廃棄物処理を行います。業者にスムーズに指示できるように、運搬物と廃棄物をリスト化しましょう。移転当日に作業を間違えしないように、目印となるシールを張っておくとよいです。
オフィス移転に伴う廃棄物については、法律に基づいて正しく処分しなければなりません。例えばエアコンやテレビなどは家電リサイクル法に該当する廃棄物ですので、取り扱いに注意が必要です。
なお無許可の業者に委託してしまうと、法律違反となり罰金刑や懲役刑が課される恐れがあります。リスクと費用を減らすために、処理業者を慎重に選びましょう。
参考:経済産業省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」第二十五条
新オフィスへの入居マニュアル
旧オフィスからの退去に必要な作業を確認したうえで、新オフィスへの入居マニュアルを確認しましょう。オフィス移転はただオフィスの立地を移動させるだけでなく、オフィスの抱える課題を解決する機会になります。
物件探し
移転6か月前から、新オフィスの物件探しを始めましょう。物件について調査をしておくと、退去直前に慌てなくて済みます。
物件を決定する際に重視すべき条件は、次のようにいくつもあります。
- 立地と賃料
- 間取りと種類(居抜きかスケルトン)
- 交通の便(最寄駅からの距離など)
- 物件の周辺環境(銀行・郵便局・役所・飲食店・商業施設など)
- 駐車場の有無
- 入居コスト(賃料・共益費・敷金・保証金・更新料・礼金など)
希望条件を洗い出したら、優先順位を付けて、さまざまな角度から各物件を比較検討しましょう。候補とする物件を内覧したうえで、移転するオフィスを決定しましょう
賃貸借契約
移転3か月前にはオフィス移転目的に合う物件を選んで、賃貸借契約を申込みましょう。ただし契約日から賃料が発生する点にご注意ください。旧オフィスからの退去日と新オフィスの内装工事期間に応じて、入居日を決定する必要があります。
オフィスデザイン
移転3か月前には物件を契約して、業者にオフィスデザインを依頼しましょう。オフィスデザインには、住宅や店舗のデザインとは異なる専門知識が必要です。公式Webサイトでオフィスデザイン実績を確認したうえで、依頼する業者を選びましょう。
オフィス移転は、来訪者が利用するエントランスや会議室、廊下などのデザインを刷新するチャンスをもたらします。また執務室のレイアウトや設備などを変更して、おしゃれで働きやすいオフィスを設計できれば、従業員のモチベーション向上や業務効率化を図ることが可能です。
なおコロナ禍のオフィスデザインについて下の記事にまとめてありますので、併せてご覧ください。
什器・設備などの購入・契約
移転3か月前から、オフィスデザインに基づいて什器・設備などの購入・契約を進めましょう。旧オフィスの課題を踏まえて、必要な什器・設備の種類や数などを計算することが重要です。
オフィス移転に伴う費用を抑えるためには、旧オフィスで使用していた什器・設備を再利用しましょう。ただし旧オフィスから什器・設備を運搬する場合には、運搬費がかかる点にご注意ください。
買い替えが必要である什器・設備については、リース品やレンタル品を契約することで月々の負担を減らせる場合がありますまた中古のオフィス什器・設備を探すことで、費用削減できる場合もあります。
内装工事
移転1‐2か月前に什器・設備の購入・契約を終えたら、新オフィスの内装工事を行います。内装工事には、次のような作業が含まれます。
- 内装の仕上げ工事
- 設備工事(電気・給排水・電気・ガスなど)
- 通信回線工事
オフィス内装工事は多岐にわたりますので、できる限り費用を抑えることが必要です。複数業者から相見積もりを取って、費用の相場を把握した上で予算内に理想的なオフィスを工事しましょう。
特にデザインから施工までをワンストップで対応できる業者に依頼すると、時間と手間、費用を削減できます。オフィス内装工事の費用や業者選びについて下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
入居作業
移転1か月前には内装工事を終えて、入居作業を開始します。入居作業には数日から数週間かかる場合がありますので、退去作業のために作成したリストに従って運搬物を搬入・設置していきましょう。
また業者に入居作業を依頼した場合には、入居作業の数週間前に梱包材が送られてきます。入居作業日までに運搬物を準備できるように、梱包作業の担当者と時期を決めておきましょう。
なお入退去作業中には旧オフィスからの運搬ミスや新オフィスへの搬入トラブルが起こる場合があります。各作業の管理者を決めておき、ミスやトラブルに対応できるように業者の作業に立ち合うようにしてください。
オフィス移転に伴う官公庁への届出や申請マニュアル
オフィス入退去だけではなく、移転に伴う官公庁への届出や申請マニュアルも確認しておきましょう。届出・申請ごとに提出書類の期限や提出方法が異なります。届出・申請を忘れるとトラブルを招く危険性があるので、移転3か月前から準備を進めましょう。
届出・申請書類の準備
移転3か月前から、オフィス移転に必要な届出・申請書類の準備を開始しましょう。実際に提出するまでに時間がありますが、ゆとりをもって準備を進めるためです。オフィスごとに必要な書類が異なりますので、主な届出・申請をご紹介していきます。
登記
法人の住所が変わると、登記の変更を報告するために「本店・支店移転登記申請書」を法務局に提出します。本店なら移転から2週間以内に、支店なら移転から3週間以内に申請が必要です。
移転登記申請の費用は移転前後の住所によって異なり、住所ごとに法人を管轄する法務局が決まっています。
- 同じ法務局管轄内の移転・・・3万円
- 法務局管轄外への移転 ・・・6万円
納税
移転登記申請と共に、税務署へオフィスの移転を届け出ましょう。提出書類が2種類あり、次のように提出期限が異なります。
- 移転から数日内 ー「異動届出書」
- 移転から1ヶ月以内ー「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」
なお移転によって納税地が変わるときは、移転前後の納税地を管轄する税務署に1通ずつ提出する必要があります。税務署の窓口でも提出できますが、郵送やe-Taxでも提出可能です。e-taxなら、Web上で全ての手続きが完結します。
参照:国税庁「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」
社会保険
同様に、社会保険事務所にもオフィス移転を届け出ます。基本的に移転から5日以内に、「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を提出してください。
上記の書類の添付書類が、法人事業所と個人事業所によって異なります。法人事業所の場合は、法人(商業)登記簿謄本のコピーが求められます。一方の個人事業所の場合は、事業主の個人番号が記載されていない住民票のコピーを提出します。
参照:日本年金機構「適用事業所の名称・所在地を変更するとき(管轄内の場合)の手続き」
労働保険
同様に労働保険を管轄する公的機関にオフィス移転を届け出るために、「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。ただし事業所の種類(一元適用事業所か二元適用事業所か)によって提出先に違いがありますので、ご注意ください。
一元適用事業所は、労働保険(労災保険と雇用保険)をまとめて申告・納付する事業所です。労働基準監督署に変更届を提出します。
二元適用事業所は労災保険と雇用保険を分けて申告・納付する事業所で、建築業や農林・水産事業などが該当します。労災保険の変更届を労働基準監督署へ提出して、雇用保険の変更届を公共職業安定所へ提出してください。
他の届出・申請
上記以外にも、他の届出・申請が必要になる場合があります。例えば法人や個人の銀行口座やクレジットカードに対しても、住所変更が求められます。手続きに必要な書類(法人登記簿や印鑑登録証明書など)を準備しておきましょう。
またオフィス移転7日前までに、管轄する消防署へ次の届出が求められます。
- 防火対象物使用開始届出書
- 防火・防災管理者選任(解任)届出書
- 消防計画作成(変更)届出書
計画的にオフィス移転の準備や手続きを進めよう!
通常営業を続けながら、効率的にオフィスを移転させなくてはなりません。チェックリストとスケジュール、マニュアルを作成したうえで、計画的にオフィス移転の準備や手続きを進めましょう。下のタグをクリックして、オフィス移転に関する関連記事もご覧ください。
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