2023.10.23 2023.10.10オフィスデザイン
オフィスに個室をレイアウトする際のポイント!消防法・ブース・価格・費用・事例
本記事で、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントを解説します。消防法の要件や個室ブースの工事の費用と事例などもご紹介します。オフィスの開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
オフィスの個室に関する基本情報
オフィスに個室をレイアウトする前に、基本情報を確認しましょう。そこで完全個室と半個室の違い、オフィスに個室をレイアウトするメリット・デメリット、消防法の要件についてご紹介します。
完全個室と半個室の違い
まずオフィスにレイアウトされる完全個室と半個室の違いは、通気性・視認性・遮音性などです。完全個室とは、造作壁や施工型パーテーションなどで完全に仕切られている部屋です。窓や空調・換気設備で通気性を高めなくてはなりませんが、外部からの視線や騒音を遮断できます。一度、完全個室を工事すると、簡単に壁を撤去できません。
一方の半個室とは、簡易パーテーションや什器などで仕切られた部屋です。隙間が空いているため通気性や視認性がありますが、遮音性に劣ります。また完全個室と異なり、簡易パーテーションや什器を撤去することで、オフィスフロアの広さを調節できます。
メリット
次にオフィスに個室をレイアウトするメリットは、業務効率の向上や情報漏洩の防止などです。個室内では外部からの視線や騒音が遮断されるため、集中作業をしやすいです。また個室には防音性があるため、会議中や接客中などに情報漏洩を防止できます。
特に機密性の高い商談や会議が行われる役員室には、セキュリティ性や防音性のある完全個室が適しています。オフィスに役員室をレイアウトするポイントなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
デメリット
またオフィスに個室をレイアウトするデメリットとして、工事のコストがかかる点やフロアを占有する点などが挙げられます。執務エリアに新たに個室をレイアウトする際には、造作壁やパーテーションを設置する費用が必要ですので、予算を立てておきましょう。
また小規模オフィスに個室をレイアウトすると、執務室や会議室のフロア面積が狭くなりますので、幅広い用途(集中作業や会議、接客など)に使用しましょう。また半個室をレイアウトすることで、用途に応じて壁(簡易パーテーションや什器など)を撤去できます。
消防法の要件
そしてオフィスの個室に関する消防法の要件として、消防設備の設置義務があります。オフィスフロアには消火設備の設置が義務づけられており、オフィスの業種や建築物の規模・階数などによって、設置条件が細かく定められています。
ただし可動式ブースに対しては、一定の条件を満たすことで、消防設備の設置が免除されます。消防設備の設置が免除されるためには、オフィスの所在地を管轄する消防署へ申請しましょう。
参照元:
総務省消防庁「可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて(通知)」
オフィスに設置できる個室の種類と工事費用
基本情報を把握したうえで、オフィスに設置できる個室の種類と工事費用も確認しましょう。3点(造作壁の完全個室・パーテーションの半個室・可動式ブースの半個室)に整理して、ご紹介します。
造作壁の完全個室
まず造作壁の完全個室が、オフィスに設置できる個室の種類として挙げられます。造作壁とは、軽量鉄骨の骨組みに石膏ボードが貼り付けられた壁です。遮音性の高さと視認性の低さが特徴です。
また造作壁の完全個室の工事費用は、坪単価10万~20万円程度です。ただし個室の規模や高さなどによって、工事費用は変動します。下表に工事費用の内訳をまとめて、参考情報として2坪の完全個室にかかる費用を試算してあります。
費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 2坪の完全個室 |
軽鉄工事 | 坪単価1万円程度 | 8万円程度(壁4面) |
ボード工事 | 坪単価1万円程度 | 8万円程度(壁4面) |
仕上げ工事 | クロス:坪単価3,000~5,000円程度 塗装 :坪単価5,000~1万円程度 タイル:坪1万~3万円程度 | 2万~24万円程度(壁4面) |
合計 | 坪単価10万~20万円程度 | 1室20万~40万円程度 |
なおオフィスにおける内壁の役割やデザインするコツなどをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
パーテーションの半個室
次にパーテーションの半個室も、オフィスに設置できる個室の種類です。パーテーションは、内装空間の間仕切りです。造作壁のように備え付けではなく、設置場所の自由さが特徴です。
またパーテーションの種類には、置き型と施工型があります。置き型には、床や壁、天井などに取り付ける工事が不要で、自由に設置と撤去ができます。一方の施工型には、取り付け工事が伴います。
施工型パーテーションの工事費用は、1室10万~20万円程度(ドア1枚とパネル4枚)です。下表に施工型パーテーションの工事費用をまとめ、参考情報として1室にかかる工事費用を試算してあります。
費用の内訳 | 費用の目安 | 費用の試算 1室の半個室 |
アルミパーテーション | 1枚2万~3万円程度 | 10万〜15万円程度 (ドア1枚とパネル4枚) |
スチールパーテーション | 1枚3万〜4万円程度 | 15万〜20万円程度 (ドア1枚とパネル4枚) |
合計 | 1室10万~20万円程度 | 10万~20万円程度 |
なおオフィスのパーテーション施工事例などをまとめてありますので、次の記事を併せてご覧ください。
可動式ブースの半個室
そして可動式ブースの半個室も、オフィスに設置できる個室の種類です。可動式ブースはボックス型で、床や壁に固定されないため、移動や撤去が可能です。メーカーによって、「個室ボックス」や「個室ブース」などと呼ばれています。
また可動式ブースの設置は、条件によって消防署への申請が必要です。可動式ブースを設置する前に、オフィスの所在地を管轄する消防署に確認しておきましょう。
参照元:東京消防庁「<申請様式><基準の特例等適用申請書>」
なお可動式ブースの設置費用は、1台50万円〜100万円程度です。ただし可動式ブースの素材や大きさなどによって、本体価格が変動します。導入前に業者に見積もりを依頼して、可動式ブースの素材や大きさなどを検討しましょう。
オフィスに個室をレイアウトする際のポイント
個室の種類と工事費用だけではなく、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントも押さえましょう。6点(目的とコンセプト・開放感・空調や換気・面積や場所・法令遵守)を取り上げて、ご紹介します。
目的を明確にする
まず目的を明確にする点が、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントとして挙げられます。個室の種類によって、特徴が異なるからです。例えば情報漏洩の防止を目的とするなら、遮音性の高い完全個室が適しています。
一方で執務室内に集中スペースを確保する目的であれば、周りからの視線が気にならない半個室が合います。目的を明確にした上で、オフィスにレイアウトする個室の種類を検討しましょう。
法令を遵守する
次に法令を遵守する点も、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントです。建築基準法と消防法によって、オフィスの内装は制限されています。内装制限の目的は、火災予防や初期消火、安全な避難などです。
参照元:
ただしオフィスに対する内装制限の緩和策を講じることで、材料費を削減したり、デザインの自由度を高めたりできます。オフィスに対する内装制限の内容や緩和策などをまとめてありますので、次の記事を併せてご覧ください。
コンセプトに基づく
そしてコンセプトに基づく点も、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントです。オフィスデザインのコンセプトに基づくことで、同じ方向性やテイストに沿って個室をレイアウトできます。
一貫したコンセプトに基づいて統一感のあるオフィスをデザインできれば、オフィスのブランディングにもつながります。オフィスデザインのコンセプトを設計するコツや事例などをまとめてありますので、次の記事を併せてご覧ください。
面積や場所を計算する
それから面積や場所を計算する点も、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントです。設置する設備・機器・什器などに応じて、個室の面積は変動します。また個室の用途に従って、レイアウトする場所を決めましょう。
特に集中作業や会議などに使用される個室なら、人通りの多い場所(通路や出入口などの付近)を避けましょう。半個室は遮音性は低いですが、視認性が高いため、室外の人と適度にコミュニケーションを図ることができます。
開放感を演出する
さらに開放感を演出する点も、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントです。閉塞感を感じさせる個室では、従業員のモチベーションや生産性の低下を招く恐れがあります。従業員のモチベーションや生産性を保つためには、開放感の演出が必要です。
例えば執務室内に半個室をレイアウトする場合には、ガラス素材のパーテーションや窓を施工することで、開放感を演出できます。オフィスにデザインできる窓の種類と工事費用などをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
空調や換気の効率を高める
なお空調や換気の効率を高める点も、オフィスに個室をレイアウトする際のポイントです。
個室内に空調設備を施工することで、従業員の業務効率の向上やモチベーションのアップを期待できます。オフィスに空調設備をデザインするポイントや事例などをまとめてありますので、次の記事を併せてご覧ください。
また個室内に換気設備を設置することが、法的に定められています。居室の床面積に対して、20分の1以上の換気設備の確保が必要です。オフィスに換気設備をデザインするポイントや設備の種類・費用などをまとめてありますので、次の記事を併せてご覧ください。
オフィスにレイアウトされた個室の事例
オフィスに理想的な個室をレイアウトできるように、参考となる個室の事例を調査しましょう。事例5点(完全個室・半個室・可動式ブース)を取り上げて、各個室の特徴をご紹介します。
鍵付きで造作壁の完全個室
「H¹T新小岩」様は、東京都葛飾区新小岩にあるサテライト型のシェアオフィスです。集中して作業に取り組めるように、鍵付きで造作壁の完全個室がレイアウトされています。内装は白を基調に、グレーも配色されており、落ち着いた雰囲気が演出されています。
一方で、共有の休憩スペースには、ガラスのパーテーションが施工。木目やグリーンも配置されて、開放的なリラックスした空間も提供されています。
参照元:野村不動産のサテライト型シェアオフィス H¹「H¹T新小岩シェアオフィス」
各部屋の広さが異なる半個室
「いいオフィス南越谷」様は、埼玉県南越谷にあるコワーキングスペースです。幅広い用途に使用できるように、各部屋の広さが異なる半個室がレイアウトされています。内装は、温かみのある雰囲気を感じさせるように、木目を基調にしたデザインです。
またオフィスの中心には、シンボルツリーと彩色豊かなアートが配置。業務の合間にリフレッシュできる空間デザインです。
集中作業用の半個室
「アラームボックス株式会社」様は、東京都新宿区にあるリスク管理に特化したITサービスを開発されている企業です。オンラインの商談や会議を開催できるように、集中作業用の半個室がレイアウトされています。
半個室の内装は、木目を基調にデザインされて、グレーや黒も配色。利用状況を知らせるために、ドア横にはブラケットライトが設置されています。
プライバシーが配慮された半個室
「BIZcomfort目黒」様は、東京都目黒区にあるソロワーク型のコワーキングスペースです。プライバシーが配慮された半個室がレイアウトされており、24時間365日利用できます。半個室の間仕切りには木材が使用され、温かみを感じさせるデザインです。
5階には静かに作業できるワークブースが、6階にはWEB会議や通話可能なカフェブースがレイアウト。Wi-Fiやコンセント、モニター、フリードリンク、プリンター、ポスト、ロッカーなどが提供されています。
防音性のある可動式ブースの半個室
「ユナイトアンドグロウ株式会社」様は、コーポレートIT部門の業務支援事業を営む企業です。社内にいながらテレワークスタイルで働けるように、防音性のある可動式ブースの半個室がレイアウトされています。
半個室の扉はガラス素材であり、窓際に配置されているため、開放感があります。WEB会議や集中作業などに適した空間です。
参照元:ユナイトアンドグロウ総合採用サイト「テレワーク時代の本社増床|オフサイトセンターを開設しました!」
オフィスに個室をレイアウトしよう!
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