2024.10.04 2024.08.29オフィス経営
オープンイノベーションとは?方法や課題と解決策・事例を紹介
本記事で「オープンイノベーションとは?」という疑問にお答えするために、方法や課題と解決策・事例をご紹介します。オフィスの開設や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
オープンイノベーションとは?基本情報を紹介
そもそもオープンイノベーションとは、どういった技術革新の方法なのでしょうか?そこでオープンイノベーションの基本情報(定義と目的、メリット・デメリット、クローズドイノベーションとの違い、促進税制)を確認しましょう。
定義と目的
まずオープンイノベーションとは、組織の内部だけではなく、外部の知識や技術を活用した革新です。オープンイノベーションの目的は、研究や開発、事業などの課題に適した解決策を探求することです。
参照元:
オープンイノベーションを実現させるためには、人材・アイデア・知的財産・研究・市場などの要素が必要で、課題(拠点施設やプラットフォーム、人材の配置・育成など)を解決しなくてはならないため、後ほどご紹介します。
メリット・デメリット
次にオープンイノベーションのメリットは、コスト削減やスピードアップ、知識・技術の価値の向上などです。知識や技術を求める組織が知識や技術を保有する組織と協働することで、以上のメリットを得られます。
ただし利益率の低下や知識・技術流出のリスクなどは、オープンイノベーションのデメリットです。組織の内部だけではなく、外部の組織と協働して研究や開発、事業を展開する場合には、以上のデメリットを対策しなければなりません。
クローズドイノベーションとの違い
それからオープンイノベーションとクローズドイノベーションとの違いは、対応できるニーズの範囲やスピードなどです。クローズドイノベーションでは、組織内部で開発・研究した知識や技術を取引先だけに販売するため、対応できるニーズが限られ、時間がかかります。
一方で、オープンイノベーションでは、組織の内部だけではなく、外部組織の保有する知識や技術も活用するため、多様なニーズに対応できます。クローズドイノベーションよりも、開発・研究・事業などを展開するスピードが速いです。
参照元:
促進税制
そしてオープンイノベーションを支援する制度として、オープンイノベーション促進税制があります。スタートアップ企業とのオープンイノベーションのために新規発行株式を取得したり、M&Aを行ったりする場合に、所得控除を受けられる制度です。
オープンイノベーション促進税制には条件(対象となる法人やスタートアップ企業、出資額、オープンイノベーションの内容、申請方法など)が定められていますので、必ず最新情報を確認しましょう。
参照元:
オープンイノベーションに必要な要素
基本情報だけではなく、オープンイノベーションに必要な要素も確認しましょう。メリットを引き出し、デメリットを対策できるように、オープンイノベーションに必要な要素(市場と人材、マインド・アイデア、研究・開発、知的財産)をご紹介します。
市場
まず市場が、オープンイノベーションに必要な要素として挙げられます。オープンイノベーションを実現させる際には、市場のニーズを調査したうえで、商品・サービスの研究・開発・事業などを展開させましょう。
そこで市場調査を踏まえて、オープンイノベーションの目的や目標を明確化しましょう。目的や目標の明確化も、オープンイノベーションの課題となりますので、後ほど解決策をご紹介します。
人材
次に人材も、オープンイノベーションに必要な要素です。オープンイノベーションを実現させるためには、開発・研究・事業などの経営層はもちろん、現場の責任者も必要です。責任者は、組織内部の調整はもちろん、外部組織との連絡や相談に対応します。
そこでオープンイノベーションの責任者となる人材を配置・育成しましょう。人材の配置・育成もオープンイノベーションの課題として挙げられますので、後ほど解決策をご紹介します。
マインド・アイデア
またマインド・アイデアも、オープンイノベーションに必要な要素です。従来的な考え方に囚われないマインドや思いがけないアイデアにより、オープンイノベーションを実現させましょう。
したがってオープンイノベーションの責任者が柔軟な考え方や斬新な発想を集めるだけではなく、経営層や現場から広く意見を取り入れることが重要です。オープンイノベーションの課題である文化・風土の醸成について、後ほど解決策をご紹介します。
研究・開発
続いて研究も、オープンイノベーションに必要な要素です。オープンイノベーションを実現させるためには、外部組織の知識・技術を活用しながら、組織内部で研究・開発を進める体制を構築しましょう。
そこで研究・開発を進めるためには、拠点施設の開設が必要です。人材・マインド・アイデア・知的財産と併せて、拠点施設の開設もオープンイノベーションの課題として挙げられますので、後ほど解決策をご紹介します。
知的財産
それから知的財産も、オープンイノベーションに必要な要素です。組織内部で保有する知識・技術を外部組織に提供したり、外部組織の知識・技術を活用したりすることで、オープンイノベーションを実現させましょう。
ただし自組織の利益を損なわないためには、知的財産の適切な管理(ライセンスや譲渡、無償開放など)が重要です。オープンイノベーションの課題としてプラットフォームやイベント、プログラムなどが挙げられますので、後ほど解決策をご紹介します。
参照元:特許庁「オープンイノベーションと知的財産」(6ページ)
「オープンイノベーション白書」の指摘する課題と解決策
必要な要素を踏まえたうえで、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題(目的や目標の明確化と人材の配置・育成、文化・風土の醸成、拠点施設の開設、プラットフォームの利用、イベントの企画・参加、プログラムの募集・応募)と解決策もご紹介します。
目的や目標の明確化
まず目的や目標の明確化が、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題として挙げられます。オープンイノベーションの目的や目標が共有されていない組織においては、既存の研究・開発・事業が優先されて、人材や資金が適切に配分されないからです。
目的や目標を明確化させるための解決策は、経営戦略への位置づけです。オープンイノベーションを推進している組織においては、経営戦略にオープンイノベーションの目的や目標を明記しています。
参照元:NEDO「オープンイノベーション白書」(252ページ)
人材の配置・育成
そして人材の配置・育成も、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題です。解決策として、オープンイノベーションのコーディネーター(組織内部と外部の橋渡し役)やイノベーター(研究・開発・事業などの実行役)を配置・育成しましょう。
ただしオープンイノベーションのコーディネーターやイノベーターを配置・育成するためには、経営層の理解が重要です。オープンイノベーションを推進する組織においては、経営層にオープンイノベーションを推進する役員を配置しています。
参照元:NEDO「オープンイノベーション白書」(255-257ページ)
文化・風土の醸成
なお文化・風土の醸成も、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題です。オープンイノベーションを実現させるためには、従来的な自前主義から脱却して、外部の知識や技術を活用する文化・風土を醸成しなければなりません。
オープンイノベーションを実現させる文化・風土を醸成させるための解決策として、研究・開発フローの見直しやニーズ調査と事業モデル構築の重視などがあります。研究・開発者が外部組織の知識・技術を活用しやすい仕組みを整備しましょう。
参照元:NEDO「オープンイノベーション白書」(255-257ページ)
拠点施設の開設
次に拠点施設の開設も、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題です。拠点施設が開設されていなかったり、機能していなかったりすると、オープンイノベーションの実現が遠のいてしまいます。
オープンイノベーション拠点施設を開設して機能させるための解決策として、経営層に近い距離にしたり、既存の研究・開発部門から独立させたりしましょう。研究・開発部門だけではなく、マーケティング部門や外部組織からの人材も必要です。
参照元:NEDO「オープンイノベーション白書」(253-255ページ)
プラットフォームの利用
それからプラットフォームの利用も、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題です。開発・研究・事業の連携先が見つからないと、組織内部の知識・技術を提供したり、外部組織の知識・技術を活用したりできません。
参照元:NEDO「オープンイノベーション白書」(254ページ)
そこで連携先を見つけるための解決策として、プラットフォームを利用しましょう。オープンイノベーションのプラットフォームによって、登録されている組織やサポートの内容などが異なります。
参照元:
イベントの企画・参加
続いてイベントの企画・参加も、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題です。連携先を見つけるための解決策として、従来的な展示会や学会だけではなく、ビジネスコンテストやニーズ発表会、ハッカソン・アイデアソンなどのイベントも企画・参加しましょう。
参照元:NEDO「オープンイノベーション白書」(250ページ)
例えば以下のオープンイノベーションイベントには、幅広い業界のイノベーターや投資会社などが参加しています。
参照元:
プログラムの募集・応募
さらにプログラムの募集・応募も、「オープンイノベーション白書」の指摘する課題です。提携先を見つけるための解決策として、オープンイノベーションプログラムの募集・応募を検討しましょう。
参照元:NEDO「オープンイノベーション白書」(254ページ)
例えば以下のページでは、社会的な課題の解決を目的として、企業がオープンイノベーションプログラムの参加者を募集しています。
参照元:
オープンイノベーション大賞を受賞した企業の事例
課題を解決できるように、オープンイノベーション大賞を受賞した企業の事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(スポーツ産業と4社協働、サービス、商品、貿易分野)をご紹介します。
スポーツ産業のオープンイノベーションプログラム
まず「株式会社eiicon」は、スポーツ産業のオープンイノベーションプログラムを運営しています。スポーツ産業の課題であるビジネス開発の人材・ノウハウの不足を補うために、他産業の企業とのマッチングを支援するプログラムです。
例えば広島ドラゴンフライズは株式会社ビーライズと協働して、ファンエンゲージメントと収益性を向上させるXRコンテンツを制作しました。オープンイノベーションプログラムの成果が認められて、株式会社eiiconは日本オープンイノベーション大賞を受賞しました。
参照元:
内閣府「『第5回 日本オープンイノベーション大賞』受賞取組・プロジェクトの概要について」(11ページ)
PR TIMES「【eiicon company】内閣府主催『第5回 日本オープンイノベーション大賞』スポーツ庁長官賞をeiicon companyが受賞!|株式会社eiicon」
4社協働によるオープンイノベーションプロジェクト
次に「SECOM」は、4社協働によるオープンイノベーションプロジェクトを展開しました。AGC株式会社と株式会社ディー・エヌ・エー・株式会社NTTドコモと協働して、バーチャル警備システムを開発しました。
オープンイノベーションプロジェクトの成果(人手不足の解決策やリーン型開発、オープン・クローズ型知財マネジメント)が認められて、日本オープンイノベーション大賞を受賞しました。
参照元:
SECOM「『バーチャル警備システム』が『日本オープンイノベーション大賞』で経済産業大臣賞を受賞」
内閣府「『第6回 日本オープンイノベーション大賞』受賞取組・プロジェクトの概要について」(5ページ)
オープンイノベーションにより開発されたサービス
それから「株式会社ミマモルメ」は、オープンイノベーションによりサービスを開発しました。子どもや高齢者を見守るサービスで、自治体や学校、企業との連携により開発されました。
オープンイノベーションの成果(ICT見守るサービス市場の創出と発展)が認められて、日本オープンイノベーション大賞を受賞しました。別事業として、プログラミング教室も運営しています。
参照元:
株式会社ミマモルメ「内閣府主催 第6回日本オープンイノベーション大賞で【ミマモルメ】及び【プログラボ】が経済産業大臣賞を受賞!」
内閣府「『第6回 日本オープンイノベーション大賞』受賞取組・プロジェクトの概要について」(9ページ)
オープンイノベーションにより開発された商品
続いて「ライオン株式会社」は、オープンイノベーションにより商品を開発しました。使用済み詰め替えパックからリサイクルされた商品で、競合企業(花王)や取引先(イトーヨーカ堂・ウエルシア薬局・ハマキョウレックス)と共同開発されました。
オープンイノベーションの成果(詰め替えパックの回収と水平リサイクル)が認められて、日本オープンイノベーション大賞を受賞しました。サーキュラーエコノミー実現につながる事例です。
参照元:
PR TIMES「ライオン、花王、イトーヨーカ堂、ウエルシア薬局、ハマキョウレックス第6回日本オープンイノベーション大賞の「環境大臣賞」を受賞|ライオン株式会社」
内閣府「『第6回 日本オープンイノベーション大賞』受賞取組・プロジェクトの概要について」(11ページ)
貿易分野のオープンイノベーションプラットフォーム
そして「株式会社トレードワルツ」は、貿易分野のオープンイノベーションプラットフォームを構築しました。ブロックチェーンにより、貿易に関わる荷主や銀行、保険会社、物流企業の間で、手続き情報を共有する仕組みです。
オープンイノベーションの成果(貿易業界のDX)が認められて、日本オープンイノベーション大賞を受賞しました。貿易・通信業界の企業と連携したオープンイノベーションの事例です。
参照元:
PR TIMES「内閣府主催 第6回日本オープンイノベーション大賞 にてトレードワルツが日本経済団体連合会会長賞を受賞しました|トレードワルツ」
内閣府「『第6回 日本オープンイノベーション大賞』受賞取組・プロジェクトの概要について」(13ページ)
オープンイノベーションを展開しよう!
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