2024.06.07 2024.05.04オフィスデザイン
ホテリングとは?メリット・デメリットやポイント・事例を紹介
本記事で、「ホテリングとは?」という疑問にお答えするために、オフィスにホテリングを導入するメリット・デメリットやポイント、事例をご紹介します。オフィスの開設や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
ホテリングとは?
オフィスにホテリングを導入する前に基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、ホテリングを導入しやすくなるからです。それではホテリングの定義や目的、フリーアドレスやテレワークとの関係性、システムをご紹介します。
定義
まずホテリングの定義は、オフィスにおける座席利用の予約管理システムです。1990年代から、アメリカ企業のオフィスに導入されてきました。例えばBig4のAndersen Consultingにホテリングが導入されて、従業員数の30%程度のデスクだけが配置されました。
参照元:坪本裕之「東京都心における外資系経営コンサルティング会社の新たなオフィス形態の構築―1990 年代以降の A 社を事例として―」
フリーアドレス(オフィス内で働く場所を自由に選べるスタイル)の導入に伴い、ホテリングのシステムが生まれました。従業員に対して固定席が割り振られないオフィスにおいては、座席の管理が必要になるからです。
目的
次にホテリングの目的は、コスト削減やスペース有効活用などです。従業員数分の固定席が配置される従来のオフィスに比べて、ホテリングの導入されたオフィスには従業員数よりも少ないデスクだけが配置されるため、コストが削減されます。
またコストだけではなく、従来のオフィスよりもデスクの台数を減少させることで、空いたスペースを別の用途(休憩や会議など)に有効活用できます。リモートワークが導入されるオフィスにおいては、従業員数分の固定席は不要です。
フリーアドレスやテレワークなどを実現させる手段
またホテリングは、フリーアドレスやテレワークなどを実現させる手段です。ホテリングはオフィスのワークスタイルを支えるシステムであり、座席利用の予約管理システムとしてフリーアドレスやテレワークなどの導入を実現させます。
一方で、フリーアドレスはオフィス内で働く場所を自由に選べるスタイルです。フロア有効活用やコミュニケーション活性化、生産性向上などを目的として導入されます。フリーアドレスのメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
システム
そしてホテリングに必要なシステムは、通信回線とパソコン・スマホ、予約管理システムなどです。オフィス内のパソコンや従業員のスマホなどから、通信回線を通じてクラウドソフトへアクセスして、座席の予約や管理を行います。
単なる座席管理に加えて、座席の利用制限や従業員の勤務状況管理、座席利用状況の分析なども可能です。オフィスのワークスタイルやホテリングの目的に応じて、適切なシステムを選びましょう。
参照元:
Desk Mosaic「フリーアドレスの座席管理(ホテリング)システム」
オフィスにホテリングを導入するメリット・デメリット
基本情報だけではなく、オフィスにホテリングを導入するメリット・デメリットも確認しましょう。メリット2点(勤怠管理・感染症対策)とデメリット2点(コストと座席の固定化)を取り上げます。
メリット①勤怠管理のしやすさ
まずオフィスにホテリングを導入するメリットとして、勤怠管理のしやすさが挙げられます。フリーアドレスやテレワークが導入されたオフィスでも、座席予約管理システムにより勤怠管理がしやすいです。
座席予約管理システムでは、単なる座席の利用予約だけではなく、在席状況をリアルタイムで共有できます。座席利用状況のデータ分析により、従業員の働き方改革や生産性向上も可能です。
メリット②感染症対策
また感染症対策も、オフィスにホテリングを導入するメリットです。特にコロナ禍(2020~2022年)においては、オフィス内でも三密の回避や濃厚接触者の特定などが求められました。
そこでフリーアドレスやテレワークの導入されたオフィスに、併せてホテリングを導入することで、感染症の発症者や濃厚接触者の特定ができます。ただし座席の利用前後には、消毒が必要です。
デメリット①予約管理システムなどのコスト
しかし予約管理システムなどのコストは、オフィスにホテリングを導入するデメリットです。ホテリングの導入には、初期費用と運転資金(設備・機器や予約管理システムなどの購入や利用)がかかります。
ただし導入するシステムによって、設備・機器・予約管理システムなどの本体価格や月額利用料などは異なります。複数のシステムを調査したうえで、機能性やコストなどを比較しましょう。
デメリット②座席固定化のリスク
そして座席固定化のリスクも、オフィスにホテリングを導入するデメリットです。フリーアドレス導入によりコミュニケーションを活性化させてくても、同じ従業員が特定の座席を長期的に予約してしまうと、座席が固定化されてしまいます。
そこで座席固定化を防ぐためには、フリーアドレス導入の目的を従業員に周知しましょう。予約管理システムの抽選機能を利用したり、利用状況データを分析したりすることも重要です。
オフィスにホテリングを導入する際のポイント
メリット・デメリットを踏まえたうえで、オフィスにホテリングを導入する際のポイントも確認しましょう。8点(目的と通信環境、システム・ルール、レイアウト、従業員への周知、トラブルへの対応、ABW・テレワークとの併用、PDCAサイクル)をご紹介します。
目的の明確化
まずオフィスにホテリングを導入する際のポイントとして、目的の明確化が挙げられます。ホテリング導入の目的は、コスト削減やスペース有効活用などです。ホテリング導入の成果を上げるためには、目的を明確化させましょう。
そこでコスト削減を目的としてホテリングを導入する際には、予算に応じてオフィスフロアの広さや座席数を検討しましょう。スペースの有効活用が目的ならば、空いたスペースを別の用途(休憩や会議など)に利用できるように、レイアウトを検討してください。
通信環境の構築
次に通信環境の構築も、オフィスにホテリングを導入する際のポイントです。ホテリングを導入するために、通信回線やパソコン・スマホ、予約管理システムなどにより通信環境を構築しましょう。
オフィスの通信環境を構築する際には、通信速度やパソコンの台数、ビジネスフォンなどの条件を検討してください。オフィス通信環境を構築する設備機器やサービスをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
システム・ルールの決定
またシステム・ルールの決定も、オフィスにホテリングを導入する際のポイントです。座席の予約管理システムによって、機能性やコストが異なります。ホテリング導入の目的に合うシステムとルールを決定しましょう。
例えばフリーアドレスによるコミュニケーション活性化を目指すオフィスにおいては、座席の固定化を防ぐために、同じ座席の連続利用を制限します。また予約管理システムにより、従業員ごとに予約できる座席の種類や期間などを設定してください。
レイアウトの変更
それからレイアウトの変更も、オフィスにホテリングを導入する際のポイントです。フリーアドレスやテレワークを導入する際には、出社する従業員数やオフィス内の業務内容などに適したレイアウトに変更しましょう。
オフィスのレイアウトを変更するためには、フロアのゾーニングや動線を検討したうえで、スケジュールを調整します。オフィスをレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
従業員への周知
続いて従業員への周知も、オフィスにホテリングを導入する際のポイントです。従業員が座席の予約や利用に困らないように、ホテリング導入の目的や予約管理システムの利用方法などを周知しましょう。
座席の予約管理システムによっては、在席状況確認やメッセージ送信などの機能があります。座席の利用状況データを定期的に分析したうえで、予約管理システム上で従業員への周知が可能です。
トラブルへの対応
さらにトラブルへの対応も、オフィスにホテリングを導入する際のポイントです。ホテリングの導入や運用に伴い、予約管理システムに関するトラブル(予約の重複やキャンセルの抜け漏れなど)が発生するリスクがあります。
そこで予約管理システムのトラブルに備えて、対応方法の検討が重要です。予約管理システムの設定変更やエラーなどに対応できるように、ホテリングや通信環境のシステム管理責任者を配置しましょう。
ABW・テレワークとの併用
そしてABW・テレワークとの併用も、オフィスにホテリングを導入する際のポイントです。フリーアドレスだけではなく、ABW(業務内容やメンバー構成などに応じて、働く場所や時間を選ぶ働き方)にもホテリングを導入できます。
フリーアドレスやABWと同様に、テレワークにもホテリングを導入できます。オフィスにテレワークを導入するメリットとデメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
PDCAサイクルによる運用
なおPDCAサイクルによる運用も、オフィスにホテリングを導入する際のポイントです。運用の成果を上げるために、ホテリングの計画(Plan)から実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクルを回しましょう。
例えば出社する従業員数が増減した場合には、座席数の見直しが必要です。また座席利用予約に重複やキャンセル漏れが発生する場合には、予約管理システムの種類や設定を見直しましょう。
オフィスのホテリング導入事例
ポイントを押さえてオフィスにホテリングを導入できるように、事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(テレワークと予約管理システム、利用実績データ、働きやすさとBCPの実現、シングルサインオン)をご紹介します。
テレワークを併用するオフィス
まず「株式会社プリバテック 川崎事業所」は、テレワークを併用するオフィスです。オフィスにフリーアドレスが導入される際に、ホテリングシステムが採用されました。各従業員が、週3日までテレワークをしています。
40名ほどの従業員に対して、オフィスフロアには30席ほどが配置されており、ホテリングシステムにより座席利用予約が管理されています。仕事上のコミュニケーションが必要なメンバー同士で近くの座席を予約するように配慮されています。
予約管理システムが導入されたオフィス
次に「NTTアーバンソリューションズ株式会社」は、予約管理システムが導入されたオフィス(未来のオフィス 4×SCENE(フォーシーン))を開設しました。ホテリングシステムのデータを活用して、チームワークの機会をつくることが目的です。
座席利用やチームワークだけではなく、各従業員の好みや生産性、購買情報、バイタルデータ、温度・湿度などのデータも取得・分析されており、社員によるブラッシュアップを図るライブオフィスです。
参照元:NTTアーバンソリューションズ株式会社「『未来のオフィス 4×SCENE(フォーシーン)』を秋葉原UDXに開設」
利用実績データを活用するオフィス
それから「NTTデータルウィーブ株式会社」は、利用実績データを活用するオフィスです。フリーアドレス導入による座席の過不足を評価するための指標として、ホテリングシステムの利用実績データが活用されています。
約800名の従業員に対して、オフィス内に200席がレイアウトされています。利用実績データに基づいて、客観的に座席の管理ができるようになりました。また座席の利用状況が可視化されたことで、オフィス内のコミュニケーションが活性化されています。
参照元:Desk Mosaic「フリーアドレスの座席管理(ホテリング)システム」
働きやすさとBCPの実現を目指すオフィス
さらに「税理士法人FP総合研究所」は、働きやすさとBCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)の実現を目指すオフィスです。フリーアドレスのオフィスにはホテリングシステムが導入されており、週1回のリモートワークが併用されています。
予約管理システムの導入により、座席や会議室の管理だけではなく、リモートワークする従業員の勤怠管理も可能になりました。iOSとAndroidの両方に対応する予約管理システムが採用されています。
参照元:Acall「BCP対策と働きやすさを最適なオフィス面積で実現。Acall利用データを働き方とオフィス作りの指標に」
シングルサインオンも導入したオフィス
そして「株式会社QES」はフリーアドレスのオフィスで、予約管理システムと併せて、シングルサインオンも導入されています。Google Workspaceとの連携により、共通のIDでホテリングシステムの利用が可能です。
オフィスフロアには4エリア(集中・チーム・活動・交流)がレイアウトされており、ホテリングシステムにより座席の予約管理や利用状況分析、従業員の位置情報の共有などが行われています。
オフィスにホテリングを導入しよう!
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