2020.11.24 2023.09.13オフィスデザイン
居抜きオフィス物件を探す際のポイント!メリット・スケルトン物件との違い・費用・事例
本記事で、居抜きオフィス物件を探す際のポイントを解説します。居抜きオフィス物件のメリットやスケルトン物件との違い、入居費用と退去費用、事例もご紹介します。オフィスの開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
居抜きオフィス物件とは?基本情報
居抜きオフィス物件とは、前借主が施工した内装や設備・機器・什器などが残されたオフィス物件です。まずは居抜きオフィス物件の基本情報(メリットやデメリット、スケルトン物件との違い、適した業種・業態など)を確認しましょう。
メリット
まず居抜きオフィス物件のメリットは、入居にかかる費用や時間の節約です。スケルトン状態のオフィス物件と比べて、オフィスの新設や移転に必要な内装や設備・機器・什器などの工事費用が少なくて済みます。
また入居の費用だけではなく、居抜きオフィス物件なら工事を省略できる分だけ、入居の準備時間も短縮されます。もちろん居抜きオフィス物件の状態によっては、レイアウト変更や追加工事が必要です。
デメリット
次に居抜きオフィス物件のデメリットとして、内装デザインの自由度の低さや設備・機器・什器における劣化や故障のリスクなどが挙げられます。前借主の施工した内装や設備・機器・什器に制約されるため、大幅なレイアウト変更や追加工事には費用と時間が必要です。
また前借主から譲渡された内装や設備・機器・什器に劣化や故障が発生していると、修理や交換の費用が必要です。居抜きオフィス物件の探し方については、後ほど詳しくご紹介します。
スケルトンオフィス物件との違い
また居抜きオフィス物件とスケルトンオフィス物件の違いは、内装や設備・機器・什器の譲渡(造作譲渡)の有無です。居抜きオフィス物件なら、施工されている内装や設備・機器・什器などの譲渡が可能です。
一方でスケルトンオフィス物件には、内装や設備・機器・什器が施工されておらず、建築物の躯体(屋根や柱、外壁など)だけの状態です。居抜きオフィス物件と比べると、内装デザインの自由度が高いですが、内装工事に費用と時間がかかります。
適した企業
そして居抜きオフィス物件は、スタートアップ企業やオフィスを縮小・分散する企業などに適しています。スタートアップ企業は、事業成長と共に従業員の採用数を増やすため、現在よりも大規模な居抜きオフィス物件を選ぶと移転しやすいです。
またコロナ対策や働き方改革などのために、オフィスを縮小・分散する企業には、小規模な居抜きオフィス物件が適しています。コロナ禍のオフィス移転の動向についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
居抜きオフィス物件を探す際のポイント
基本情報を押さえたら、居抜きオフィス物件の探す際のポイントも確認しましょう。そこで自社に適した居抜きオフィス物件を探せるように、ポイント6点(条件整理と物件調査、間取りや面積、造作譲渡物、条件交渉、申し込むタイミング)をご紹介します。
希望条件の整理
まず希望条件の整理が、居抜きオフィス物件を探す際のポイントとして挙げられます。各物件によって、立地や譲渡される内装や設備・機器・什器などが異なるため、賃料や造作譲渡料に差が生じるからです。
そこで居抜きオフィス物件の希望条件(立地や規模、レイアウトの完成度や造作譲渡物の種類・数量など)を整理しておきましょう。希望条件を満たさない居抜きオフィス物件に入居してしまうと、業務効率の低下や従業員のコミュニケーション不足などを招く恐れがありますので、ご注意ください。
希望エリア内の物件調査
次に希望エリア内の物件調査も、居抜きオフィス物件を探す際のポイントです。不動産物件のWebサイトで検索したり、不動産会社に相談したりして、希望エリア内の居抜きオフィス物件をピックアップしてください。
候補となる居抜きオフィス物件をピックアップできたら、最寄駅からの距離や周辺環境などを比較します。さらに数件の物件まで絞り込んだら、実際に目で見て確かめるために、内覧を申し込みましょう。
間取りや面積
また間取りや面積も、居抜きオフィス物件を探す際のポイントです。絞り込んだ居抜きオフィス物件を内覧する際には、フロア全体のレイアウトはもちろん、各部屋の動線設計も確かめなければなりません。
特に従業員採用やワークスタイル、出社率などの変化に対応できるように、居抜きオフィス物件の間取りと面積を確認しましょう。オフィスレイアウトの基準となる寸法(廊下の幅や執務室の通路・座席の幅、一人当たりのワークスペース)をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
造作譲渡物の数量や状態
そして造作譲渡物の数量や状態も、居抜きオフィス物件を探す際のポイントです。オフィス物件の賃貸借契約とは別に、造作物の譲渡契約を結ばなくてはなりません。
そこで物件の前借主または所有者から譲渡される内装や設備・機器・什器などについて、数量や状態の正確な把握が重要です。劣化や破損が見られる譲渡物については、値下げや修理、交換、撤去などの交渉をしましょう。
契約条件の交渉
それから契約条件の交渉も、居抜きオフィス物件を探す際のポイントです。間取りや面積、造作譲渡物を把握したうえで、賃料の値下げや譲渡物の変更などを交渉しましょう。
特に入居後にレイアウト変更や内装の追加工事を計画する場合には、貸主の許可が必要な場合があります。また退去時のトラブルを避けるためには、原状回復の範囲と費用負担を明確にしておかなければなりません。
他にも造作譲渡物(内装や設備・機器・什器など)の修繕費用負担についても、契約前に確認しておきましょう。
申し込むタイミング
なお申し込むタイミングも、居抜きオフィス物件を探す際のポイントです。条件の良い物件には、先に競合他社に申し込まれてしまう恐れがあります。事前の確認を速やかに終えて、早めに申し込みましょう。
そこで整理した希望条件に沿って、ピックアップした複数の物件に優先順位を付けておきましょう。希望エリアが狭くなるほど、希望条件に合う居抜きオフィス物件を探しづらくなります。
居抜きオフィス物件の入居費用と退去費用
自社に適した居抜きオフィス物件を探せても、予算に合わなくては賃借や購入ができません。そこで居抜きオフィス物件の入居費用と退去費用について、相場と内訳、節約法をご紹介します。
相場
居抜きオフィス物件の賃貸借契約において、まず入居費用の相場は、坪単価10万〜15万円程度です。50坪で賃料月50万円の居抜きオフィス物件なら、500万円から750万円程度かかります。
また退去費用の相場も、坪単価10万〜15万円程度です。50坪で賃料月50万円の居抜きオフィス物件なら、500万円から750万円程度かかります。
つまり居抜きオフィス物件の入居費用と退去費用の相場は、坪単価20万~30万円程度です。ただし物件の規模や賃料、造作譲渡物の数量などに応じて、費用は変動します。
内訳
次に居抜きオフィス物件の入居費用と退去費用の内訳について、下表にまとめました。参考情報として、50坪で賃料月50万円の物件にかかる費用を試算してあります。
入居費用の内訳 | 入居費用の相場 | 入居費用の試算 (50坪で賃料月50万円) |
敷金・礼金・手数料・前賃料 | 賃料の6か月分程度 | 300万円 |
保証料や火災保険料 | 賃料の数か月分程度 | 50万円 |
前賃料 | 賃料の数か月分程度 | 100万円 |
造作譲渡料 | 数百万円程度 | 150万円 |
合計 (坪単価10~15万円程度) | 600万円程度 |
退去費用の内訳 | 退去費用の相場 | 退去費用の試算 (50坪で賃料月50万円) |
原状回復工事費 | 1坪5万円程度 | 250万円程度 |
廃棄物処理費 | 1坪0.5万円程度 | 25万円程度 |
前賃料 (解約通知日から 退去日まで) | 6カ月分程度 | 300万円程度 |
合計 (坪単価10~15万円程度) | 600万円程度 |
上表のとおり、入居費用と退去費用において、前賃料の占める割合が50%程度です。ただし造作譲渡物(内装や設備・機器・什器)の数量や原状回復の範囲などによって、費用は上下します。
節約法
そして居抜きオフィス物件の入居費用と退去費用の節約法として、座席数の減少と造作譲渡物の活用などが挙げられます。
まずオフィスのワークスタイル(フリーアドレスやABWなど)に応じて、座席数を減少させると、フロア面積の小さい居抜きオフィス物件を選べるため、賃料を節約できます。フリーアドレスとABWの違いをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
また造作譲渡物を活用することで、内装や設備・機器・什器の新規工事費用を節約できます。特に間仕切りの解体や電気設備の増設には費用がかかるため、希望条件に合う居抜きオフィス物件を選びましょう。
居抜きオフィス物件の事例
自社に理想的な居抜きオフィス物件を探せるように、参考となる事例を調査しましょう。本記事では事例5点を取り上げて、居抜きオフィス物件の希望条件や探し方などの特徴をご紹介します。
譲渡された内装が活かされたオフィス
「ClipLine株式会社」様は、動画を活用したマネジメント支援サービスを展開する企業です。リモートワーク中心の働き方に移行するためにオフィスを移転した際に、居抜きオフィス物件の譲渡された内装が活かされました。
例えば移転前にコーヒーカウンターとして利用されていたスペースが、スタンディングのミーティングスペースとして活用されています。ただしラウンジやソロスペースなどは、新たにレイアウトされたスペースです。
参照元:ClipLine株式会社「Web会議環境を整えろ!!」
アクセスの良い立地のオフィス
「Crezit Holdings株式会社」様は、フィンテック(FinTech)のスタートアップ企業です。サービス向上などを目的に、アクセスの良い立地にある居抜き物件にオフィスが移転されました。
ただし一定程度の内装デザインの自由度も重視され、スケルトン天井やデザイン性の高いOAフロア、従業員の業務効率などを希望条件にして、今回の居抜きオフィス物件が選定されています。
本社機能が集約されたオフィス
「パソナグループ」様は、総合人材サービスを展開する企業です。新オフィスへの移転により、本社機能が集約。生産性向上のために、居抜きのオフィスビル1棟に、都内の営業所がまとめられました。
オフィスフロアは、業務内容や目指す成果に応じて、従業員が働く場所を選べるようにデザイン。集中作業に向いている壁際のカウンター席や、活発な議論とアイデア創出を促すオープンスペースなどが、レイアウトされています。
参照元:PERSOL「パーソルグループ、本社オフィスを新開設 機能別フロア設計で社員の生産性を最大化」
短期間での成長を見据えたオフィス
「株式会社カケコム」様は、オンライン法律相談サービスを展開する企業です。短期間での成長を見据えて、コワーキングスペースから新オフィスに移転。新オフィスには、シンプルな内装がデザインされています。
従業員が出社したいオフィスへ移転できるように、物件を選ぶ際には賃料だけではなく、内覧を重視。またコワーキングスペースには会議スペースがなかったため、会議室の数にもこだわって、居抜きオフィス物件が絞り込まれました。
参照元:株式会社カケコム「採用情報」
居抜きで退去されたオフィス
「freeeサイン株式会社」様は、ワンストップ型の電子契約サービスを展開する企業です。新オフィスへの移転に伴い、旧オフィスを居抜きで退去。原状回復費用がかからないため、移転費用が大幅に削減されました。
また居抜きで退去できたため、新オフィスへの移転準備も削減。新オフィスに入居するまで、旧オフィスで営業できました。
参照元:freee「freee、アートヴィレッジ大崎セントラルタワーへ本社を拡大移転」
居抜きオフィス物件を検討しよう!
IDEALは、オフィス全般のコンセプト設計から資金調達、物件探し、内外装のデザイン・工事、集客までのワンストップソリューションをご提供しております。
下のキーワードをクリックして、オフィスデザインや開業準備などの関連記事もぜひご覧ください。またオフィスの開業や移転、リニューアルなどをご検討の際は、ぜひご相談ください。