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2023.06.15  2023.07.09オフィス内装工事

オフィスに対する内装制限とは?内装制限の条件・内容・緩和策を紹介

本記事で、オフィスに対する内装制限を解説します。内装制限の条件・内容・緩和策をご紹介します。オフィスの開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。

オフィスに対する内装制限とは?

オフィスに対する内装制限とは?

オフィスに対する内装制限とは、オフィスビルに施工される内装材の範囲や限度です。法律に定められる条件に当てはまると、内装制限を受けます。それではオフィスに対する内装制限の目的と法的根拠、罰則を確認しましょう。

目的

まずオフィスに対する内装制限の目的は、オフィスビルの火災予防や初期消火、安全な避難などです。壁と天井には、不燃材料や準不燃素材、難燃材料の使用が義務づけられています。内装制限を遵守して、災害による被害を最小限に抑えなくてはなりません。

例えばオフィスビル内で火災が発生しても、内装制限に基づいて不燃材料が施工されていれば、火災の初期成長やフラッシュオーバーを遅らせることができます。火災の広がりが抑えられることで、避難や救助、消火の活動が可能です。

したがって内装制限は、オフィスビル内の従業員や来訪者の安全を守るために重要です。オフィスビルの建築やオフィス物件の工事においては、必ず遵守しなければなりません。内装制限の具体的な内容については、後ほどご紹介します。

法的根拠

次にオフィスに対する内装制限は、建築基準法と消防法によって定められています。建築基準法と消防法によって内装制限の意図が異なりますが、オフィスビル内の従業員や来訪者らを守るために重要です。

建築基準法には、火災初期における避難経路の確保を意図して、建築物に対する内装制限が定められています。

参照元:e-gov法令検索「建築基準法」第35条の2

消防法には、火災の予防や初期段階の消火、人命の救助を意図して、建築物の構造や設備に対する内装制限が定められています。

参照元:福岡市消防局「第9 内装制限」

なお建築基準法と消防法により内装制限を受けるオフィスビルの条件については、後ほどご紹介します。

罰則

そして内装制限の違反に対する罰則が、建築基準法や消防法に定められています。一般的にオフィスビルの設計やオフィス物件の内装デザインは専門業者に依頼されますが、建築主や施工主として設計やデザインの内容を理解することが必要です。

建築基準法の違反を問われると、個人に対して懲役3年以下または300万円以下の罰金が、法人に対して1億円以下の罰金が科せられます。

参照元:e-gov法令検索「建築基準法」第98条と105条

消防法違反の違反を問われると、個人に対して1年以下の懲役または100万円以下の罰金が、法人に対して3000万以下の罰金が科せられます。

参照元:e-gov法令検索「消防法」第40条と第45条

したがってオフィスビル内の従業員や来訪者らの安全を守るためはもちろん、罰則を受けて社会的な信頼を失わないためにも、オフィスに対する内装制限を遵守しましょう。

なおオフィス内装デザインのコツもまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

内装制限を受けるオフィスの条件

内装制限を受けるオフィスの条件

オフィスに対する内装制限の基本情報を押さえたうえで、内装制限を受けるオフィスの条件を確認しましょう。条件に当てはまるオフィスビルにおいては、適切な建築や内装工事、設備工事が求められます。

特殊建築物に該当する

まず特殊建築物に該当する点が、内装制限を受ける建築物の条件として挙げられます。ただし一般的なオフィスビルは特殊建築物に該当しません

特殊建築物とは、「多くの人が集まる建築物」や「衛生と防火のために規制すべき建築物」です。下表に、内装制限を受ける特殊建築物の種類と用途をまとめました。

特殊建築物の種類→↓建築物の用途耐火建築物準耐火建築物他の建築物
1.劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場客室の床面積400㎡以上客席の床面積100㎡以上客席の床面積100㎡以上
2.病院・診療所・ホテル・旅館・民宿・共同住宅・児童福祉施設など3階以上の床面積300㎡以上2階の床面積300㎡以上(病院・診療所は2階に患者収容施設がある場合)床面積の合計200㎡以上
3.百貨店・展示場・マーケット・キャバレー・カフェ・バー・飲食店・物品店・大衆浴場など3階以上の床面積1,000㎡以上2階の床面積500㎡以上床面積の合計200㎡以上
4.自動車車庫・自動車修理工場・映画スタジオまたはテレビスタジオなど全て全て全て
5.地下または地下工作物内に上記1~3の居室を有するもの全て全て全て
参照元:e-gov法令検索「建築基準法施工令」128-129条

上表の通り、特殊建築物の種類と用途によって、内装制限を受ける条件が異なります。耐火性の高い建築物であれば、床面積が広くても内装制限が比較的緩和されます。しかし耐火性の低い建築物は、床面積が狭くても内装制限を受けます。

耐火建築物とは、建築物の躯体(梁や躯体などの構造部分)に耐火性能のある素材が施工された建築物で、最大3時間火災による倒壊を防げます。準耐火建築物は、最大1時間倒壊を防げます。

大規模建築物に該当する

また大規模建築物に該当する点も、内装制限を受けるオフィスの条件です。大規模建築物とは、言葉通り大規模な建築物です。内装制限を受ける大規模建築物の条件をご覧ください。

参照元:e-gov法令検索「建築基準法施工令」128-129条

以上のとおり、大規模建築物に該当するオフィスビルにおいては、内装制限を受ける条件が階数や延べ面積によって異なります。オフィスビルの建築や内装工事、設備工事の前に、条件をご確認ください。

火気使用室を有する

さらに火気使用室を有する点も、内装制限を受けるオフィスの条件です。火気使用室とは、火を使う居室(ガスコンロが設置された給湯室や簡易キッチンなど)です。次の条件に当てはまる火気使用室は、内装制限を受けます。

参照元:e-gov法令検索「建築基準法施工令」128-129条

以上のとおり、オフィスビルの火気使用室は、内装制限を受けます。ただし主要構造部が耐火構造となっている火気使用室やIHコンロが設置された火気使用室は、内装制限の対象外です。

無窓居室を有する

そして無窓居室を有する点も、内装制限を受けるオフィスの条件です。無窓居室とは、建築基準法の基準を満たす窓がない居室です。「採光無窓」「換気無窓」「排煙無窓」「避難無窓」の4種類に分けられます。

以下の条件を満たす排煙無窓が、内装制限を受けます。

参照元:e-gov法令検索「建築基準法施工令」128条

なおオフィスの廊下に対する法規制もありますので、次の記事も併せてご覧ください。

オフィスに対する内装制限の内容

オフィスに対する内装制限の内容

内装制限を受ける条件だけではなく、オフィスに対する内装制限の内容も確認しましょう。内装制限を受ける条件(特殊建築物と大規模建築物、火気使用室、無窓居室)ごとに、制限の内容をご紹介します。

特殊建築物に対する制限

まずオフィスビルは、基本的に特殊建築物に該当しません。ただし参考情報として、特殊建築物に対する内装制限の内容について、下表にまとめました。

内装制限の内容→↓建築物の用途居室通路・階段
1.劇場・映画館・演芸場・観覧場・公会堂・集会場難燃以上の防火材料準不燃以上の防火材料
2.病院・診療所・ホテル・旅館・民宿・共同住宅・児童福祉施設など難燃以上の防火材料準不燃以上の防火材料
3.百貨店・展示場・マーケット・キャバレー・カフェ・バー・飲食店・物品店・大衆浴場など難燃以上の防火材料準不燃以上の防火材料
4.自動車車庫・自動車修理工場・映画スタジオまたはテレビスタジオなど準不燃以上の防火材料準不燃以上の防火材料
5.地下または地下工作物内に上記1~3の居室を有する建築物準不燃以上の防火材料準不燃以上の防火材料

参照元:e-gov法令検索「建築基準法施工令」128-129条

上表のとおり、特殊建築物の居室と通路・階段には、防火材料(不燃と準不燃、難燃)を施工しなくてはなりません。防火材料には、火災発生から一定時間内に不燃・溶融しないことやガスを発生しないことが求められます。

大規模建築物に対する制限

次に大規模建築物に対する内装制限の内容は、次のとおりです。

参照元:日本塗装協会「内装制限一覧表」 

大規模建築物内においては、階数と床面積の条件を満たすオフィス物件が、内装制限を受けます。内装のデザイン・工事を依頼する業者に、防火材料の施工について確認しましょう。

火気使用室に対する制限

また火気使用室に対する内装制限の内容は、天井と壁に対する準不燃材料の施工です。準不燃材料と仕上げ材の組み合わせについては、国土交通省の告示に従う必要があります。

参照元:国土交通省「準不燃材料でした内装の仕上げに準ずる仕上げを定める告示」

無窓居室に対する制限

そして無窓居室に対する内装制限の内容は、天井や壁に対する準不燃材料の施工です。無窓居室の不燃性を高めることで、オフィス内外への火災拡大を遅らせることが期待されます。

参照元:e-gov法令検索「建築基準法施工令」128条

ただし内装制限の緩和や避難安全検証法により、準不燃以下の材料が施工される場合もあります。建築物の安全性はもちろん、設計の自由度も考慮しましょう。

なおオフィスのドアをデザインする方法をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

オフィスに対する内装制限の緩和策

オフィスに対する内装制限の緩和策

オフィスに対する内装制限の内容は、法令によって定められています。ただし法的に認められる緩和策を講じることで、防火材料の費用を削減したり、設計の自由度を高めたりできます。

天井の高さを6m以上にする

まず天井を6m以上まで高くすることが、オフィスに対する内装制限の緩和策として挙げられます。天井が高いと煙が充満する時間を遅らせて、火災初期の避難がしやすくなるからです。

参照元:福岡市消防局「第9 内装制限」

例えば窓の面積が床面積の1/50未満である執務室は、内装制限を受けます。しかし天井を7mに設計することで、内装制限の対象から外れることができます。

警報設備とスプリンクラーを設置する

次に警報設備とスプリンクラーを設置することも、オフィスに対する内装制限の緩和策として挙げられます。

参照元:建築基準法施行令126条の3

ただし警報設備とスプリンクラーによる緩和策は、以下の条件にしか適用されません

参照元:建設省「火災が発生した場合に避難上支障のある高さまで煙又はガスの降下が生じない建築物の部分を定める件」

天井を準不燃材料で仕上げる

また天井を準不燃材料で仕上げることも、オフィスに対する内装制限の緩和策として挙げられます。天井を準不燃材料で仕上げることで、壁に木材を施工可能です。

ただし壁に施工できる木材には条件がありますので、ご注意ください。

参照元:建設省「難燃材料でした内装の仕上げに準ずる仕上げを定める件」

梁や柱の面積を床面積の1/10以内にする

さらに柱や梁の面積を床面積の1/10以下にすることも、オフィスに対する内装制限の緩和策として挙げられます。また天井や壁の装飾用として施工される小規模の角材(格子天井やよしず天井など)は、内装制限の対象にはなりません。

参照元:名古屋市「内装制限の解説」

なおオフィス内装工事の費用相場と業者選びをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。

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