2024.07.30 2024.06.23オフィスデザイン
サウンドマスキングとは?本体価格・工事費用や導入の注意点・事例を紹介
本記事で、「サウンドマスキングとは?」という疑問にお答えするために、サウンドマスキングの本体価格・工事費用や導入の注意点・事例をご紹介します。オフィスの新設や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
サウンドマスキングとは?基本情報を紹介
そもそもサウンドマスキングとは、どのようなシステムでしょうか?そこでサウンドマスキングの目的と仕組み、遮音・吸音との違い、メリット・デメリットをご紹介します。導入を検討するために、基本情報を押さえましょう。
目的
まずサウンドマスキングの目的は、特定の音(騒音や会話など)を聞こえにくくすることです。オフィス内で発生する騒音(話し声や機械音など)は、作業をしている従業員の集中力に悪影響を与えます。
また機密情報に関する会話が室外まで聞こえてしまうと、情報漏洩のリスクがあります。サウンドマスキングで騒音や会話を聞こえにくくすることで、業務効率の向上や情報セキュリティ対策が可能です。
仕組み
次にサウンドマスキングは、特殊な音(マスキング音)で特定の音(騒音や会話など)を包み込む仕組みです。聴覚には、近い周波数の音が聞こえてきた場合に、不快に感じる音より心地さを感じる音を聞き取る性質があります。
参照元:J-STAGE「マスキング効果の利用|長友宗重」(1ページ)『騒音制御』(第12巻)
聴覚の性質を利用して、マスキング音(自然音やヒーリング音楽など)を再生することで、騒音や会話などが聞こえにくくなります。サウンドマスキングの音響設備・機器やマスキング音の種類や音量のバランスなどについては、後ほどご紹介します。
遮音・吸音との違い
またサウンドマスキングと遮音・吸音との違いは、目的と方法です。サウンドマスキングの目的は音を聞こえにくくすることで、マスキング音を再生する音響設備・機器が使用されます。
遮音の目的は音の遮断で、内装に遮音材が施工されます。吸音の目的は音の吸収(反響の防止)で、内装に吸音材が施工されます。オフィスの防音対策についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メリット・デメリット
それからサウンドマスキングのメリットは、コストの低さや内装デザインの維持などです。防音工事と比べてコスト(工事の費用や期間)が低く、内装デザインを維持して音響設備・機器を設置できます。
しかし騒音や会話の影響が残る点は、サウンドマスキングのデメリットです。マスキング音は、騒音や会話などを包み込んで聞こえにくくしますが、遮音・吸音はできません(騒音や会話などの音量は小さくなりません)。
導入する流れ
そしてサウンドマスキングをオフィスに導入する流れは、以下のとおりです。
- 業者の選定と相談
- 音環境の調査
- シミュレーション
- 音響設備・機器の設置
業者にサウンドマスキングの導入を相談し、オフィスの音環境を調査してもらいましょう。
調査結果に基づいてシミュレーションしたうえで、音響設備・機器を設置してください。必要な設備・機器や導入する際の注意点について、後ほどご紹介します。
サウンドマスキングに必要な設備・機器(本体価格と工事費用)
基本情報だけではなく、サウンドマスキングに必要な設備・機器も確認しましょう。音楽再生機器とアンプ・スピーカーの特徴や本体価格をご紹介してから、サウンドマスキング工事費用の相場と内訳をご紹介します。
音楽再生機器
まず音楽再生機器が、サウンドマスキングに必要な設備・機器として挙げられます。音楽再生機器には、音を電子信号に変換してアンプに送る役割があります。音楽再生機器の操作で、音の選曲・再生・停止が可能です。
音楽再生機器の本体価格は、1台1万〜10万円程度です。データ容量や音質、機能などによって、音楽再生機器の本体価格は変動します。サウンドマスキングの目的や方法に適した音楽再生機器を選びましょう。
サウンドマスキングシステムによっては、マスキング音が保存された音楽再生機器やマスキング音のデータが提供されます。業者に相談する際に、提供される音響設備・機器の種類や本体価格を確認しましょう。
アンプとスピーカー
次にアンプとスピーカーも、サウンドマスキングに必要な設備・機器です。アンプは、音楽再生機器から送信される電子信号を増幅させる機械です。音楽再生機器から送信される電子信号は小さいため、アンプで増幅させます。
スピーカーは、アンプから受け取った電子信号を空気の振動で音に変換する機械です。スピーカーには、幅広いサイズや形状(天井埋め込み型やコンパクト型、ポール型など)があります。オフィスのフロア面積や内装デザインに合うサイズや形状を選びましょう。
アンプの本体価格は1台3万〜10万円程度、スピーカーの本体価格は1台1万〜20万円程度です。音質や機能などによって、アンプやスピーカーの本体価格は変動します。オフィスのフロア面積や予算に応じて、適したアンプとスピーカーを選びましょう。
工事費用の相場と内訳
そしてサウンドマスキング工事費用の相場は、坪単価3万〜10万円程度です。例えば10坪のオフィスなら、30万~100万円程度の工事費用がかかります。参考情報として10坪のオフィスにかかる工事費用を試算しましたので、ご覧ください。
費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 |
諸経費 (調査や シミュレーション など) | 合計の10%程度 | 3万~10万円程度 (10坪のオフィス) |
音響設備・機器の 本体価格 | 音楽再生機器1台1万〜10万円程度 アンプ1台3万〜10万円程度 スピーカー1台1万〜20万円程度 (合計の80%程度) | 1台3万~10万円程度 1台3万~10万円程度 3台18万~60万円程度 (合計24万~80万円程度) |
音響設備・機器の 施工 | 合計の10%程度 | 3万~10万円程度 |
合計 | 100% (坪単価3万~10万円程度) | 30万~100万円程度 |
上表のとおり、サウンドマスキング工事に用においては、スピーカーの本体価格が占める割合が高いです。ただしオフィスのフロア面積や部屋数、音響設備・機器の性能、台数などによって、工事費用は変動します。
サウンドマスキングを導入する際の注意点
サウンドマスキングに必要な設備・機器と併せて、導入する際の注意点も確認しましょう。本記事では7点(予算と場所、マスキング音の種類、音量のバランス、内装空間の遮音性・吸音性、内装デザインとの統一感、メンテナンス)を取り上げます。
予算
まず予算が、サウンドマスキングを導入する際の注意点として挙げられます。サウンドマスキングを導入するフロア面積や部屋数などに応じて予算を計上して、予算内に収まるように音響設備・機器の台数や性能を検討しましょう。
サウンドマスキングを導入するフロア面積が増えるほど、予算が大きくなります。予算に応じて、優先的にサウンドマスキングを導入するエリア(会議室や執務室、休憩室など)を限定してください。
場所
次に場所も、サウンドマスキングを導入する際の注意点です。サウンドマスキングの導入は、オフィスフロアの騒音や会話などが発生する場所(会議室や執務室、休憩室など)に適しています。
各部屋においては、仕事を妨げない場所(天井や壁など)に音響設備・機器を設置しましょう。効果的にマスキング音で騒音や会話を包み込むためには、スピーカーの高さや角度が重要です。
マスキング音の種類
またマスキング音の種類も、サウンドマスキングを導入する際の注意点です。マスキング音の種類は、居心地や業務効率などを左右します。サウンドマスキングを導入する場所の用途や雰囲気に合わせて、マスキング音の種類を選びましょう。
マスキング音の種類には自然音やヒーリング音楽などがあり、リズムやテンポ、周波数などが異なります。音響設備・機器の施工後に、状況に応じて再生するマスキング音の変更が可能です。
音量のバランス
それから音量のバランスも、サウンドマスキングを導入する際の注意点です。サウンドマスキングの効果を高めるためには、基本的には包み込みたい音(雑音や会話など)と同じ音量のマスキング音を流します。
ただし包み込みたい音(雑音や会話など)が大きいほど、マスキング音の音量も大きくなってしまいます。室内の音量が大きすぎると、快適性や業務効率に支障をきたす恐れがあるので、音量のバランスに注意しましょう。
内装空間の遮音性・吸音性
そして内装空間の遮音性も、サウンドマスキングを導入する際の注意点です。ローパーティションで仕切られた空間や間仕切りのない空間などでは遮音性・吸音性が低いため、サウンドマスキングを導入しても効果が薄れてしまいます。
そこで遮音性・吸音性の低い内装空間には、サウンドマスキングと併せて、防音対策も検討しましょう。オフィスを防音対策する流れと方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
内装デザインとの統一感
さらに内装デザインとの統一感も、サウンドマスキングを導入する際の注意点です。内装デザインに合う音響設備・機器を施工して統一感を保てると、快適性や業務効率を下げなくて済みます。
そこで内装デザインのテイストに合わせて、音響設備・機器の素材や配色を選びましょう。例えばナチュラルテイストの内装デザインには、木目やアースカラーなどが合います。オフィスデザインにおけるテイストの種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メンテナンス
なおメンテナンスも、サウンドマスキングを導入する際の注意点です。定期的なメンテナンスにより、音響設備・機器の劣化や故障を防いだり、オフィスの安全性や清潔さを保ったりできます。
例えば音響設備・機器にはホコリが付きやすいため、乾いた布で拭き取ります。ただし水気が内部に入ってしまうと故障の原因になるため、ご注意ください。オフィスメンテナンスの重点箇所と方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
サウンドマスキングの導入事例
注意点に気をつけながらサウンドマスキングを導入できるように、参考となる事例を調査しましょう。本記事では5事例(Webミーティングスペースと面談ブース、会議室、商談スペース、オフィスフロア全体)を取り上げて、各事例の特徴を紹介します。
Webミーティングスペースに導入したオフィス
まず「H¹T立川店」は、東京都のシェアオフィスです。半個室のWebミーティングスペースに、コストを抑えつつセキュリティを強化する目的で、サウンドマスキングが導入されました。
利用者にサウンドマスキングの効果をアピールするために、Webミーティングスペースにステッカーが貼られています。利用者が触れて劣化や故障しないように、音響設備・機器がケースで覆われている導入事例です。
面談ブースに導入したオフィス
次に「株式会社プログリット」は、東京都の英会話教室を経営している企業です。オフィスの面談ブースは半個室のため、会話漏れを防ぐ目的で、サウンドマスキングが導入されました。
サウンドマスキング導入後には会話漏れが軽減され、他のブースの会話を気にせずに、面談に集中できるようになりました。またコストを抑えつつ会話漏れを軽減し、プライバシー保護にもつながった導入事例です。
会議室に導入したオフィス
また「JASPAS」は、東京都の口座振替サービスなどを展開している企業です。会議室のパーテーションと天井の間に隙間があるため、会話が漏れないようにするために、サウンドマスキングが導入されました。
サウンドマスキング導入後には会話の漏れが軽減し、会議を円滑に進められるようになりました。会議室にマスキング音を再生しないときには、オフィスフロアにBGMを再生している事例です。
参照元:グラムスラム株式会社「JASPAS様_サウンドマスキング”リリーバー”設置」
商談スペースに導入したオフィス
それから「株式会社アシックス」は、競技用シューズなどを製造・販売するスポーツ用品メーカーです。兵庫県の本社オフィスでは、広々とした体育館の一角にある商談スペースに、サウンドマスキングが導入されました。
サウンドマスキング導入後には、商談スペースの会話が体育館へ漏れることが軽減され、活発に商談を進められるようになりました。受付エリアにも音楽を再生して、リラックスした雰囲気づくりに活用されている事例です。
参照元:SOUND DESIGN for OFFICE「株式会社アシックス | 導入事例」
オフィスフロア全体に導入したオフィス
なお「株式会社レイメイ藤井」は、文房具や事務機などを製造・販売する企業です。オフィスをリニューアルするタイミングで、オフィスフロア全体にサウンドマスキングが導入されました。
サウンドマスキング導入後には、ミーティングや電話の会話、トイレの騒音などが、オフィスフロアに聞こえにくくなりました。時間帯(朝礼や昼休憩、退勤など)や季節などに応じてマスキング音を変更している事例です。
参照元:SOUND DESIGN for OFFICE「株式会社 レイメイ藤井 | 導入事例」
サウンドマスキングの導入を検討しよう!
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