2024.01.01 2023.12.04オフィス経営
オフィスのレイアウトに対する消防法の規定とは?通路幅・火災報知器・個室ブース・パーテーション
本記事で、オフィスのレイアウトに対する消防法の規定を解説します。通路幅・火災報知器・個室ブース・パーテーションについてもご紹介します。店舗の開業や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
オフィスのレイアウトに対する消防法の規定とは?
オフィスのレイアウトに対する消防法の規定とは、どういった内容でしょうか?そこで本記事では、6点(内装制限・防火管理者・通路幅・個室ブース・防炎物品・罰則)に整理してご紹介します。
内装制限
まずオフィスに対する内装制限について、消防法に規定されています。消防法により、防火対象物(火災予防行政の対象となる建築物など)の用途が区分されており、火災予防や初期消火、安全な避難などのために建築物の構造や設備などが制限されています。
参照元:
ただし建築基準法によっても、火災初期における避難経路の確保を意図して、建築物に対する内装制限が定められています。オフィスに対する内装制限についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防火管理者の選任
次にオフィスに対する防火管理者の選任も、消防法に規定されています。オフィスの防火管理者とは、オフィスビル火災の予防と火災時の避難に必要な業務を統括する役職です。消防計画の作成や消防計画に基づく消火・通報・避難訓練の実施などを管理します。
防火対象物の収容人数と用途によって、防火管理者の選任が求められますが、資格が必要です。防火管理者の選任基準や資格の取得方法などについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
避難経路の確保
またオフィスの避難経路の確保も、消防法に規定されています。防火対象物においては、廊下や階段、避難口、防火戸などに、避難の妨げとなる物を放置してはなりません。防火管理者による適切な対応が必要です。
また建築基準法や労働安全衛生法によっても、安全な廊下の幅が定められています。関係法令を遵守して廊下や階段、避難口などをレイアウトしましょう。オフィスの廊下に対する法規制をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
個室ブース
そしてオフィスにレイアウトされる個室ブースも、消防法に規定されています。消防法には、防火対象物に設置すべき消防用設備(消火設備・警報設備・避難設備)が定められています。
ただし個室ブース(可動式ブース)に対しては、一定の条件を満たすことで消防設備の設置が免除されます。
参照元:
総務省消防庁「可動式ブースに係る消防用設備等の取扱いについて(通知)」
オフィスに個室をレイアウトする際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防炎物品
続いてオフィスに配置される防炎物品も、消防法に規定されています。消防法と政令により、防火対象物(高層建築物や地下街、不特定多数の人が出入りする建築物など)に対して、防炎物品の使用が義務づけられています。
参照元:JFRA日本防炎協会「防炎物品の種類と防炎規制の対象となる防火対象物」
また防炎物品の販売には、消防法に基づいて、防炎表示(防炎性能基準を満たす防炎ラベル)が必要です。防炎物品の種類には、カーテンやどん帳、ブラインド、合板、じゅうたんなどがあります。
罰則
なお消防法の規定を遵守しないオフィスに対しては、罰則(罰金刑や懲役刑など)が科されます。命令違反を問われて、防火対象物の使用停止を命令されると、オフィスの事業を継続できません。
例えば防火管理者や消防点検に関する違反に対しては、罰金刑や拘留刑が科されます。防火対象物に対する措置命令の違反には、罰金刑や懲役刑が科されます。各種手続きについて不明点がある際には、オフィスの所在地を管轄する消防署に相談しましょう。
参照元:違反是正支援センター「消防法の命令違反概要・罰則規定一覧」
オフィスの開設・改装・移転に必要な消防法に基づく届出
消防法の規定を踏まえたうえで、オフィスの開設・改装・移転に必要な消防法に基づく届出を確認しましょう。5点(防火対象物等計画届出書・防火対象物使用開始届出書・防火管理者選任届出書・消防用設備等設置届出書・火を使用する設備等の設置届出書)を取り上げます。
防火対象物工事等計画届出書
まず「防火対象物工事等計画届出書」は、防火対象物に対して、建築基準法に基づく建築確認が必要ではない工事(改修や用途変更など)を計画する際の消防法に基づく届出です。例えばオフィス物件に対するパーテーションの施工が当てはまります。
防火対象物工事等計画届出書の提出方法は、防火対象物を管轄する消防署の窓口で、添付書類(防火対象物の概要表や図面など)が必要です。事前に消防署に相談したうえで、工事開始7日前までに必要書類を提出しましょう。
なおオフィス内装工事の費用相場をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防火対象物使用開始届出書
次に「防火対象物使用開始届出書」は、防火対象物の使用開始を管轄する消防署へ知らせるための消防法に基づく届出です。消防署に届け出ると、オフィス物件内の安全性が実地検査されて、検査結果通知書が発行されます。
防火対象物使用開始届出書の提出方法は電子申請と窓口、郵送で、添付書類(防火対象物の概要表や図面など)が必要です。防火対象物の使用開始7日前までに必要書類を提出して、管轄の消防署と実地検査の日程を調整しましょう。
参照元:東京消防庁「<申請様式><防火対象物使用開始届出書>」
なおオフィス物件の探し方をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防火管理者選任届出書
次に「防火管理者選任届出書」は、防火管理者の選任が求められるオフィスが提出しなくてはならない消防法に基づく届出です。消防法により防火管理義務対象物が定められており、防火管理者資格を有する者を選任しなければなりません。
防火管理者選任届出書の提出方法は電子申請と窓口、郵送で、添付書類(防火管理講習修了省や消防計画書など)が必要です。提出期限は定められていませんが、防火管理者資格を取得したら、速やかに提出しましょう。
参照元:東京消防庁「<申請様式><防火・防災管理者選任(解任)届出書 / 消防計画作成(変更)届出書 >」
消防用設備等設置届出書
次に「消防用設備等設置届出書」は、オフィス物件内に消防用設備を設置する際に提出しなくてはならない消防法に基づく届出です。管轄する消防署に届け出ると、オフィス物件内に設置された消防用設備の安全性が実地検査されます。
消防用設備等設置届出書の提出方法は電子申請と窓口、郵送で、添付書類(防火対象物の概要表や図面など)が必要です。消防用設備設置から4日以内に必要書類を提出して、管轄の消防署と実地検査の日程を調整しましょう。
参照元:「東京消防庁<申請様式><消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書(法第17条の3の2)>」
なおオフィスに設備を導入する手順をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
火を使用する設備等の設置届出書
次に「火を使用する設備等の設置届出書」は、火を使用する設備が設置されるオフィス物件が提出しなくてはならない消防法に基づく届出です。例えば一定規模以上のコンロや給湯設備などが当てはまります。
火を使用する設備などの設置届出書の提出方法は電子申請と窓口、郵送で、添付書類(防火対象物の概要表や図面など)が必要です。火を使用する設備を設置する7日前までに必要書類を提出して、管轄の消防署と実地検査の日程を調整しましょう。
参照元:東京消防庁「<申請様式><火を使用する設備等の設置(変更)届出書>」
オフィスに必要な消防用設備
オフィスに必要な消防用設備は、消防法に基づいて3種類(消火設備・警報設備・避難設備)に分類されます。種類ごとに設置の目的や基準などが異なりますので、確認しましょう。
消火設備
まず消火設備は、オフィスの火災発生時に火を消すために必要な消防用設備です。消火設備は、オフィスの火災時に、消防隊が到着するまで火災の広がりを抑えます。設置基準を満たすオフィス物件には、消火設備の設置が求められます。
具体的な消火設備をリストにまとめましたので、オフィス物件に必要な設備を確認しましょう。
- 消火器具屋内
- 消火栓
- スプリンクラー
- 水噴霧消火設備
- 泡消火設備
- 不活性ガス消火設備
- ハロゲン化物消火設備
- 粉末消火設備
- 屋外消火栓
- 動力消防ポンプ
参照元:
一般社団法人 日本消火装置工業会「はじめに | 消火設備とは」
警報設備
次に警報設備は、オフィス内の火災発生を知らせるために必要な消防用設備です。警報設備は、オフィス物件内の火災発生を感知して、オフィス内の従業員だけではなく、消防署や近隣住民らにも報知します。
設置基準を満たすオフィス物件には、警報設備の設置が求められます。具体的な警報設備をリストにまとめましたので、オフィス物件に必要な設備を確認しましょう。
- 自動火災報知設備
- ガス漏れ火災警報設備
- 漏電火災警報器
- 消防機関へ通報する火災報知設備
- 非常警報器具・非常警報設備
参照元:
避難設備
また避難設備とは、火災時にオフィス内から安全に避難するために必要な消防用設備です。設置基準を満たすオフィス物件内には、避難設備の設置が求められます。
具体的な避難設備をリストにまとめましたので、オフィス物件に必要な設備を確認しましょう。
- 避難器具(避難はしごや滑り台、救助袋、緩降機など)
- 誘導灯・誘導標識
参照元:
オフィス開設・改装・移転後の消防点検
オフィスの開設・改装・移転後には、消防法(消防用設備等点検報告制度)に基づいて、消防点検(防火対象物と消防用設備の点検)が必要です。そこで消防点検の対象と種類、頻度、資格、報告、不備の改修について解説します。
対象
まず消防点検の対象は、全ての防火対象物と消防用設備です。防火対象物には、不特定多数の人が集まる建築物や火を扱う建築物、火災時の消火活動が困難な建築物などが、消防用設備には消火設備と警報設備、避難設備が含まれます。
参照元:消防庁「[防火対象物] 参考1-1」(2~3ページ)
防火対象物に該当するオフィス物件においては、消防点検に違反して罰則を受けないように、設置されている消防用設備の種類と数を把握しなければなりません。
種類
次に消防点検は、2種類(機器点検と総合点検)に分類されます。
- 機器点検:目視と簡易な操作によって消防用設備を確認
- 総合点検:消防用設備を実際に作動させて、総合的な機能性を確認
ただしオフィス物件に設置される消防用設備の種類によって、点検の基準や方法が異なります。損傷や誤作動が発見された設備には、対応が必要です。
参照元:
東京消防庁「<安全・安心情報><事業所向けアドバイス><消防用設備等点検報告制度>」
頻度
また消防点検の頻度は、機器点検(6ヶ月に1回)と総合点検(1年に1回)とで異なります。オフィス内に設置された全ての消防用設備が対象です。違反すると罰則が科されますので、ご注意ください。
参照元:
なお維持台帳に、消防用設備等設置届出書や消防用設備等検査済証、消防用設備等点検結果報告書などを編冊して、消防点検の結果を記録しなければなりません。記録の不備がないように気をつけましょう。
参照元:甲府地区広域行政事務組合消防本部「維持台帳 の整備が必要です」
資格
それから消防点検の資格には、消防設備士や消防設備点検有資格者があります。用途や規模などの条件に当てはまる防火対象物に対しては、資格保有者による消防点検が必要です。
上記以外の防火対象物に対しては、オフィス物件の防火管理者などによる消防点検が可能です。ただし資格保有者による点検が推奨されています。
参照元:
報告
そして消防点検後には、消防長または消防署長に対する報告(特定防火対象物は1年に1回、他の防火対象物は3年に1回)をしなければなりません。オフィス物件に対する消防点検結果を報告する前に、実施状況や報告書の記載内容を確認しましょう。
なお消防点検の報告義務に違反すると罰則を科されます。法令違反を問われないように、消防点検の実施を確実に記録したうえで、報告を怠らないようにご注意ください。
参照元:
不備の改修
なお消防点検時に消防用設備の不備を指摘されたら、速やかに改修しなければなりません。消防用設備が正常に作動しないと、オフィス物件内の火災時に被害が拡大してしまうからです。
そこで消防点検時に消防用設備の不備を指摘された場合には、報告する消防署に対して、「消防用設備等点検報告改修計画書」を窓口や郵送で提出しなければなりません。設備の不備を改修できたら、報告書を提出します。
参照元:
東京消防庁「<安全・安心情報><事業所向けアドバイス><消防用設備等点検報告制度>」
なおオフィスのリフォーム費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
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