2024.04.10オフィスデザイン
オフィスの動線とは?設計する際のコツ・幅や寸法・参考事例を紹介
本記事で、「オフィスの動線とは?」という疑問にお答えするために、オフィスの動線を設計する際のコツ・幅や寸法・参考事例をご紹介します。オフィスの開設や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
オフィスの動線とは?基本情報を紹介
そもそもオフィスの動線とは、何を意味しているのでしょうか?そこでオフィスの動線に関する基本情報(定義や重要な理由、条件、流れ)をご紹介します。基本情報を押さえたうえで、オフィスの動線を設計しましょう。
定義
まずオフィスの動線の定義は、オフィス内の従業員や来訪者が移動する経路をつないだ線です。オフィスデザインにおいては、エントランスからワークスペースまでの動線やデスクからコピー機までの動線などを検討します。
基本的には、目的地までの経路が最短になるようにオフィスの動線を設計します。ただし従業員だけではなく、訪問者の利便性も考えなければなりません。さまざまな人が利用しやすいオフィスの動線を設計するためには、ユニバーサルデザインやバリアフリーを考慮しましょう。
重要な理由
次にオフィスの動線が重要な理由は、業務効率やコミュニケーション活性化などに影響するからです。分かりやすい動線が設計されていると、オフィス内で仕事がしやすくなるので、業務効率の向上が期待されます。
また従業員の動線上に共有スペースをレイアウトしたり、部署間をアクセスしやすい動線を設計したりすれば、コミュニケーション活性化につながります。コミュニケーションが活性化されることで、生産性の向上が期待されます。
条件
それからオフィスの動線の条件は、移動のしやすさや設備・機器・什器の使いやすさ、安全性の高さなどです。目的地まで最短距離で移動できる動線や設備・機器・什器にアクセスしやすい動線を設計すれば、オフィス内で従業員がストレスを感じることなく働けます。
またオフィス内を従業員や来訪者が移動している間に事故(衝突や転倒など)が発生しないように、安全性の高い動線を設計しましょう。オフィスの動線を設計する際の注意点について、後ほどご紹介します。
流れ
そしてオフィスの動線を設計する流れも押さえましょう。
- オフィスフロアをゾーニングする
- 動線を設計する
- 各ゾーンをレイアウトする
ゾーニングとは、オフィスフロアに必要なゾーン(執務室や会議室など)を区画する作業です。各ゾーンを安全に効率的に移動しやすい動線を設計しましょう。オフィスをレイアウトするポイントを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスの動線を設計する際の注意点
基本情報を押さえたうえで、オフィスの動線を設計する際の注意点もご紹介します。本記事では、8点(動線の区別と設備・機器・什器、デッドスペース、コミュニケーション、避難経路、ソーシャルディスタンス、エントランス、設計後の見直し)を取り上げます。
動線の区別
まず動線の区別が、オフィスの動線を設計する際の注意点として挙げられます。メインとサブの動線を区別しましょう。メインの動線とは、エントランスから各部屋までつながる直線的な経路です。通行量が多いため、幅を広く取りましょう。
サブの動線は、メインの動線が混雑している際に利用される抜け道や回り道となる経路です。メインの動線と重ならないように設計してください。なるべくシンプルにメインとサブの動線を設計しましょう。
設備・機器・什器の配置
次に設備・機器・什器の配置も、オフィスの動線を設計する際の注意点です。設備・機器・什器の用途や台数に合わせて、従業員が使いやすい場所に配置しましょう。安全で効率的な配置なら、従業員のストレス軽減につながります。
例えば使用頻度の高い設備・機器・什器(コピー機や収納棚など)なら、ワークスペース内の動線上に配置します。オフィスで利用される什器の種類について紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
デッドスペース
またデッドスペースも、オフィスの動線を設計する際の注意点です。デッドスペースとは、ほとんど使用されないスペースや行き止まりなどです。デッドスペースは無駄な迂回や往復を発生させるため、効率の悪い動線になってしまいます。
そこでデッドスペースを作らないために、回遊性を意識して動線を設計しましょう。サブの動線をメインの動線につなげることで、通り抜けや回り道が可能です。動線をつなげることで、デッドスペースをミーティングやリフレッシュなどのスペースとして活用できます。
コミュニケーションの活性化
続いてコミュニケーションの活性化も、オフィスの動線を設計する際の注意点です。コミュニケーションが活性化して、新しい発想が生まれたり、情報伝達がスムーズになったりすれば、生産性や業務効率の向上が期待できます。
例えばジグザグや放射状にデスクが配置された動線を設計すれば、オフィス内の回遊性が高まるため、コミュニケーションを活性化しやすいです。オフィスのコミュニケーションを活性化させる内装デザインをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
避難経路
それから避難経路も、オフィスの動線を設計する際の注意点です。火災や地震などの災害に備えて、オフィス内を安全に避難できる経路が必要です。避難経路上には、危険なスペースや設備・機器を配置しないでください。
災害時には、ガラス窓やガラス扉の収納棚からガラスが散乱する恐れがあります。したがって避難経路上からガラス素材の内装や設備・機器・什器を遠ざけましょう。オフィスの廊下をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
ソーシャルディスタンス
そしてソーシャルディスタンスも、オフィスの動線を設計する際の注意点です。ソーシャルディスタンスは、感染症対策として有効です。人混みを作らないように、ゆとりのある動線を設計しましょう。
例えばメインの動線上に通行量が集中する恐れがある場合には、サブの動線を多く入れて人の流れを分散できます。ウィズコロナ時代のオフィスデザインのトレンドを紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
エントランスの位置
さらにエントランスの位置も、オフィスの動線を設計する際の注意点です。人の出入りが多いエントランスでは、従業員や来訪者がスムーズに通行しづらくなります。エントランスの位置を検討しましょう。
そこでオフィスフロアの各ゾーンの位置関係を考慮したうえで、エントランスの位置を決めましょう。エントランス・受付をデザインするときのポイントを詳しく紹介していますので、次の記事も併せてご覧ください。
設計後の見直し
なお設計後の見直しも、オフィスの動線を設計する際の注意点です。注意しながら設計したつもりでも、思わぬデッドスペースや余分な動線が生まれている恐れがあります。設計後の見直しを行いましょう。
デッドスペースや余分な動線を確認するためには、オフィスの利用者(従業員や来訪者など)ごとに動線を見直しましょう。第三者(オフィスデザインの専門家など)の意見を取り入れることも、設計の見直しに役立ちます。
オフィスの動線設計に必要な幅や寸法
注意点に気をつけるだけでなく、オフィスの動線設計に必要な幅や寸法も確認しましょう。本記事では、5点(通路の幅と執務室の座席、会議室の座席、応接室の座席、設備・機器・什器)をご紹介します。
通路
まず通路の幅が、オフィスの動線設計に必要です。日本国内の一般的なオフィスにおいては、一方通行の通路の幅には60cm以上が、2人がすれ違う通路の幅には120cm程以上が必要です。なぜなら成人した日本人男性の肩幅は、平均45.6cmだからです。
参照元:東洋経済オンライン「電車の座席が窮屈な理由は「肩幅」にあった 現状では平均的な男性でギリギリのサイズ」
なお建築基準法の定める廊下の幅は1.6m以上で、労働安全衛生法の定める廊下の幅は80㎝以上です。建築基準法や労働安全衛生法の定める通路の幅についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
執務室の座席
次に執務室の座席の幅や寸法も、オフィスの動線設計に必要です。執務室の座席のレイアウトによって、必要な幅や寸法は異なります。基本的には、座席を利用する人と座席の周りを通行する人を考慮してください。
- 対向型:デスクと壁の間に160㎝以上の幅
- 同向型:デスクの前後に90㎝以上の幅
- 背面型:デスクの後ろに160㎝以上の幅
オフィスにおける執務室の座席レイアウトをまとめてありますので、次の記事も合わせてご覧ください。
会議室の座席
また会議室の座席の幅や寸法も、オフィスの動線設計に必要です。会議室の座席配置によって、必要な幅や寸法は異なります。座席を利用する人と座席の周りを通行する人を考慮してください。
- 対面型 :テーブルと壁の間に120㎝以上の幅
- 島型 :島同士の間に120㎝以上の幅
- コの字型 :テーブルと壁の間に120㎝以上の幅
- ロの字型 :テーブルと壁の間に120㎝以上の幅
- 同一方向型:デスクの前後に90㎝以上の幅
- シアター型:イスの前後に90㎝以上の幅
オフィス会議室の座席配置をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
応接室の座席
そして応接室の座席の幅や寸法も、オフィスの動線設計に必要です。応接室に配置される設備・機器・什器によって、必要な幅や寸法は異なります。来訪者の人数やお茶を出す動線などを考慮しましょう。
- テーブルとソファの間に30~50cm程度の幅
- ソファの左右に100㎝以上の幅
オフィスの応接室にデザインすべき設備・機器・什器をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
設備・機器・什器
そして設備・機器・什器の幅も、オフィスの動線設計に必要です。オフィスに配置される設備・機器・什器の種類や台数などによって、必要な幅や寸法は異なります。基本的には、設備・機器・什器の利用者と周りを通行する人を考慮してください。
- 置き型エアコンや空気清浄機の前後左右に100㎝前後の幅
- OA機器の前後左右に150cm前後の幅
- ソファの前後左右に100㎝前後の幅
オフィスに導入される設備の種類と工事費用をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスの動線設計の参考事例
幅や寸法に気をつけながらオフィスの動線を設計できるように、参考事例を調査しましょう。本記事では事例5点を取り上げて、各事例の特徴(コミュニケーションとグラフィックペイント、パーテーション、色による区別、放射状の設計)をご紹介します。
コミュニケーションを活性化させるデスク配置
まず「株式会社アクセル」様のオフィスでは、コミュニケーションを活性化させるデスク配置で、動線が設計されています。ブーメランデスクが採用されて、座席がジグザグに配置されています。
また座席の間や収納什器の前を通行しやすいように、通路の幅が確保されています。コミュニケーション活性化だけではなく、従業員が働きやすいように設計された動線です。採用活動で魅力をアピールできるように、オフィスがデザインされています。
フロアを案内するグラフィックペイント
次に「いいオフィス豊見城 by iiO」様のオフィスでは、フロアを案内するグラフィックペイントを取り入れて、動線が設計。エントランスから各ゾーン(ミーティングルームやワーキングスペース、トイレなど)までに、色分けされたラインが引かれています。
また約140坪の広々としたオフィスフロアを活かして、ゆとりのある通路幅が確保されています。一人用デスクの周りや会議室のデスク周りに広い通路が確保された動線設計です。
パーテーションとして活用された什器
それから「株式会社ローカル」様のオフィスでは、什器がパーテーションとして活用されて、動線が設計。デスク横に配置された個人用ロッカーが、パーテーションとしてデスクの島を区画しています。
パーテーションとしてだけではなく、個人用ロッカーの天板は、スタンディングデスクとしても機能します。デスクの従業員と簡単な打ち合わせが可能です。そして詳細なミーティングをできるように、執務室内にボックス席もレイアウトされています。
色で区別された床
そして「ナレッジスイート株式会社」様のオフィスでは、床が色で区別されて、動線が設計。メインの動線には白いタイルが施工されて、サブの動線には木目のブラウンやカーペットのグレーなどが配置されています。
廊下の壁やドアがガラス張りにデザインされているため、開放的な雰囲気です。「魅せるオフィス」をコンセプトに、求職者に会社の魅力や社風が伝わるオフィスを目指してデザインされました。
放射状に設計された動線
「株式会社 Payke」様のオフィスでは、エントランスからミーティングルームまでの動線が放射状に設計されています。エントランスからオフィスフロア全体を見渡せるため、明るくオープンな動線設計です。
またフリースペースにはバーカウンターやダーツスペース、売店、ひな壇、ソファ席がレイアウト。休憩やイベント、ミーティングなどの多目的に活用できるフリースペースのデザインです。
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