2024.12.22 2024.11.16オフィスデザイン
オフィスのWELL認証とは?評価項目・取得方法・メリット・ポイント・事例
本記事で「オフィスのWELL認証とは?」という疑問にお答えして、評価項目・取得方法・メリット・ポイント・事例をご紹介します。オフィスの新設や移転、リニューアルなどをご検討中の方は、ぜひご覧ください。
目次
オフィスのWELL認証とは?基本情報を紹介
そもそもオフィスのWELL認証とは、どのような制度でしょうか?そこでWELL認証の基本情報(定義と目的、種類とランク、評価項目、取得方法)をご紹介します。基本情報を確認したうえで、取得を検討しましょう。
定義と目的
まずWELL認証とは、IWBI(アメリカの公益企業)が行っている健康とウェルビーイングに焦点を合わせた建築や街区の性能を評価する制度です。WELL認証は、人々の健康のサポートを目的に運用されています。
参照元:Green Building Japan「WELLとは」
WELL認証は、オフィス環境も評価しています。WELL認証を取得したオフィスは、従業員の心身の健康に配慮した環境が証明され、従業員の満足度や社会的信頼度の向上につながります。
種類とランク
次にWELL認証の種類は、主に4点です。
- WELL Building Standard v2:単一の建物だけを評価
- WELL at scale :組織の保有する建物全体を一括して評価
- WELL Community Standard:街区・地域を評価
- WELL Health-Safety Rating:建物の緊急事態対策を評価
以上のなかでWELL Building Standard v2の評価基準が最も高く、評価項目の加点に応じてランク付けされます。
- プラチナ:80点以上
- ゴールド:60~79点
- シルバー:50~59点
- ブロンズ:40~49点
参照元:
Green Building Japan「WELL v2 認証システム」
Green Building Japan「WELL Portfolio 概要」
Green Building Japan「WELL Community 認証システム」
Green Building Japan「WELL Health-Safety Rating」
評価項目(コンセプト)
それからWELL認証の評価項目(コンセプト)は、種類によって異なります。WELL Building Standard v2とWELL at scale、WELL Community Standardの評価項目(コンセプト)は10点です。
- 空気
- 水
- 食物
- 光
- 運動
- 温熱快適性
- 音
- 材料
- こころ
- コミュニティ
参照元:
Green Building Japan「WELL v2 認証システム」
Green Building Japan「WELL Portfolio 概要」
Green Building Japan「WELL Community 認証システム」
WELL Health-Safety Ratingには、緊急事態対策に特化した評価項目(水質管理や事業継続計画など)が設定されています。
参照元:
Green Building Japan「WELL Health-Safety Rating」
取得方法
そしてWELL認証の取得方法は、以下のとおりです。
- 準備 :IWBIにプロジェクトの概要を登録する
- 書類審査:IWBIに必要書類を提出し、指摘があれば修正する
- 現地調査:IWBIにより評価項目を確認される
- 認証取得:認証取得後から3年毎に再取得が必要になる
なおWELL認証の準備から取得までには数か月から1年以上がかかりますので、計画的に進めましょう。
参照元:Green Building Japan「Q&A(6) WELL認証、IWBI」(6-13)
オフィスのWELL認証を取得するメリット・デメリット
基本情報と併せて、オフィスのWELL認証を取得するメリット・デメリットも確認しましょう。メリット4点(従業員の健康維持と生産性の向上、採用力の強化、ブランディングの展開)、デメリット2点(評価基準の厳しさと申請のコスト)について取り上げます。
メリット①従業員の健康増進・維持
まず従業員の健康維持が、オフィスのWELL認証を取得するメリットとして挙げられます。WELL認証を取得するための取り組みが従業員の健康増進・維持を促し、WELL認証を取得することで従業員の健康意識を向上させるからです。
なお従業員の健康管理に戦略的に取り組むオフィスは、健康経営オフィスと呼ばれます。健康経営オフィスを実現させるためのポイントについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メリット②生産性の向上
次に生産性の向上も、オフィスのWELL認証を取得するメリットです。WELL認証を取得するために働きやすいオフィス環境を整えることで、結果的に生産性の向上につながるからです。
オフィスの生産性が向上すると、企業の競争率強化や働き方改革につながります。生産性を向上させるオフィス環境整備のポイントについてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メリット③採用力の強化
それから採用力の強化も、オフィスのWELL認証を取得するメリットです。WELL認証を取得すると、働きやすい環境が整備されているオフィスをアピールできるからです。求職者に魅力的なオフィス環境が伝われば、求人応募数の増加が期待できます。
採用力を強化するためには、カフェスペースや集中スペースなどのオフィスデザインが重要です。採用活動に適したオフィスをデザインする流れについて詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
メリット④ブランディングの展開
そしてブランディングの展開も、オフィスのWELL認証を取得するメリットです。WELL認証を取得して、環境への配慮や従業員の健康などを重視しているオフィスだと認められると、ブランデイングを展開しやすくなります。
オフィスのブランディングを進める際には、開始の時期や施策の評価などの計画が重要です。オフィスのブランディングを成功させるポイントについて詳しくまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
デメリット①評価基準の厳しさ
しかし評価基準の厳しさが、オフィスのWELL認証を取得するデメリットとして挙げられます。WELL認証を取得するには、評価項目ごとに必要な点数を取得しなければならないからです。
WELL認証の評価基準は、アメリカのオフィス環境に基づいて設定されています。日本のオフィスが取得を申請する際には、日本固有の課題(喫煙場所の設置や食堂の運営など)を解決しなければならない場合があります。
デメリット②申請のコスト
さらに申請のコストも、オフィスのWELL認証を取得するデメリットです。WELL認証を取得するためにオフィスデザインを大きく変えなくてはならない場合には、レイアウトの変更や設備・機器・什器の買い替えなどコストが発生します。
非承認となった場合にはコストだけがかかり、WELL認証を取得できません。確実に認証を取得するためにWELL認証取得専門のコンサルタントにサポートを依頼すると、更にコストがかかります。
オフィスのWELL認証を取得するためのポイント
メリットを引き出してデメリットを対策できるように、オフィスのWELL認証をするためのポイント(空調・換気効率と断熱・遮熱性、採光・照明、運動・休息のスペース・機会、防音性・BGM、バイオフィリア・ユニバーサルデザイン)も押さえましょう。
空調・換気効率
まず空調・換気効率が、オフィスのWELL認証を取得するためのポイントとして挙げられます。「空気」の評価項目をクリアするためには、オフィスにおける空調・換気効率の向上が必要です。
空調・換気効率を向上させると、従業員の業務効率やモチベーションのアップも期待できます。オフィスに空調・換気設備をデザインする際のポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
断熱・遮熱性
次に断熱・遮熱性も、オフィスのWELL認証を取得するためのポイントです。「温熱快適性」「材料」の評価項目をクリアするために、オフィスの断熱・遮熱性を向上させましょう。
そこでオフィスの外装や内装に断熱材・遮熱材を施工すると、室内の温度を一定に保つことができます。また窓の断熱性・遮熱性を高めるためには、二重窓や窓フィルムなどの方法があります。
採光・照明
それから採光・照明も、オフィスのWELL認証を取得するためのポイントです。「光」の評価項目をクリアするために、オフィスにおける昼間の採光性や照明の快適性を改善しましょう。
例えば調光・調色機能を備えた照明器具なら、時間帯によって快適な明るさや色合いに調整できます。オフィスに適した照明器具の種類をまとめてありますので、次の記事も併せて御覧ください。
運動・休息のスペース・機会
続いて運動・休息のスペース・機会も、オフィスのWELL認証を取得するためのポイントです。「運動」「こころ」の評価項目をクリアするために、運動や休息のためのスペースや機会を整備しましょう。
運動や休息のためのスペースや機会を整備する方法として、フリースペースやカフェスペース、スタンディングワーク、仮眠室などがあります。各方法のメリットやポイントをまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
防音性・BGM
さらに防音性・BGMも、オフィスのWELL認証を取得するためのポイントです。「音」「こころ」の評価項目をクリアするために、防音性を高めたり、BGMを導入したりしましょう。
オフィスの周辺環境や業務内容などによって適切な防音対策の方法は異なり、BGMを導入する方法にはラジオや音楽ストリーミングサービスなどがあります。防音対策の流れやBGM導入の注意点についてまとめてありますので、次の記事も併せてご覧ください。
バイオフィリア・ユニバーサルデザイン
そしてバイオフィリア・ユニバーサルデザインも、オフィスのWELL認証を取得するためのポイントです。「こころ」「コミュニティ」の評価項目をクリアするために、オフィスにバイオフィリアやユニバーサルデザインを取り入れましょう。
バイオフィリアを取り入れる方法にはテラスや観葉植物などがあり、ユニバーサルデザインには自動ドアや手すり・スロープなどがあります。バイオフィリアを取り入れる際の注意点やユニバーサルデザインのポイントについては、次の記事も併せてご覧ください。
オフィスのWELL認証取得事例
ポイントを押さえてオフィスのWELL認証を取得できるように、参考となる事例を調査しましょう。事例5点(東急不動産とパナソニック、ウェルネット札幌本社、第一生命、沖縄セルラー)を取り上げて、各事例の特徴をご紹介します。
シルバーランクを取得した東急不動産
まず「東急不動産」の本社オフィスは、2020年にWELL認証のシルバーランクを取得しました。WELL認証取得に向けた取り組みとして、一人ひとりに合ったデスクの高さに調整できる昇降型デスクが導入されています。
またオフィス7〜11階の内部階段が、フィットネスエリアとして活用されています。自然と運動の機会を確保できるように、従業員の動線上にフィットネスエリアが配置された取り組みです。
参照元:東急不動産ホールディングス「渋谷ソラスタ本社オフィスで WELL 認証取得」
ゴールドランクを取得したパナソニック
次に「パナソニック株式会社」のシステムソリューション開発センターオフィスは、WELL認証のゴールドランクを取得しました。空間除菌脱臭機やアロマディフューザーなどが導入されています。
従業員が業務内容や気分によって場所を選べるように、照明・音でオフィスフロアが3ゾーンに分かれています。
- フォーカスゾーン:高照度の白色系照明と無音
- ナチュラスゾーン:パターン照明とサウンドマスキング
- リラックスゾーン:低照度・低温度の照明とBGM
参照元:Panasonic「システムソリューション開発センター | オフィスソリューション 」
プラチナランクを取得したウェルネット札幌本社
また「ウェルネット札幌本社」のオフィスは、WELL認証のプラチナランクを取得しました。従業員のメンタルヘルスサポートや健康増進、育児支援などの取り組みが評価され、「こころ」と「コミュニティー」の評価項目では満点を獲得しています。
例えば社内の自販機には糖分の高いジュース類は揃えておらず、従業員が健康を意識して飲料を選べるように、各飲料の成分表示表が掲示されています。書棚には、健康増進に関する書籍が収蔵されています。
参照元:株予報Pro「ウェルネット札幌本社が WELL 認証最高ランク「プラチナ」を取得」
プラチナランクを取得した第一生命
それから「第一生命保険株式会社」の本社オフィスは、WELL認証のプラチナランクを取得しました。オフィスにバイオフィリアが取り入れられ、執務室内には観葉植物が配置されたり、リフレッシュスペースに自然光が入るようにデザインされています。
また従業員のコミュニケーション活性化のために、フリーアドレスや交流スペースが導入されています。従業員が集まりやすいように、ワークスペースに円形デスクが配置されたオフィスです。
参照元:第一生命保険株式会社「国内金融機関で初となるWELL認証最高ランク「プラチナ」を取得」
プラチナランクを取得した沖縄セルラー
そして「沖縄セルラー電話株式会社」の本社オフィスは、WELL認証のプラチナランクを取得しました。「栄養」や「運動」のコンセプトで高評価を獲得し、社員食堂では果物や野菜が採れる健康的なメニューが提供されています。
また執務室には、従業員がスタンディングワークで姿勢を変えながら健康増進を促せるように天板が電動で昇降するデスクが導入されたり、運動・休息スペースがレイアウトされています。
参照元:沖縄セルラー電話株式会社「国内最高ランク 沖縄セルラービルが 「WELL 認証プラチナ」を取得」
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