2023.03.24 2023.03.31オフィスデザイン
オフィスのトイレをデザインするポイント!トイレの種類や工事費用・施工事例
本記事で、オフィスのトイレをデザインするポイントを解説します。オフィスのトイレの種類や工事費用・施工事例もご紹介します。オフィスの開業や移転、リニューアルなどを検討している方は、ぜひご覧ください。
目次
オフィスデザインにおいてトイレが重要な理由
一般的に、建築物にはトイレが設置されています。それではオフィスデザインにおいて、トイレはどれくらい重要なのでしょうか?法令やモチベーション、印象の観点から、オフィスデザインにおいてトイレが重要な理由をご紹介します。
法令で定められているから
オフィスデザインにおいてトイレが重要な理由として、まず法令で定められている点が挙げられます。事業者に従業員のために衛生的な事務所を整備させることを目的として、「事務所衛生基準規則」にトイレの設置が定められています。
下表に、事務所に設置するトイレの数をまとめました。
トイレの種類 | トイレの数 |
女性用トイレ | 女性従業員20人以内ごとに個室1か所 |
男性用トイレ | 男性従業員30人以内ごとに小便器1か所男性従業員60人以内ごとに個室1か所 |
ただし上記のトイレの数は、最低限の基準である点にご注意ください。従業員数や使用頻度などを考慮してトイレを設置しなければ、トイレの待ち時間が長くなり、業務に支障が出る恐れがあるからです。トイレの数を調査する方法については、後ほどご紹介します。
従業員のモチベーションに影響するから
次に従業員のモチベーションに影響する点も、オフィスデザインにおいてトイレが重要な理由です。2019年の調査で、約1,000人の66%が「トイレや化粧室の快適性が仕事のモチベーションに関わる」と回答し、54%の人が「トイレで気分を切り替えたい」と回答しています。
参考:TOTO「オフィストイレの水まわりに関する調査」(2ページ)
気分転換の場所として食堂や喫煙所などもありますが、利用しない人もいます。一方でトイレは誰もが利用する場所であり、執務室から離れて1人になれる場所です。したがってオフィスのトイレをデザインするときは、リフレッシュしやすいように清潔さや快適さを重視しましょう。
なおモチベーションを向上させるオフィスのブランディングについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスに対する印象を左右するから
さらにオフィスの印象を左右する点も、オフィスにおいてトイレが重要な理由です。オフィスのトイレは従業員だけでなく、来訪者(顧客や取引先など)も利用します。たとえ応接室や会議室が綺麗でも、トイレが古かったり汚かったりするとイメージダウンにつながる恐れがあります。
したがってオフィス全体の内装に合わせて、統一感のあるおしゃれなトイレをデザインしましょう。また使う人のことを考えて除菌スプレーや綿棒といったアメニティを用意すると、好印象を与えやすくなります。
なおトイレだけではなく、エントランスもオフィスの印象を左右しますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスにデザインできるトイレの種類と費用
オフィスデザインにおいてトイレが重要な理由を踏まえて、オフィスにデザインできるトイレの種類と費用を確認しましょう。トイレの種類によって本体価格が異なるため、工事費用を含めて予算を計算しなくてはなりません。
トイレの種類
オフィスにデザインできるトイレには、大きく4種類あります。オフィスフロアの広さに適したトイレを選べるように、種類ごとのメリット・デメリットをご紹介します。
組み合わせトイレ
組み合わせトイレは、パーツ(便座・タンク・便器)を自由に組み合わせられるトイレの種類です。メリットは価格帯が低い点とパーツの一部だけ修理・交換できる点です。
しかし組み合わせトイレのデメリットとして、形が複雑で掃除しにくい点が挙げられます。加えてタンクに水が溜まるまで待つ必要があるため、連続での使用には不向きです。
一体型トイレ
一体型トイレは、便座・タンク・便器が1つになったトイレの種類です。凹凸が少ないため、掃除しやすいメリットがあります。
しかし一体型トイレのデメリットは、故障の程度に関わらず便座・タンク・便器を丸ごと修理・交換しなくてはならない点です。またタンク式のため、連続で使用できません。
タンクレストイレ
タンクレストイレは、水を溜めるタンク部分のないトイレの種類です。シンプルで小さいため掃除しやすく、狭い個室にも設置しやすいメリットがあります。そして連続で使用することが可能です。
ただし組み合わせトイレに比べて、価格が高い点がタンクレストイレのデメリットです。高層階など水圧の弱い場所で使用できない恐れもあるため、設置場所に注意してください。
キャビネット付トイレ
キャビネット付トイレは、タンク部分が収納場所(キャビネット)に隠れているトイレです。水道管なども併せて隠すことができるため、すっきりとしたデザインになる点がメリットです。
ただしタンク式のため、連続での使用には不向きです。またキャビネットが設置される分だけ、個室内にスペースが必要な点もキャビネット付トイレのデメリットです。
工事費用
下表に、オフィスにデザインできるトイレの本体価格をまとめました。
トイレの種類 | 本体価格 |
組み合わせトイレ | 1器5万〜10万円程度 |
一体型トイレ | 1器10万円〜25万円程度 |
タンクレストイレ | 1器20万円〜35万円程度 |
キャビネット付トイレ | 1器25万円〜35万円程度 |
またトイレの内装工事費用も下表にまとめました。
工事箇所 | 費用相場(材料費と工賃) |
トイレの施工 | 1台数万~20万円程度 |
壁材 | 1㎡当たり2,500〜5,000円程度 |
床材 | 1㎡当たり1,000〜1,500円程度 |
ハンドドライヤー | 1台3万〜20万円程度 |
洗面台 | 1台2万~20万円程度 |
古いトイレの交換 | 1台3,000〜1万円程度 |
なお電気や水道などの設備工事が必要になると、さらに工事費用がかかります。トイレを含むオフィスの内装工事の流れを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスのトイレをデザインするポイント
オフィスにデザインできるトイレの種類と費用を踏まえて、オフィスのトイレをデザインしましょう。トイレの種類や数を調査してから工事を完了するまでの流れに沿って、デザインするポイントをご紹介します。
必要なトイレの種類と数を調査する
オフィスのトイレをデザインするポイントとして、まず必要なトイレの種類と数を調査してください。法令により男女別にトイレの設置が義務づけられていますが、従業員が10人以内のオフィスには男女共用の個室トイレ1か所で良いです。
ただしトイレメーカーによれば、個室トイレ1か所を快適に使用できる人数は、男性10人程度または女性5人程度です。オフィス全体の男女比を考慮して数を決定してください。トイレの種類によって、必要なスペースが異なります。便器はもちろん、タンクやキャビネットのサイズも計算しましょう。
電源や排水管を確認する
次に電源や排水管の位置を確認する点も、オフィスのトイレをデザインするポイントです。おしゃれなトイレをデザインしても、電気配線をつなげなかったり、正常に排水できなかったりすると、電気や水道の追加工事が必要になる恐れがあります。
例えば温水式便座(ウォシュレットなど)やプライバシー保護の擬音装置、タンクレストイレを施工するなら、個室にコンセント1口以上が必要です。また排水管の位置(床と壁のどちら側か)を確認してください。便器の設置場所が変わるだけでなく、種類によっては設置できない場合もあります。
なおトイレにも必要な換気設備をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
トイレの間取りを決める
またトイレの間取りを決める点も、オフィスのトイレをデザインするポイントです。トイレの種類と数に応じて、利用者の動線を意識しながら間取りを決めましょう。トイレの個室に必要なスペースは、1㎡前後(横幅80㎝前後×奥行き130㎝前後)です。
まず便器の横幅は50㎝前後で、メンテナンス用に便器の左右に15㎝程度ずつのスペースを空ける必要があります。したがってトイレの個室に必要な横幅は、80㎝前後になります。
また便器の奥行きは、タンクの有無によって異なります。タンクのあるトイレなら、本体の奥行きは80㎝前後です。座ったときに圧迫感のないように、正面の壁まで50㎝前後空けなくてはなりません。つまりトイレの個室に必要な奥行きは、130㎝前後になります。
なおオフィスをレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
掃除しやすい素材を選ぶ
そして掃除しやすい素材を選ぶ点も、オフィスのトイレをデザインするポイントです。個室も便器も綺麗な状態に維持するためです。壁には、水はねに強い塩化ビニールのクロス(壁紙)が適しています。床には、継ぎ目がない長尺シートや耐久性のあるタイルがおすすめです。
手洗い場(洗面台)には、汚れがつきにくい陶器やホーローなどの素材が適しています。ただし衝撃に弱い点にご注意ください。素材の性質を踏まえて、予算に合わせて選びましょう。
なおコロナ禍によるオフィスデザインの課題をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
清潔感のある空間を演出する
さらにオフィスのトイレをデザインするポイントとして、清潔感のある空間を演出する点も忘れないでください。気分よく利用してもらえるように、トイレ空間をデザインしましょう。
例えば壁に白や木目調のクロスをデザインしたり、床に抗菌・防臭加工された素材を選んだりします。またダウンライトや間接照明を選べば、適度な明るさに調整可能です。明るすぎると落ち着かないため、暖色系の柔らかい色を選びましょう。自動化された設備(蛇口やディスペンサー、蓋の開閉や便器洗浄など)を選べば、共有部分に手を触れずに済みます。
幅広いニーズに応える
また幅広いニーズに応える点も、オフィスのトイレをデザインするポイントです。従業員の男女比だけでなく、年齢構成や用途まで考慮しながらデザインしてください。従業員専用のトイレはもちろん、来訪者の利用するトイレも検討しましょう。
例えば女性用トイレには、カウンターやパウダールーム、大きめの鏡があると、化粧や身だしなみを整えやすいです。また車いすの利用者や介助者が利用する場合には、多目的トイレの設置を検討してください。手すりやスライドドアを施工すれば、さらに利用しやすいです。
賃貸借契約の条件を確認する
そして賃貸借契約の条件を確認する点も、オフィスのトイレをデザインするポイントです。自社オフィスのトイレなら自由にデザインできますが、賃貸オフィスのトイレの場合には工事を許可されない恐れがあるからです。
特にオフィスビルの管理するトイレや他企業と共有するトイレの工事については、貸主や管理業者と相談してください。工事を許可されても、退去の際に原状回復を求められる場合もあります。
またトイレを交換するだけではなく、電気や水道の工事が必要になると、工事期間が長くなります。トラブルを未然に防ぐために、工事前に貸主や管理業者はもちろん、同じフロアの入居者にも工事内容を通知しましょう。
なおオフィス物件の探し方を紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスのおしゃれなトイレ施工事例
予算内に理想的なトイレをデザインできるように、オフィスのおしゃれなトイレ施工事例を調査しましょう。本記事では、IDEALの施工事例などを取り上げて、先ほどご紹介したデザインポイントが活かされてる部分を中心に解説します。
シンプルで落ち着いた雰囲気のトイレ
「Basis Point Schola 」様は、全国展開するコワーキングスペースです。福岡天神西通り店には、シンプルで落ち着いた雰囲気となるようにトイレがデザインされました。オフィスの内装に合わせて、グレーの内壁と木目のドア、青い天井が施工されています。
個室には、一体型トイレが採用されました。利用者が使いやすいように、洗面台が広くレイアウト。化粧直しなどで顔を確認しやすいように、鏡の後ろに間接照明が取り付けられています。
さまざまな人が使いやすい多目的トイレ
「株式会社影山鉄工所」様は、鉄骨工事事業を展開する企業です。アイアンプラネットベースオブ沼津には、オフィス環境向上の一環として、さまざまな人が使いやすい多目的トイレが施工されました。白く清潔感のある多目的トイレには、青い手すりが設置されています。
またおしゃれな手洗い場をデザインできるように、木目の床材や白いタイルの壁材が施工されている点も特徴的です。利用者が荷物を置けるように、洗面台がレイアウトされています。
スタイリッシュなトイレ
「株式会社 黒坂鍍金工業所」様は、特殊メッキ加工を行う企業です。製造業のイメージを変えることを目指してオフィスがデザインされ、スタイリッシュなトイレが施工されました。モノトーンの内装と統一感を保ちながら、波線のあるクロスが施工されている点が特徴的です。
限られたスペースにトイレをレイアウトできるように、タンクレストイレが設置されています。従業員が使いやすいように、手洗い場に大きな鏡も施工。「若い男性や女性に興味を抱いてもらいたい」という経営者の思いからデザインされたオフィスのトイレです。
華やかな女性用トイレ
「中央精機株式会社」様は、自動車用ホイールを製造する企業です。オフィスに、華やかな女性用トイレが施工。温かみを感じてもらえるように建具や什器に木材を取り入れ、おしゃれさを演出できるよう手洗い場にモザイクタイルがデザインされています。
加えて調湿・脱臭性能のある壁材(エコカラット)が、清潔感を出しています。床には、水はねに強いタイルが施工。女性が利用しやすいように、パウダーコーナーやロッカーも設置されています。
リフレッシュしやすいトイレ
「福岡舞鶴スクエア」様は、様々な企業が入る賃貸オフィスビルです。利用者がリフレッシュしやすいように、トイレがデザインされました。女性用トイレにはアースカラーをベースにした爽やかな内装が、男性トイレにはシンプルでスタイリッシュな内装が施工されています。
またスタイリングコーナーが透明のパーテーションで仕切られたり、ハンドドライヤーが手洗い場の横に設置されたりして、利用者の用途や動線、プライバシーが考慮されています。
オフィスにおしゃれで機能的なトイレをデザインしよう!
IDEALは、オフィスのコンセプト設計から物件探し、内外装のデザイン・工事、資金調達までのワンストップソリューションをご提供しています。
オフィスの開設や移転、リニューアルをご検討の際には、ぜひご相談ください。また下のタグをクリックして、オフィスデザインなどの関連記事もぜひご覧ください。