2024.05.10 2024.06.11オフィスデザイン
スタンディングワークとは?効果・メリット・内装・設備・機器・什器・ポイント・事例
本記事で「スタンディングワークとは?」という疑問にお応えするために、スタンディングワークの効果やメリット、適した内装・設備・機器・什器、ポイント、参考事例をご紹介します。オフィスの開設や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
スタンディングワークの基本情報
そもそもスタンディングワークとは、どのような働き方なのでしょうか?そこでスタンディングワークの基本情報(定義と効果、メリット、デメリット)をご紹介します。スタンディングワークを取り入れるために、基本情報を押さえましょう。
定義
まずスタンディングワークの定義は、立位の姿勢で作業する働き方です。厚生労働省は、座っている時間が長すぎると病気のリスクが増えて、健康に悪影響を及ぼす恐れがあると発表しています。
参照元:厚生労働省「座位行動」
そこで座る時間が多いオフィスに、スタンディングワークを取り入れることで、従業員の健康を守ることにつながります。スタンディングワークに適した設備・機器・什器について、後ほどご紹介します。
効果
次にスタンディングワークの効果は、疲労やストレス、眠気などの軽減です。以下の調査によると、座位と立位を交互に転換させながら働くことによる下半身のむくみ軽減が報告されています。
参照元:労働科学「高さ可変デスクを使用したデスクワークへの立位姿勢の導入が身体違和感,疲労,下腿周径に及ぼす影響」(11ー12ページ)
つまりスタンディングワークの導入は、健康経営オフィス(従業員の健康管理に戦略的に取り組むオフィス)の実現につながります。健康経営オフィスを実現させるためのポイントについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メリット
それからスタンディングワークのメリットは、生産性の向上やコミュニケーションの活性化などです。スタンディングワークで疲労やストレス、眠気などが軽減されることで、業務効率が上がるため、生産性の向上につながります。
またスタンディングワークにより目線が高くなるため、近くを通りかかった従業員と目が合う機会が増えます。座っている姿勢よりも話しやすくなり、コミュニケーションの活性化につながります。
デメリット
しかし身体的な負担や導入コストなどは、スタンディングワークのデメリットです。立位の姿勢は座位よりも負担が大きいので、長時間のスタンディングワークを避けましょう。
またスタンディングワークを取り入れるためには、立位の姿勢に合うデスクを購入しなければなりません。特に天板の高さを調節できる昇降型デスクは、一般的なデスクよりも高額です。
スタンディングワークに適した設備・機器・什器
基本情報だけではなく、スタンディングワークに適した設備・機器・什器も押さえましょう。本記事では、設備・機器・什器4点(照明器具とデスク、チェア、カウンター)をご紹介します。
照明器具
まずスタンディングワークに適した機器として、照明器具が挙げられます。スタンディングワークをする従業員の身長に応じて目線が変わるため、シーリングライトやダウンライトで室内全体を照らしましょう。また照明の色味を昼白色にすると、集中力を保ちやすいです。
ただしオフィスデザインのコンセプトや業務内容などによって、適した照明の色味や明るさは異なります。オフィスにおしゃれで機能的な照明をデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
デスク
次にデスクは、スタンディングワークに適した什器です。スタンディングワークに適したデスクは、以下の3種類に分類されます。
- スタンディングデスク:天板が立位の姿勢に合う高さに固定されている。
- 昇降型デスク :天板の高さを調節できる。
- 卓上デスク :座位用デスクの上に置いて高さを調節できる。
なお配線用の穴やキャスターなどが付いているデスクもあります。オフィスの広さや業務内容などに応じて、適したデスクを選びましょう。
チェア
それからチェアも、スタンディングワークに適した什器です。立位姿勢を長時間続けると疲労が溜まってしまうため、スタンディングワークの合間に座るためのチェアを用意しましょう。
スタンディングワークのデスクには、立位の姿勢から軽く腰を下げるだけで座れるスタンディングチェアが合います。自由に座面の高さを調節できる昇降型やフットレストが付いたチェアなども適しています。
カウンター
そしてカウンターも、スタンディングワークに適した什器です。スタンディングワークには、立位の姿勢に合うハイカウンター(100cm前後の高さ)が合います。利用者の平均的な身長に、カウンターの高さを合わせましょう。
また業務内容や利用者数、設置場所などによって、適したカウンターの形も異なります。集中作業にはI字型のカウンターを、コミュニケーションにはL字型やコの字型のカウンターを選びましょう。オフィスにレイアウトされるカウンターの種類をまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
スタンディングワークを取り入れる際のポイント
スタンディングワークに適した設備・機器・什器だけでなく、取り入れる際のポイントも確認しましょう。本記事では,8点(時間と場所、姿勢、ワークスタイル、オフィスデザインのテイスト、設備・機器・什器の選び方、配線の整理、収納スペース)をご紹介します。
時間
まずスタンディングワークを取り入れる際のポイントとして、時間が挙げられます。スタンディングワークを取り入れる際には、立位姿勢の時間と座位姿勢の時間のバランスやタイミングが重要です。
例えば15分間の立位姿勢と15分間の座位姿勢を交互に転換させながら、スタンディングワークに取り組みます。ただし疲労やストレスの感じ方には個人差がありますので、体調や業務内容に合わせて、スタンディングワークを取り入れましょう。
場所
次に場所も、スタンディングワークを取り入れる際のポイントです。執務室以外にも、会議室やハドルスペース、フリースペースなどに、スタンディングワークが適しています。会議室やハドルスペースにスタンディングワークを取り入れると、座位の姿勢よりも気軽な話し合いが可能です。
またフリースペースにスタンディングワークを取り入れると、立位の姿勢で作業や休憩ができます。オフィスにフリースペースをデザインするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
姿勢
それから姿勢も、スタンディングワークを取り入れる際のポイントです。スタンディングワークの効果を引き出すためには、正しい姿勢が重要です。そこでデスクの天板の高さ(立位姿勢の目線)に注目してください。
例えば立位の姿勢で腕を90°に曲げた高さに天板があると、腰に負担がかかりにくいです。また目の負担を軽減するためには、立位の姿勢で目線を正面か下に向けて、モニターから40cm以上離しましょう。
参照元:うえだ眼科クリニック「パソコン作業(VDT作業)と眼精疲労の話」
ワークスタイル
そしてワークスタイルも、スタンディングワークを取り入れる際のポイントです。従来的なワークスタイルのオフィスにスタンディングワークを取り入れると、全従業員にスタンディングデスク・チェアを購入するコストがかかってしまいます。
そこで固定席を設けないワークスタイル(フリーアドレスやABWなど)を導入することで、スタンディングデスク・チェアの購入費用を削減できます。フリーアドレスやABWのメリット・デメリットをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスデザインのテイスト
さらにオフィスデザインのテイストも、スタンディングワークを取り入れる際のポイントです。オフィスデザインのテイストに合わせて、設備・機器・什器の素材やサイズ、配色などを選びましょう。
例えばナチュラルテイストのオフィスデザインには、木目のカウンターやアースカラーのチェアなどが合います。オフィスデザインにおけるテイストの種類についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
設備・機器・什器の選び方
続いて設備・機器・什器の選び方も、スタンディングワークを取り入れる際のポイントです。デザイン性と機能性を考慮して、設備・機器・什器を選びましょう。オフィスデザインに合う設備・機器・什器を選ぶと、内装デザインとの統一感を保てます。
またスタンディングワークの業務内容に応じて、設備・機器・什器の機能性(キャスターの有無や耐荷重、天板の広さなど)も確認しましょう。オフィスで利用される什器を選ぶポイントを紹介していますので、次の記事も合わせてご覧ください。
配線の整理
また配線の整理も、スタンディングワークを取り入れる際のポイントです。スタンディングワークをするエリア内で配線が邪魔にならないように、一か所に電源プラグを集めたり、配線をまとめたりしましょう。
特にオフィスの床にOAフロアをレイアウトすると、配線を目立ちにくくできます。OAフロアをレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も合わせてご覧ください。
収納スペース
なお収納スペースも、スタンディングワークを取り入れる際のポイントです。一般的な昇降型のスタンディングデスクの天板上には、あまり収納スペースがありません。フリーアドレスやABWなどのワークスタイルを導入するオフィスにおいては、個人の荷物を保管する方法を決める必要があります。
そこで収納スペースを確保できるように、執務室内に共有備品を管理する収納棚を配置したり、パーソナルロッカーを割り当てたりしましょう。オフィスに収納家具をレイアウトするポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
スタンディングワークの参考事例
ポイントを押さえてスタンディングワークを取り入れられるように、参考となる事例を調査しましょう。本記事では事例5点を取り上げて、各事例の特徴(個人用ロッカーと昇降型デスク、時間制限、フリースペース、ABW)をご紹介します。
個人用ロッカーを利用したミーティングスペース
まず「株式会社ローカル」様は、農産物のインターネット通販事業などを行っている会社です。個人用ロッカーを利用したミーティングスペースがレイアウトされており、スタンディングワーク(打ち合わせ)ができます。
個人用ロッカーは執務室のデスク横に設置してあるため、デスクから移動してすぐにスタンディングの打ち合わせが可能です。デスクの島の横にあるボックス席から区切る役割も果たしています。
健康経営オフィスの施策として導入された昇降型デスク
次に「楽天グループ株式会社」様は、インターネット回線や金融などの幅広い分野でサービスを提供している会社です。健康経営オフィスの施策として、スタンディングワークができるように、昇降型デスクが導入されています。
業務の内容や個人のコンディションに応じて、デスクの高さを自由に調節できます。昇降型デスクを導入してから「社員の腰痛や肩こりが減った」と評判で、成果を出した施策です。
参照元:東洋経済オンライン「成長を加速させるために楽天が選んだ“動く”デスクとは? 岡村製作所」
時間制限が設けられたパソコン用スタンディングテーブル
それから「アイリスオーヤマ株式会社」様は、家電や食品などの幅広い商品を開発・販売している会社です。時間制限が設けられたパソコン用スタンディングテーブルが導入されて、スタンディングワークに利用されています。
自席にパソコンを置かないルールが設定されており、パソコンの使用時間が45分に制限されています。あらかじめパソコンを利用できる時間を決めることで、集中力の向上や独創的なアイデアの創出、健康の維持などを図る施策です。
参照元:アイリスオーヤマ株式会社「創造的思考の促進と労働生産性の向上のための新制度 パソコン用スタンディングテーブルの導入を開始」
スタンディングデスクの配置されたフリースペース
そして「株式会社マネーフォワード」様は、金融・会計・労務などのWebサービスを提供している会社です。スタンディングデスクの配置されたフリースペースがデザインされており、従業員がスタンディングワークに取り組んでいます。
スタンディングデスクの素材は、内装材や他の什器と同じ色味の木材で、オフィスデザインのテイストと調和しています。スタンディングデスクの高さは2種類あるので、各従業員の身長に合わせて作業が可能です。
参照元:株式会社マネーフォワード「Let’s make it ! みんなで創るマネーフォワードの新オフィス。 | 社内の様子」
スタンディングデスクがレイアウトされたABWのオフィス
なお「小林製薬株式会社」様は、医薬品や衛生雑貨の製造・販売を行う会社です。オフィスを移転した際に、スタンディングデスクがレイアウトされたABWのオフィスがデザインされました。
スタンディングデスクには、フットレストの付いたスタンディングチェアも設置されています。ボックス席や集中スペースもレイアウトされているため、業務内容や人数に応じて、仕事場所の選択が可能です。
参照元:小林製薬株式会社「デジタル部門などのオフィスを一新 本格稼働~一層のコミュニケーション活性化でチャレンジ風土醸成~」
オフィスにスタンディングワークを取り入れよう!
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