2024.08.20 2024.07.14ニュース
ファシリティマネジメントとは?重要性・メリット・資格・方法・注意点・事例
本記事で「ファシリティマネジメントとは?」という疑問にお答えするために、ファシリティマネジメントの重要性・メリット・資格・方法・注意点・事例をご紹介します。オフィスの開設や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
ファシリティマネジメントとは?基本情報を紹介
ファシリティマネジメントを進める前に、基本情報を確認しましょう。基本情報を確認することで、ファシリティマネジメントを進めやすいからです。それでは定義・対象、必要な理由、プロパティマネジメントとの違い、メリット・デメリットをご紹介します。
定義・対象
まずファシリティマネジメントの定義は、「企業・団体などが組織の保有・使用する施設と環境を総合的に企画・管理・活用する経営活動」です。人事やICT、財務と併せて、組織の経営を支えます。
ファシリティマネジメントの対象は、企業・団体などが保有・使用する「ファシリティ(Facility)」(土地や建物、構築物、設備などの固定資産)です。単なる固定資産の維持・管理だけではなく、経営戦略に基づいた最適化(売却や統合など)を目指します。
参照元:公益財団法人日本ファシリティマネジメント協会「ファシリティマネジメント(FM)とは」
必要な理由
次にファシリティマネジメントが必要な理由は、コスト削減や有効活用、経営の効率化、省エネなどです。企業・団体の経営においては、人材と固定資産のコストが大きな割合を占めますが、必ずしも有効に活用されていません。
固定資産の管理方法が不合理・不適切だと、企業・団体の経営を圧迫し、エネルギーの浪費を引き起こします。そこでファシリティマネジメントにより、固定資産のコスト削減や有効活用、経営の効率化、省エネなどを推進しなければなりません。
参照元:公益財団法人日本ファシリティマネジメント協会「FMの必要性」
プロパティマネジメントとの違い
それからファシリティマネジメントとプロパティマネジメントとの違いは、対象と目的です。ファシリティマネジメントの対象は固定資産全般(土地や建物、構築物、設備など)で、維持・管理だけではなく、最適化も目的です。
一方で、プロパティマネジメントの目的と対象は、「プロパティ(土地や建物などの財産)」の維持・管理です。一般的には、土地や建物などの所有者が、不動産業者や不動産管理業者にプロパティマネジメントを依頼します。
メリット・デメリット
そしてファシリティマネジメントのメリットは、従業員のモチベーションアップや生産性の向上、社会貢献などです。施設や設備などが最適化されると、働きやすい職場環境が整備されたり、省エネ・廃棄物削減などを推進したりできます。
しかし複雑な業務や専門的な知識の習得などは、ファシリティマネジメントのデメリットです。企業・団体などの組織が大きいほど、ファシリティマネジメントの業務は複雑になり、専門的な知識の習得が求められます。
ファシリティマネジメントを進める方法
基本情報を踏まえて、ファシリティマネジメントを進める方法を確認しましょう。4点(戦略の立案からプロジェクトの遂行、評価、改善まで)に整理してご紹介します。
戦略の立案
まずファシリティマネジメントを進める方法として、戦略を立案しましょう。企業・団体の保有・使用する固定資産(土地や建物、構築物、設備など)を整理したうえで、ファシリティマネジメントの方針や目標、課題を定めます。
例えば事業の縮小に伴い使用していない建物や設備がある場合には、別用途への活用や売却などが課題です。企業・団体の経営方針や予算に基づいて、固定資産の維持・管理の方針も定めましょう。
プロジェクトの遂行
次に立案した戦略に基づいて、プロジェクトをします。今後も保有・使用する固定資産(土地や建物、構築物、設備など)の維持・管理を進めながら、保有・使用しない固定資産の統合や売却を進めてください。
固定資産の維持・管理や統合・売却を進める際には、企業の従業員や団体の職員だけではなく、外部の企業にも業務を依頼しなくてはなりません。固定資産の修繕やメンテナンス、売却などの目的や条件などを明確に伝えましょう。
プロジェクトの評価
続いて遂行しているプロジェクトを評価しなくてはなりません。利用者の満足度や維持・管理コストなどのデータを収集・分析して、ファシリティマネジメントの戦略(ファシリティマネジメントの方針や目標、課題)を評価します。
例えば企業のオフィスビルを評価する際には、従業員に対するアンケート調査や維持・管理費の計算などによりデータを収集して、立地や建物の機能性とデザイン性、働きやすさ、賃料などの項目を分析します。
プロジェクトの改善
そして評価に基づいて、プロジェクトの改善を行ってください。プロジェクトの評価に基づいて、固定資産ごとに維持・管理や統合・売却などを判断します。社会情勢や業績、事業展開などの変化に応じて、ファシリティマネジメントの戦略を立て直しましょう。
そしてファシリティマネジメント戦略の立案からプロジェクトの遂行と評価・改善までの流れを繰り返しながら、目的(コスト削減や有効活用、経営の効率化、省エネなど)を達成しましょう。
ファシリティマネジメントの注意点
ファシリティマネジメントを進める方法だけではなく、注意点(資格の取得と健康経営、コミュニケーションの活性化、多様な働き方への対応、ライフサイクルコストの計算、オフィスの移転、リフォーム・リニューアル・リノベーション)も確認しましょう。
資格(知識・スキル)の取得
まず資格(知識・スキル)の取得が、ファシリティマネジメントの注意点として挙げられます。資格を取得することで、ファシリティマネジメントの知識・スキルを習得できるからです。
- マネジメントスキル
- コミュニケーションスキル
- テクニカルスキル
- リーダーシップ
- 認定ファシリティマネジャー
- 不動産証券化協会認定マスター
- 建築物環境衛生管理技術者
参照元:
公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会「認定ファシリティマネジャー(CFMJ) 概要」
公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター「建築物環境衛生管理技術者講習会」
ただし企業の従業員や団体の職員に資格を取得させる代わりに、外部の有資格者にサポートを依頼する方法もあります。
健康経営
次に健康経営も、ファシリティマネジメントの注意点です。従業員の健康状態は企業や団体の業績に影響するため、健康経営が求められています。健康経営の目標達成という観点からも、ファシリティマネジメントの方法を検討しましょう。
健康経営を推進するためには、オフィスの快適性や休憩・気分転換、運動などがポイントです。他にも健康経営オフィスを実現させるためのポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
コミュニケーションの活性化
それからコミュニケーションの活性化も、ファシリティマネジメントの注意点です。業務内容への柔軟な対応やコスト削減、従業員同士の意思疎通などを進めるために、コミュニケーションを活性化させましょう。
コミュニケーションを活性化させる内装デザインには、フリーアドレスやリフレッシュスペースなどがあります。オフィスのコミュニケーションを活性化させる内装デザインをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
多様な働き方への対応
続いて多様な働き方への対応も、ファシリティマネジメントの注意点です。働き方改革や優秀な人材の確保などのために、企業・団体などの組織には多様な働き方への対応が求められています。
そこでサテライトオフィスやコワーキングスペース、シェアオフィスなどのフレキシブルオフィスを検討しましょう。フレキシブルオフィスをデザインする際の注意点をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ライフサイクルコスト(LCC)の計算
またライフサイクルコスト(LCC)の計算も、ファシリティマネジメントの注意点です。ライフサイクルコスト(LCC)は、固定資産(土地や建物、構築物、設備など)の設計・施工から維持・管理、解体・廃棄までに要する費用です。
ライフサイクルコスト(LCC)は初期費用と運転資金に分けられ、維持・管理の期間が長くなるほど運転資金の総額が増えていきます。ライフサイクルコスト(LCC)を計算したうえで、固定資産の保有・使用を検討しましょう。
参照元:一般社団法人日本電設工業協会「ライフサイクルコスト(LCC)の低減」
オフィスの移転
さらにオフィスの移転も、ファシリティマネジメントの注意点です。生産性の向上やブランディング、人材採用の強化、業績の回復などを目指す際には、オフィスの移転を検討しましょう。
ただし適切な方法を取らなければ、オフィスの移転に失敗してしまうリスクがありますので、注意しなければなりません。オフィス移転に失敗する原因と対策をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスのリフォーム・リニューアル・リノベーション
そしてオフィスのリノベーション・リフォーム・リニューアルも、ファシリティマネジメントの注意点です。
- リフォーム :内装空間の部分的な改修や修繕
- リニューアル :内装空間の全面的な改修や修繕
- リノベーション:フロアの用途・レイアウトの変更
以上の違いを踏まえたうえで、保有しているオフィスビルや賃借しているオフィス物件などの用途や状態に応じて、リフォーム・リニューアル・リノベーションを検討しましょう。
ファシリティマネジメントの参考事例
注意点に気をつけてファシリティマネジメントを進められるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点を取り上げて、各事例の特徴(多様な働き方への対応と従業員のモチベーション、専門部署、健康経営、リノベーション)をご紹介します。
多様な働き方に対応するファシリティマネジメント
まず「NTT西日本」では、多様な働き方に対応するために、ファシリティマネジメントが推進されました。リモートと対面によるハイブリッドワークを実現させるオフィスビルへの移転プロジェクトです。
多様な働き方に対応できるように、オフィスビル内には集中ブースやミーティングスペース、図書スペースなどがレイアウトされています。多様な働き方への対応と併せて、通信設備の安全性や固定資産の有効活用も進められたファシリティマネジメント事例です。
参照元:
NTTファシリティーズ「第18回日本ファシリティマネジメント大賞(JFMA賞)優秀ファシリティマネジメント賞の受賞について」
日本ファシリティマネジメント協会「JFMA賞 受賞結果(過去の受賞者)」
従業員のモチベーションを高めるファシリティマネジメント
次に「日建設計コンストラクション・マネジメント株式会社」では、従業員のモチベーションを高めるために、ファシリティマネジメントが推進されました。他拠点にも新しいワークスタイルを拡張するためのパイロットプロジェクトです。
「いきたくなるオフィス」をコンセプトに、ワークスペースやコラボスペース、ロッカールーム、ゲストルームなどがレイアウトされています。コミュニティ形成マネージャーやワークライフサポートのコンシェルジュが配置されたファシリティマネジメント事例です。
参照元:日本ファシリティマネジメント協会「JFMA賞 受賞結果(過去の受賞者)」
専門部署によるファシリティマネジメント
それから「東京都墨田区」には、ファシリティマネジメントの専門部署が配置されています。固定資産の維持管理費適正化や民間活力活用、長寿命化、圧縮、再編などを推進する部署です。
例えば固定資産の維持管理費を適正化するために、点検や長期修繕計画、コスト計算書の公表、省エネルギー化などを進めています。PDCAサイクルを確立しているファシリティマネジメント事例です。
参照元:日本ファシリティマネジメント協会「JFMA賞 受賞結果(過去の受賞者)」
健康経営を重視するファシリティマネジメント
続いて「株式会社近藤商会」では、健康経営を重視するファシリティマネジメントが推進されています。従業員の健康と幸福を実現させることで、企業の業績アップを目指す取り組みです。
具体的な取り組みとして、身体の負担を軽減するデスクチェアやリフレッシュスペース、リカバリールーム、ミーティングスペースなどが導入されました。テレワークやABW、高セキュリティ環境構築も推進しているファシリティマネジメント事例です。
参照元:日本ファシリティマネジメント協会「JFMA賞 受賞結果(過去の受賞者)」
リノベーションによるファシリティマネジメント
そして「株式会社ビルmo」は、所有者と共同でファシリティマネジメントを推進して、オフィスビルをリノベーションしました。オフィスビルの長寿命化やサステナビリティ・ウェルビーイングを目指す取り組みです。
地域にとって付加価値のあるオフィスビルとなるように、LEED認証とWELL認証が取得されています。所有者と持続的な運用体制を築けるように、株式会社ビルmoがテナントとして入居しているファシリティマネジメント事例です。
参照元:日本ファシリティマネジメント協会「JFMA賞 受賞結果(過去の受賞者)」
ファシリティマネジメントを進めよう!
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